表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

乙女ゲーム、らしい?

お姉様はよその子

作者: 日文

乙女ゲーム、らしい?と同一世界です。


 「Replacement ~それでも貴女は~」というゲームをご存じだろうか?

 ヒロインは某財閥の令嬢。

 双子の妹にも、両親にも似ていない事を気にし、いつか捨てられるのではと怯え、それでも懸命に令嬢として相応しくあろうと足掻き努力するヒロインと、何においてもヒロインより優秀でライバルである双子の妹と、学園で出会う婚約者候補の少年達で繰り広げる恋愛ゲームだ。

 イラストはないけれど深読みすると……なシーンもラスト付近ではあり、それなりにファンも居て同じ世界観の続編も出た。


 攻略対象は、身近なところからは侍従候補の同年の少年藤崎十六夜ふじさきいざよい、父方の従兄の宮之内智礼みやのうちとものりのふたり、学園で出会うのはクラスメイトの高倉光喜たかくらみつき、学力での特待生森翔もりかける、そして年上枠の外部からの特別講師佐藤蛍さとうけいの五人。

 設定集や小説での外伝には彼らの兄妹や親戚も関わってきて、それなりの人数に膨れあがったけれど、メイン攻略対象者はこの五人。

 一番安定した将来が垣間見えるのは、侍従候補の少藤崎十六夜。

 親戚一同所か、友人にさえ祝福してもらえない茨の道が宮之内智礼。

 家の家格や今後を考えても上等すぎる高倉光喜。

 将来性を考えての取り込みの一環として祝福される森翔。

 年齢と教育関係者と言うことで嫌な顔はされるがそれだけの佐藤蛍。


 見目麗しく、将来性豊か、自身の真実を考えれば選ぶ相手さえ間違えなければ家族にも祝福される。

 そう、ヒロイン自身の真実。

 彼女は病院で産まれたときにすり替えられた。

 同じ病院で出産した叔母とその友人である看護師の手で。

 元々は叔母と母は父を取り合っていて、母が勝者だと言うこと。

 叔母の友人は母が嫌いだと言うこと。

 両者の思惑と嫌がらせの一環としての子供のすり替え。

 同じ日に同性で生まれたこと。

 わざと同じ病院で産んだこと。

 それらが重なっての入れ替え。

 入れ替えられた姉はまともに育てられない。

 親戚だ。

 しかしながら一般家庭の親戚でしか無く、余り交流を持つことが出来ない。

 見えないところで母親に虐待され、卑屈に後ろ向きになるように育てられる。

 本来なら、自分が与えられるはずのモノを享受し、似ていないから愛されないなどと嘯いて少年達の気を引いているヒロインを見て、知って、衝動的にヒロインを殺そうとしてしまう。

 ヒロインの生みの母が入れ替えたのだから、自分の子供でないことを理解して居ての虐待だから、そう言う衝動に駆られても仕方がないと言えば仕方がない。

 百回プレイして一回あるか無いかの突発イベントのBADENDだったりする。

 叔母と母は双子の姉妹で、姉に負けたと思っている叔母は姉の子を奪い復讐を子供にしたという流れだ。

 しかしそのことはBADENDでしか発覚しない。

 基本的には父には似ていないけれど母には似ているので、実子でないとばれないからだ。

 でもこの世界では実子でないと発覚している。

 そしてそのことを、父も母もヒロインも知らない。

 何故なら私が祖父母に言いつけたから。

 ヒロインが似ていないことを気にしていて、父と母がヒロインを慰めるのに掛かりきりで寂しいと。

 双子で、似ていないとはいえ普通の姉妹程度には似ている私たち。

 ヒロインが似ていないと訴えるほど似ていないわけではなく、どちらかと言えば……故に切っ掛けを私が与えた形になったが、秘密裏に私と姉のDNAは調べられ、ヒロインは私の姉でなく従姉妹ではと言う疑いをもたれ、同じ年である従姉妹が調べられ事実が明るみに出た。

 彼女の劣悪な環境と、叔母の悪意とが。

 それは両親には伝えられなかった。

 ヒロインにも。

 姉は祖父母に引き取られ、私は姉に会うようになった。


 父は父の兄妹の中では一番の末っ子で、年も離れている。

 一番年上の従兄の方が父より年上だという現実を知れば、それは良くわかると思う。

 恥かきっ子とか言われる子供だけど、祖母が父を妊娠していると判ったときには堕胎できず、年齢のこともあって閉経したと思った矢先の妊娠発覚で、かなりの騒動になったらしいが無事に産まれている。

 そして父はそのような環境であっても家族に愛され、親戚に受け入れられていた。

 家柄や境遇を考えれば驚くほど悪意に鈍く、自分が嫌われることがあるとは考えもしない人になっていた。

 別にそれはいい。

 父は祖父母や伯父達が守っていたから。

 でも私たちは?

