第7章 北極
第7章 北極
第1話 モンゴル
時は、2036年。
モンゴルは、ロシアからの軍事侵攻を受けていた。
突然の侵攻だった。
異なる欠片は、関与しているのだろうか?
それならば、その欠片の版図はどのくらいなのだろうか?
西方の欠片との関係は?
情報が決定的に不足していた。
サムシをリーダーとして遠征隊が組まれた。
軍事侵攻そのものには、異なる欠片は同行していなかった。
侵攻は、国境線まで戻された。
モンゴルの欠片達は命鎮で儀式を行った。
アユザには、『共奪の管』を。
ケンゲには、『合連の塩』を。
リエドには、『未明の橋』を。
センシには、『豪雷の雲』を。
モルクには、『底誓の綿』を。
アユザは、他の仲間から精神エネルギーを他者に注入出来た。
ケンゲは、化学者だった。
リエドは、単独テレポーターだった。
センシは、電気力を自由に出来た。
モルクは、精神エネルギーを吸収、蓄積出来た。
第2話 ロシア
ロシアに偵察隊を派遣した。
西方とは、直接的な繋がりは無さそうだった。
だが、できるだけ隠密裏に進めたい。
西方への刺激は、極力避けたい。
未だ、西方の情報収集も済んでいない。
版図は、ロシア国内近辺だけのようだ。
勢力も中国の時と比べれば、少ない。
東京と中国の時と同様の作戦が取られた。
後に解るのだが、これは罠だった。
ロシアは、すんなりと陥落した。
だが、これで西方との距離が縮まった。
北方には、拠点は無い。
西方の異なる欠片は、東欧の側に攻撃隊を終結しつつあった。
直接的な闘いが、起こる事になる。
だがそれは、2年後になる。
クラサは、予言をしていた。
「2年後までに北方戦線の強化と情報収集が必要だ」
第3話 新物質
シルクとドンガ、ヤーナ、クランは、ギザで新物質を発見していた。
後にこれらは、D1~6と呼ばれる。
第4話 北極
ケイトは、現存する地図と比べ北極の位置が微妙に異なることを発見した。
調査隊が組まれ、北極を調べた。
そこには、海底深くに巨大なジャイロ状のものがあった。
命鎮で、調査を続けているリンカにユーラからメッセージが届いた。
「旧き頃、我にはレンコという友がいました。
彼もまた宇宙を旅する命の欠片でした。
彼は、我に協力してくれました。
地球はかつて何度も地軸の逆転が起こり、生命に多くの被害を与えました。
彼は我と同じように欠片を削り放ちました。
そして、北極と南極にフィクスド・ジャイロを設置してくれました。
これにより地軸の逆転は納まりました。
しかし、今地球の地軸のズレのエネルギーが大きく溜まっています。
ジャイロが持ちこたえられなくなっています」
リンカの報告を受けたミチヤは、修復隊を結成した。
リーダーは、サムシが務めた。
科学者の全てが投入された。
第5話 南極
現状を見たシルクは、2つの手段を提案した。
1つは、この地に融合炉を建設しフィクスド・ジャイロのエネルギーを増強する事だった。
しかし、これでは付け焼刃だ。
もう1つが最も有効そうだった。
地軸エネルギーを電力に転換する事だった。
科学者達は、これの設計に入った。
一方南極に向かった隊は、宇宙船らしきものを発見した。
入口が見つからない。
マーサは、科学者達を同行して中に入った。
船の中は、無人だった。
トーヤにも生命体の存在は感じられなかった。
考えられるのは「元々無人船だったか」「誰かが脱出したか」だった。
いずれにしろ、ここには誰もいない。
内装は淡黄緑で、ところどころ輝く真紅のパネルがあった。
計器類は見当たらない。
この宇宙船らしきものには結界を張り調査は後回しとした。
地軸の問題が優先だ。
北極、南極共に融合炉の建設とジャイロへの連結は完成した。
地軸エネルギーは、変換器を作り超小型のバッテリーへと蓄積された。
これで地軸の逆転を防ぐ事が出来る。
第6話 宇宙船
いくら調べても解らなかった。
そもそも、この船を構成している物質が未知なるものだ。
命鎮と似た物質だ。
ギザで発見された石とも似ている。
スイッチさえ解らない。
命鎮では、リンカにまたメッセージがあった。
「あの船は、レンコのもの。
彼は旅人でもあり、優秀な科学者でもありました。
この命鎮も、彼の造ったものです。
綴りの祭殿に行きなさい。
そこに念紙があります。
設計書があるはずです」
リンカは、そこに行った。
念紙をミチヤに送った。
ミチヤは、念紙を解読した。
しかし、中身は意味不明だ。
彼は、科学者ではないのだ。
翻訳した内容を南極に送った。
スイッチは始めからないのだ。
この船は、レンコにのみ反応して起動するのだ。
反重力装置に絞って調査した。
しかし、設計書だけでは無理だ。
基本原理さえ解っていない。
調査隊は、ギザに戻った。
第7話 鉱物貯蔵庫
リンカは、鉱物の祭殿に辿り着いた。
