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第8章 西方

第8章 西方


第1話 序戦


 時は、2038年。


 敵のリーダーはドラキュラだった。

彼は、無尽蔵の精神エネルギーを持つと云われていた。

また、不死者とも云われていた。

従えるのは、幾多のデーモンだ。

そして、ドラキュラに操られる人々だった。


 複合体は、全て精神エネルギーのみに分離された。

命と肉体は、命鎮に保管された。


 ドラキュラには、リムズ複合体が当たった。

シクマ複合体は、敵の捕縛、基の欠片への帰還を担当した。

サムシ複合体は、逃走、散逸する敵の捕縛とシクマ複合体への送還を担当した。

ナムラ複合体は、敵を混乱させた。

ナシギを抱えるナムラ複合体は、確保した人々をギザに転送した。

ナシギは、生命体の転送ができる。

ギザでは、ドラキュラに操られた人々の治療が行われた。


 ドラキュラの精神エネルギーは、結界を貫通した。

だが、それの威力は弱まっている。

この精神エネルギーを吸収し、リムズ複合体は自らのものとした。

モルクとアユザの能力だ。


 闘いは、長引いた。



第2話 魔女(1)


 リムズ複合体の闘いは膠着状態に陥っていた。

他の3隊の働きは、予測通りに進んでいた。

デーモンも操られる人々も、次々と減って行った。


 その時、ある1団が戦線に割り込んで来た。

それは、魔女達だった。

ナムラ複合体に接触した魔女の一人が情報をくれた。

「ドラキュラは無尽蔵の精神エネルギーを所有しているように見えます。

それは、彼に随行しているデーモンの精神を吸収しているためです。

彼らを浄化させるのは、銀です」


 ドラキュラは、仲間を糧とし自らを不死者としていた。


 ナムラ複合体は、ギザに戻った。

フミザを合流させるためだ。

彼女は、『滅銀の霜』を降らせる事が出来る。

その滅銀は冷たく、周囲を凍りつかせた。


 ドラキュラの周りにデーモンが残り少なくなって行くと、

彼は、撤退した。


 ナムラ複合体は、戻ってきた。


 この魔女達は、何者なのだろうか?



第3話 魔女(2)


 彼女達の長チーランカが、話始めた。

「我等は、レンコの欠片です。

ユーラの友である彼は、自らを削り我等を創生しました。

我等には、もっと多くの仲間がいました。

残念ながら我等は、『悪魔』と呼ぶもの達との闘いに敗れました。

多くの仲間が眠りについています。

今は敵対関係となってしまった『聖徒』と呼ばれる集団が、西方で闘っています。

悪魔の籠絡に合い、敵対関係となってしまったのです。

ドラキュラは、悪魔の小隊長の一人にしか過ぎません。

全ての悪魔を倒滅する事は、現有勢力では難しいでしょう」


 彼女達は、ハットゥシャに結界を張って暮らしているらしい。

カッパドキアのすぐ北だ。


 彼女達は老化しない。

老化しない理由は解らないそうだ。

最も長寿なものは、1万歳を超える。

これもレンコの技術によるものだろう。


 チーランカが、話を続けた。

「アララト山に宇宙船が隠されています。

我等は中に入る事が出来ません。

レンコと彼の妹レンサが眠っているそうです」


 欠片達と魔女達は、アララト山に向かった。



第4話 ダイバリオン(1)


 ダイバリオンは、多くの可能性を秘めた物質だった。

与える波動エネルギーによって、様々な性質を現すのだ。

逆に異なる強力な波動エネルギーを与えれば不安定になり、

望んだ性質と違ったものに変化してしまう。


 ダイバリオンのコーティング技術が必要になった。

既知の物質では、実現は出来そうになかった。

「ダイバリオンにはダイバリオンで」が、合言葉になった。


 ダイバリオンは、固くもなり、柔らかくもなった。

輝きを持つ時もあれば、視認出来なくなる事もあった。


 ダイバリオンの特徴は、共鳴現象だ。

波動エネルギーに共鳴する。

既知の物質は、共鳴すると個々に固有の周波数と周期を持つ。

だが、これは違う。

無数とも思える周波数と周期を持つ。


 ヤーナの提唱した『複雑の木』理論が、応用された。

無数と思われた周波数と周期も波動エネルギーの種別によって分類された。


ある特定の波動エネルギーを与えると固定される事が解った。

DFCというコードネームが与えられた。

DFCは、1ナノメートル以下の薄さで出来ていた。



第5話 ダイバリオン(2)