 自分の周りの悪意に気がつかないで、子供達を危険にさらすのはどうか。

 私たちが幼い娘であることから、他家へ嫁ぐ存在であるという前提での教育すらまだ始めていないことも調べられたために、私と本来の姉は祖父母の家で教育されることとなった。

 引き取られると言うことはなく、通いで。

 そもそもヒロインである方の姉は元々礼儀や作法に厳しい祖父母を嫌っていたので、通うかと聞かれたときに自分で断っている。

 ゲームではどうだったか覚えては居ないが、確かに妹の方がハイスペックでヒロインこっちじゃないの?と首を傾げたことはあった。

 それはともかく旧家の令嬢教育である。

 何の役に立つんだろうと首を傾げたお茶にお花、香道まで教えられた。

 知らないウチは首を傾げるけれど、やってみればなるほどと思うようになる。

 どれもコレも行事に深く関わり、一生のウチに3・4回くらいしか行わないようなモノもあって非常に奥が深い。

 実際にやる機会はなくとも、知っているかどうかで教養の深さが別れる。

 なるほどコレでは従兄との結婚を親戚一同祝福するわけがない。

 比べるでもなく見劣りする娘を嫁になど、許せるはずがないのだ。

 しかも元々一般家庭から嫁いできた嫁ではないのだ。

 同程度は期待してしまう親戚から来たのに、知っていて当たり前、出来て当然が出来ないのだ。

 友人一同も確かに諦めるように諭すか、今からでもと学校の部活動の方からお茶やお花に触れるように勧めるわけだ。

 あーー何となく、自業自得とか思えた。

 家格どころか、ある意味家臣というか下の家でしかない藤崎十六夜の所に問題なく嫁げるのだからなぁ……穿ってみると結構キツイ所があったゲームなんだね。

 

 小学生になりました。

 私立です。

 車での送迎もあります。

 選りすぐりのお子様達が、受験を勝ち抜いて入学してます。

 家柄や財産だけでは入学できません。

 親の品格、子供達の自主性を見極められます。

 親が優れていても子供がダメだと入学できません。

 子供が優れていれば親が若干アレでも、条件付きで入学できます。

 私は入学できました。

 しかしヒロインは入学できませんでした。

 親がアレで本人も微妙と判断されたようです。

 私だけ合格で、ヒロインはやっぱりお父さん達に似ていないから落とされたんだと涙を見せていましたが、正直そんなことでは落とされません。

 割と優秀な亡き部下の忘れ形見だからとか、そう言った理由で後見人が付いての一般家庭のお子様が入学しています。

 近隣の孤児院に対しての推薦枠というモノも有ったりします。

 小学校では未だ狭い枠ですが、中学・高校となると増えていきます。

 それと同時に一般試験枠も出来てきます。

 どちらも学力オンリーです。

 しかし孤児枠は若干緩いですが、特別授業を必ず受けるようになっています。

 学費から教科書や制服などの必需品以外にもお金が出ます。

 孤児という時点で諦めなければならない様々な事柄があります。

 それを少しでも、そして向上心ある存在をと言うことで出来た枠だそうです。

 本来であれば遠方や全国から広く集めるのが良いのですが、目が届く範囲からと言うことで近隣の孤児院から来ます。

 そしてそこには学校からと、学校に通う生徒の親たちや企業、そして孤児院を出た卒業生達が寄付をしたりボランティアで訪れたりしています。

 かなり恵まれた状況らしいです。

 他を知らないので判らないですが。

 ですが、割と裕福な一般家庭から入学してきた子達から聞いた話から考えると、そうなのだろうなと思えた。

 基本的にいじめの対象だよね、孤児って。

 でもこの学校ではそうじゃない。

 私たちみたいな旧家とか、財閥系の家の子供だと、より良き方向へ導かなければならない存在という意識を植え付けられているから、理想と現実を早めに摺り合わせするためには一緒に学ぶというのは良い手段だと思う。

