第5章 日本
第5章 日本
第1話 東方
真の命鎮の把握は、済んでいなかった。
リンカをリーダーとし、調査は進められた。
メンバーは、ケイトとシルクだ。
日本の統一のため、東方の制圧が始まった。
今度は、異なる欠片との決戦が予想される。
作戦は従来通りだ。
前線部隊に、支援部隊、遊撃隊が組まれた。
基本は、無血だ。
血は、望まない。
目的は、異なる欠片の駆除だ。
東方の制圧が始まった。
第2話 撤退
西方制圧と同じ様に暗示による撹乱作戦を行なった。
それに気付いた時は、遅かった。
逆暗示にかかるものが続出していた。
作戦は、東海方面、内陸方面、北陸方面で行なわれていた。
一時撤退がされた。
実行部隊の者達は、大阪に集められ治療が行なわれた。
リムズとヤットがバベルから呼び寄せられた。
代わりにバベルへは、シクマが駐在した。
リムズには、『沈黙の紙』を。
ヤットには、『栓石の板』を。
リムズによる強制暗示が、異なる欠片にかけられた。
未だ効果は、確かめられない。
カクトをリーダーとし、北陸方面で欠片達だけで撹乱作戦が行なわれた。
集落から集まった者達は、作戦から外された。
欠片達は、自己の精神をブロックできる。
異なる欠片の逆暗示攻撃は、激減されたようだ。
作戦を変えた。
先ず、制圧地域に、結界を張るにした。
それから、撹乱攻撃をかける。
制圧は、西方と比べ遅くなった。
第3話 精神と物質世界
シルクは、精神が及ぼす物質世界への影響を考察していた。
精神と、物質世界とのインターフェイス(IF)はどうなっているのだろうか?
IFが脳だという事は解っている。
だが、念動力者などは、直接物質世界に影響を与える。
精神を感知する装置はできるのだろうか?
シルクの課題となった。
第4話 解放
大阪でミスズが封印した3つの結界が、自らの結界を解除した。
我らとの接触を望んでいるのだろうか?
交渉は、封印結界の中で行なわれた。
彼らは、基の欠片へ還りたいそうだ。
トーヤが呼ばれた。
彼らは、いくつかの情報をもたらした。
「異なる欠片の勢力圏が北は万里の長城までである事」
「西は中東に少しかかる程度である事」
「インドも勢力圏である事」
「南は、インドネシアまでである事」
「本部は、中国にある事」
全てを鵜呑みには、出来なかった。
トーヤは、鎮魂の鏡の能力を使って、彼らを基の欠片に還した。
第5話 仲間
時は、2030年。
モヘンジョ・ダロで、目覚めたものが10歳になった。
主神殿で儀式が行われた。
ムサザは、『黒陽の紙』を。
ヒチガは、『立賢の枝』を。
ユテラは、『公平の秤』を。
ケリシは、『透明の皿』を。
ダエムは、『深遠の手』を。
ランドは、『進退の角』を。
コンシは、『一点の矛』を。
イトガは、『飛翔の弓』を。
クスカは、『幻惑の霧』を。
ムサザは、判断能力者だった。
ヒチガは、立案者だった。
ユテラは、裁定者だった。
ケリシは、分析者だった。
あらゆる物質の構造を分析出来た。
ダエムは、心理感知者だった。
広範囲の生命体の心理状態を把握出来た。
ランドは、指揮者だった。
コンシは、念動力者だった。
対象者の精神、肉体を貫く事が出来た。
イトガ、念動力者だった。
遠隔攻撃が出来た。彼の放つ矢は、複数の対象者に向かった。
クスカは、浄化者だった。
『幻惑の霧』は、幻惑を誘った。
第6話 数学
ヤーナは、「複雑の木」理論を完成させた。
この世界は、1定の条件の基に3つ集合から構成される。
1つは、完全に独立した系であり、物質世界からは確認する事はできない。
残りの二つは、重なり合い共有部分を持つ。
重ならない双方の部分同士が直接干渉しあう事はない。
共有部分をインターフェイス集合(IS)と呼ぶ事にした。
ISは、重ならない部分同士を繋げる。
この3つの集合が、多岐に渡る木構造を成し物質世界を構成する。
ミチヤに大きな影響を与えた。
思考に分類方法、再構築方法、複雑性思考などが産まれた。
第7話 東京
時は、2031年。
制圧は、遅々としていた。
北陸は、富山まで。
中部は、岐阜まで。
東海は、静岡まで。
東京に直接、攻撃を仕掛ける事になった。
リーダーはミチヤ。
副リーダーは、リムズ。
メンバーは、
ムカラ
ユッカ
ジャム
トーヤ
シンク
ヤット
ミスズ
ミサラ
オウシ
コンシ
イトガ
クスカ
マーサ
ナシギ
モシン
命鎮との連絡役は、ランサだ。
異なる欠片の情報は、ほとんどない。
第8話 決戦
いくつかの作戦が実行された。
前線の拠点には、シンクが結界を張った。
命鎮では、ミーサとジセンが眼と耳で情報を集める。
トーヤは、異なる欠片を探し出す。
ミサラは、異なる欠片の張る結界を探し出す。
ミスズは、その結界を封印する。
リムズは、強制暗示を関東にかけた。
ムカラは、強制睡眠をかけた。
ユッカは、思考停止をかけた。
ジャムは、強制撹乱をかけた。
クスカは、『幻惑の霧』で幻惑させた。
オウシは、抵抗するものを精連の剣で寸断した。
コンシとイトガも、精神を傷つける。
発見された異なる欠片は、オウシによって精神を破壊される。
そして、命と肉体だけが残る。
それらはヤットの張った結界にナシギによって転送される。
結界を張るものは、ミスズによってそれを封印された。
全ての異なるもの達が、掃討された。
トーヤは彼らを基の欠片へ還した。
日本での闘いは、終わった。
第9話 立国
日本は、完全に世界から独立した。
シンクとヤットは、全ての領域に結界を張った。
世界中からは、見えない領域となった。
ウエーブ・フィールドが領域を囲んだ。
吸収型核融合炉の総出力は、2056JEあった。
人々の労働時間は、週に15時間となっていた。
余剰の時間は、ボランティア活動、趣味、学問などに当てられた。
人気のあったのは、教育であった。
多くの人々が学びを望んだ。
第10話 政体
かつての日本の構造物は取り壊された。
小人数による集落体制が取られた。
自然の回復は、未だ先の事だろう。
人々は植林、公園、動物保護に努めた。
道路、鉄道は撤去された。
サタリにより、集落にはゲートが作られた。
ゲートにより集落や中央に移動できる。
科学者達により、運搬ロボットも作られた。
それ以外の移動手段は、電動の小型飛行機と比較的大型の飛行艇だ。
飛行メカは、自動操縦だ。
各地に建設されたナビ塔から発信される指令により飛ぶ。
自動アイは、指令の確認に使われる。
ミチヤ達は東域の制圧に向かおうとしていた。
中国から攻める。
時は、2032年を過ぎようとしていた。