そこには、命鎮を構成しているものと同じ物質が、未加工のままあった。
科学者達は、その物質を調べた。
それは、ダイバリオンだった。
現在の科学では、仮設上のものである。
中性子星の内部でのみ生成されると考えられていた。
ダイバリオンは、電荷を持っていなかった。
波動エネルギーに反応する事が解った。
ダイバリオンは、波動エネルギーに共鳴した。
ダイバリオンは素粒子の1つだ。
素粒子の内部を探査した。
ダイバリオンは、クォ‐ク6個で構成されている事が解った。
アップ・クォ‐ク2個。
ダウン・クォ‐ク2個。
ストレンジ・クォ‐ク2個。
自然界の物質を構成する元素の原子核は、陽子と中性子から成る。
陽子は、アップ・クォ‐ク2個とダウン・クォ‐ク1個から構成される。
中性子は、アップ・クォ‐ク1個とダウン・クォ‐ク2個から構成される。
ダイバリオンは、陽子と中性子の2倍の質量を持つ事が解った。
実用化に向けて更なる研究は続けられた。
第8話 儀式(1)
時は、2038年。
命鎮で目覚めた欠片達の儀式が行われた。
12片が参加した。
ケンヤには、『予備の本』を。
ナサリには、『想定の字』を。
コーマには、『悠久の粒』を。
コウヤには、『引用の棚』を。
ジンカには、『部分の机』を。
セイヒには、『追憶の槌』を。
ガンザには、『権利の券』を。
ルクサには、『集合の盤』を。
リエンには、『溶解の蝋』を。
カントには、『記憶の包』を。
セムルには、『絶縁の鉛』を。
ケシリには、『不可の銅』を。
ケンヤは、判断能力者だった。
ナサリは、判断能力者だった。
コーマは、テレポーターだった。
コウヤは、立案者だった。
ジンカは、立案者だった。
セイヒは、裁定者だった。
ガンザは、単独テレポーターだった。
ルクサは、情報分析者だった。
リエンは、探知能力者だった。
カントは、探知能力者だった。
セムルは、科学者だった。電気と量子力学が専門だった。
ケシリは、科学者だった。情報工学が専門だった。
第9話 儀式(2)
11片が参加した。
エントには、『拒否の閥』を。
キリリには、『混沌の杭』を。
サワトには、『不動の兜』を。
ミチルには、『鼓舞の鼓』を。
キスゲには、『怒涛の扇』を。
ライカには、『甲殻の壁』を。
キンテには、『捕縛の柵』を。
アルバには、『自在の棍』を。
シオラには、『夢想の房』を。
ミサウには、『散銀の霰』を。
フミザには、『氷結の霜』を。
エントは、結界能力者だった。
キリリは、結界能力者だった。
サワトは、指揮者だった。
ミチルは、指揮者だった。
キスゲは、指揮者だった。
ライカは、念動力者だった。
キンテは、念動力者だった。
アルバは、念動力者だった。
シオラは、浄化者だった。
ミサウは、浄化者だった。
フミザは、浄化者だった。
第10話 編成
時は、2037年を過ぎようとしていた。
クラサの、予言は当たる。
東欧が緊迫していた。
東欧に派遣するメンバーが編成された。
シラエは、複数の欠片の複合体を構成した。
主力は、リーダーをリムズとした。
副リーダーをカクトとした。
作戦参謀はヒチガだ。
ミーサ・シンク・キリン・キリリ・オウシ・コンシ・アルバ・
アユザ・モルクが複合された。
これにより、強制暗示・透視・結界・高強度結界・精神を寸断・一点の矛・
精神力補充・精神力吸収の能力が集中された。
遊撃隊を3隊作った。
1隊は、リーダーをシクマとした。
副リーダーをタンザとした。
作戦参謀はムカラだ。
トーヤ・ミスズ・ミサラ・ケリン・エント・ランカ・キンテが複合された。
これにより、生命体を転送・強制睡眠・欠片の帰還・封印結界・結界探索・
瞬発の矢・捕縛の柵の能力が集中された。
1隊は、リーダーをサムシとした。副リーダーをモーラとした。作戦参謀はユッカだ。
複合体には、ジセン・ヤット・ヤンク・マーサが複合された。
これにより、思考停止・聴覚追跡・結界・精神圧縮・テレポートの能力が集中された。
1隊は、リーダーをナムラとした。副リーダーをランドとした。作戦参謀はジャムだ。
複合体には、クモリ・イフル・イトガ・ライカ・クスカ・ナシギが複合された。
これにより、撹乱・迷路結界・地底攻撃・遠隔攻撃・幻惑の霧・生命転送の能力
が集中された。
リンカとリエンは、命鎮の調査を行った。
カントは、南極の宇宙船の調査を行った。
ルクサをリーダーとし、西方の情報分析を行った。
メンバーは、ケイト・ダエム・同行性テレポーター、特殊能力者だ。
科学者とケリシは、命鎮・南極と別れて調査、研究を行った。
指揮者の一部とサタリ・ブルト・ルサカは、建造物を増設した。
ミチヤを含む他の判断者・裁定者・クラサはギザに残って本部とした。
各複合体との、ギザの連絡は、ランサ・ガンザだ。
命鎮と南極との、ギザの連絡は、リエドだ。