 子供の遊びにそれほど差がある訳じゃないし。

 かなり力を入れて寄付やボランティアを行っているから、他の孤児院と比べたらいけないくらいらしいし。

 親が居ない。

 兄妹ではない、血縁ではない子供達が沢山共同生活をしている。

 自分たちとは随分異なる環境。

 だからこそ偏見を持つ前にと言うことだと思う。

 そして偏見を既に持っている子供や親たちは排除される。

 ちなみに、私も本来であれば入学できなかったのだが、保護者が両親ではなく祖父母が付いていたので合格しました。

 ウチの両親だいぶアレな感じに成りつつあるようです。



 中学生になりました。

 ウチのヒロインさん落ちたようです。

 まぁ当然でしょう、あの人勉強嫌いですから。

 学校から帰ったら、今日学校で何を学んだか教えようとする度に逃げていたのですから。

 さらに私が入学できなかった彼女に対して嫌がらせをしていると。

 嗤ってやりたいですが、笑うことも出来ません。

 何せそれを真に受けて両親が怒ってくるのですから。

 中学で受験するつもりなら出来ないといけないと言っても、必要ないとのことでした。

 私は自分の家族に疎まれ始めました。

 するっと抜け出して祖父母のところでお世話になっています。

 父を甘やかしすぎたかと反省した祖父母は、私と姉をびしびし鍛えてしつけてくれました。

 お蔭を持ちまして私も姉も、学校で姫と呼ばれるくらい持ち上げられています。

 まぁヒロインさん、もう少し勉強頑張ろうね?


 高校です。

 ゲームの舞台です。

 ヒロインは入学できませんでした。

 お金を積んで入ろうとしましたが、そんなことで入学できるのであれば、近隣の孤児院に投資するような事はしません。

 お金でどうにか出来るというような考えを持つ生徒は、そもそも入学できません。

 この辺りで学校と良いところのお家の当主達には通達しました。

 ヒロインは私の姉ではなく、従姉であること。

 産まれたときにどうやらすり替えられたと言うこと。

 本来の姉はすり替えた相手に虐待されていたこと。

 現在本来の姉も私も両親やヒロインと一緒に暮らしていないこと等を。

 まぁつまり、そういう感じです。

 私たちに付けられているはずだった藤崎十六夜なんかは、本家の頭領の命令が優先され父親から私たちのお付きを命じられていたのが、いつの間にか私だけのお付きになっていたり。

 従兄の宮之内智礼なんかは。学校に小中高と引っかかることも出来なかったヒロインを無いものとして扱っていたりする。

 うん、礼儀も何もなくなれなれしいんだよヒロイン。

 やっぱり記憶持ちなのかなぁ?

 積み重ねで、私より自分を取るように両親を誘導したのはお見事と言っても良いけれど、それ以外はダメダメで。

 正直、もう少し勉強しましょうよ。

 多分あのヒロインさん私みたいな記憶?持ち?だったのではと思うのですが、本当に勉強が嫌いで嫌いで……彼女が通っている学校の先生に愚痴られましたよ。

 夏休みの補習に来るように説得してくれと。

 わざわざよその学校に夏休み前に来て、頭を下げていきました。

 良い先生だと思います。

 しかもどこかで見たことが有るような気がします。

 何処ででしょうか?


 大学生になりました。

 両親とは離れました。

 ヒロインが私の姉でないこと、私の姉がすり替えられ虐待されていたこと。

 従姉とは言えよその子供を実の子よりかわいがっていたこと等々を暴露され、父は祖父母の籍から外されました。

 今はヒロイン共々母の家に婿養子という形で籍が移っています。

 父と母は幸せそうですが、ヒロインはそうではないようです。

 今まで努力をしてこなかったのか、それとも方向性が異なっていたのか、余り評判の良くない大学や短大にしか入ることが出来ないため、私の祖父母の縁を使ってどこかに就職しようとしましたがそれも失敗。

 良さそうな男性を捕まえることも出来ず、日々愚痴を言っては八つ当たりをしているそうです。

 入れ替え自体はヒロインの責任ではないって思われているけれど、旧家の家の令嬢に相応しい教育に関してはことごとく拒否してきたのだからコネも使えないと思うよ。

 もう少し祖父母に好かれるような行動しておけば良かったのにね。

 まぁ、宮之内智礼ルート最大の強敵とも言える相手だもの仕方がないのかな?

 さて、私のこれからにはほとんど関わってくることもないだろうし、やりたいことのために留学とか調べてみようかな?

 姉は姉でいい人見つけて居るみたいだし。

 そろそろ紹介とかしてもらえたらいいな。


普通に養育されていたらそれなりの教育はされたのに、親の愛を引き寄せ、祖父母を倦厭したために、どうすることも出来ない差が出来てしまいました。

多分お気に入りの相手が宮之内智礼だったために、親族に対する印象が悪かったと思われる。

虐待されて人間恐怖症に近かった姉は、医師達の献身と本人の努力、双子の妹の存在と、厳しく冷たくあろうとしている祖父母の愛によって、何とか普通な精神状態を保っています。

ヒロインはきっと彼女のことは知らない。


高倉光喜は高倉勇治の弟です。

つまり少しだけ年下。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