 魔女達の情報から西方の敵に銀が有効らしい事を知った。


 銀が僅かながら、精神に影響を与える事が解った。

精神エネルギーと銀は、僅かながら共鳴を起こす事も解った。


 ダイバリオンは、6つクォ‐クから作られる素粒子だ。

電荷は持たない。

電荷を持つダイバリオンは、すぐ崩壊する。

既知の理論では、仮設上の素粒子だ。

科学者達は、多くの問題を持っていた。

今、必要なのは西方戦線へのバックアップだ。


 レンコは、ダイバリオンを安定させ自らと連動させているらしい。


 彼らは、ダイバリオンと精神エネルギーとの関係について研究を進めた。

ダイバリオンは特定の波動エネルギーを与えると精神に影響を与えるようだ。


 彼らは小出力だが、『精神離散銃』を開発した。

精神を離散させるダイバリオンを作り、DFCで覆う。

これを銃として製作した。

効果は、銀の数万倍あった。


この銃は、4丁作製され前線に送られた。



第6話 冥界


 時は、2039年。


 未だ西方の敵は、高を括っていた。

ドラキュラは、単独で動いていたのだ。

彼は、ギリシャのハーデスに応援を求めた。

本部に報告など出来ない。

ハーデスは最初渋っていたが、重い腰をあげた。

彼も退屈していたのだ。


 彼らは、ポーランド近辺で接近した。

サムシ複合体は、冥界に引きずり込まれた。

ハーデスの張る強力な結界だ。

この結界を壊す事はできなかった。

シクマ複合体は、ミスズの能力でこの上から封印結界を張った。


 敵は、ドラキュラ単独となった。

ナムラ複合体は、フミザの能力で『滅銀の霜』を降らせた。

ドラキュラを始めとして全ての悪魔の力が弱まった。


 科学者から転送されてきた精神離散銃をドラキュラに向けて発射した。

ドラキュラは、戦闘不能となった。

シクマ複合体は、ドラキュラを基の欠片へと帰還させた。


 外の様子の異変に気付いたハーデスは、結界から出てきた。

その瞬間『滅銀の霜』に当たり力が弱まった。

冥界も解放された。

精神離散銃を浴びたハーデスは、シクマ複合体により基の欠片へと帰還させられた。



第7話 電脳


 ルクサとケシリにより自己判断能力を持つCPUが開発されていた。


 人の知能には、はるか及ばないが究極限界判断による停止機構を持った

CPUが開発された。

主に、人々の暮らしに役立った。

究極限界判断は、生命への危害可能性だった。

工業用ロボットにも活用された。

アシツの協力で、工業生産や工事現場のメカも作られた。


 このロボットの働きで、科学者達の念願であったダイバリオン核融合施設の

建設が急ピッチで進められた。


 各地の転送通路もネットワーク状になり、交通の便もよくなった。


 ルクサらの当面の目標は、人と同程度の判断能力を持つCPUの開発だ。

処理スピードは、人と比べCPUの方が格段に速い。


 今、人が担当している労働がロボットに置き換わる日も近いだろう。

そうすれば、人々は自由になれる。

しかし、自由になった人々は何を望むのだろうか?

それは、欠片達の決める事ではなかった。

人類は、自立して行かなければならないのだ。



第8話 アララト山


 未だ、悪魔達は東欧の異変に気付いていなかった。


 アララト山に向かったサムシ複合体は、宇宙船に辿り着いた。

内部にテレポートした彼は(彼ら?)2つの結界に護られている存在を発見した。

これがレンコとレンサだろう。

それは物質とは呼べなかった。

見えているのかも解らなかった。


 南極で発見した宇宙船と同型だった。

おそらくレンサにのみ反応するのだろう。


 この時、リンカにユーラからメッセージが届いた。

「このまま眠らせてあげなさい。

その時が来れば目覚めるでしょう。

目覚めさせるのは、貴方達です」


 サムシ複合体は、魔女達にこれらの事を伝えた。

魔女達は、喜んだ。

彼女らの基が目覚める時を願った。


 サムシ複合体と魔女達は前線に戻った。

そこには、ドラキュラやハーデスとは比較にならない敵が待ち受けていた。



第9話 ダイバリオン(3)


 時は、2040年を過ぎようとしていた。


 念願であったダイバリオン核融合施設が建設された。


 科学者の間では、

「既知の物質と同じように元素としての性質があるのでは?」

と予測されていた。


 今までの研究は、水素元素と同じ1個のダイバリオンの集合体についてだけだった。


 ダイバリオンは電荷を持たないためクーロン力は持たない。

共鳴による核力への抵抗はあるようだ。


 ダイバリオンは与える波動エネルギーの周波数と周期に共鳴する。

同じ波動エネルギーを与えた2個のダイバリオン近接させた。

D2ができた。

クーロン力を持たないため、衝突させる必要はなかった。

そしてD2は、固有の周波数と周期を持った。

D1がどのような波動エネルギーで作られても、それは変わらなかった。

安定した物質になった。


D1は、未だ未知数だ。

精神離散銃、コーティングなどはできた。


 D2は、精神に周期の同期を求めた。

それは、精神状態の好不調に似ていた。

D2を1個所持するものが最好調の時に精神エネルギーを発すれば通常状態の

数倍の威力を発揮した。

欠点は発した後、精神エネルギーが枯渇する事だった。


 D2を用い『極限発動装置』の開発が行われた。

完成すれば、欠片達の精神エネルギーを瞬間的に数万倍まであげる事が

できるだろう。



第10話 悪魔の誘惑


 プルスラスと遭遇した。

彼は、悪魔達の中級クラスの能力を持っていた。

彼らの最も得意な精神攻撃は、誘惑だ。


 4つの複合体は、果敢に攻め、堅牢に護った。

しかし、誘惑により彼らの複合体はばらばらになった。

プルスラスの力は、欠片達をはるかに上回っていた。

魔女達の援護も欠片達を護る事に精一杯だ。


 この時、『聖徒』が現れた。

彼らの持つ『聖水』が、プルスラスを撤退させた。


 『聖徒』のリーダーであるシーレントが言う。

「何故、チーランカが一緒なのだ。

チーランカは悪魔の手先となったのではないのか?

そもそもお前達は、何者だ。

我らはお前達がプルスラスに襲われていると思いバチカンから飛んだだけだったのに。

まさかチーランカが一緒とは」


 サムシが説明したが、聞き入れてはくれないようだ。

アララト山に行くしかなさそうだ。


 船に入ったシーレントは泣いた。

喜びで胸が一杯だった。

サムシ達を信用するしかなさそうだった。


 サムシ達欠片と魔女は、ギザに戻った。

『聖徒』はバチカンに戻った。

彼らには、バチカンの蔵書、宝物を護る事も、使命の1つなのだ。



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