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第3章 始動

第3章 始動


第1話 大阪


 時は、2024年。


 ミサラは、3箇所の結界を探し出していた。

ミスズはその場所に赴き、結界を封印した。

これで、その結界への出入りは出来ない。

中の結界が解かれると、ミスズには感知できる。


 シンクは、大阪のほとんどに結界を張った。

シンクの能力も、規模を増していた。


 ユキムは、『浄化の雪』を降らせた。

ユキムは、半径10Kmに毎日降らせる事ができるようになった。

ヒサラは、傷ついたものを治療した。

ニシラも、肉体の治療をした。


 ミチヤは、大阪中に念話発信をした。

「我々は、大阪に結界を張った」

「大阪は、日本と隔絶した」

「去るもよし」

「家族のあるものは、連れてくるのもよし」


 大阪の人々は、混乱した。

しかし、『浄化の雪』を浴びたものは、落ち着きを取り戻した。

人々は、自らの進退を考えた。

ほとんどの人々は、残った。

そして、家族を呼び寄せるために各地に旅立った。

彼らには、結界への連絡の仕方を教えている。

出入りの個体識別は、感知能力者が行う。

仮に中に敵意のあるものが潜り込んでも『浄化の雪』には抵抗できない。


 全ての混乱が鎮まるまで半年かかった。


 日本では、混乱が起こっていた。

新幹線が京都を出発すると、新神戸に到着した。

乗客には、何の違和感も無かったが、大阪に行きたいものは困った。

マスコミも大騒ぎをした。

多くの評論家も、様々な憶測をした。

国会でも対策が練られた。

経済は、混沌とした。

自衛隊は、緊急対策処置をとった。


内閣首脳部には、異なる欠片からメッセージが届いていた。



第2話 三重・和歌山


 日本の異なる欠片には、混乱の原因が分かっていた。

しかし、彼らでは対処ができない。

本部に連絡した。

本部は中国にある。

内閣はマスコミに報道管制を要請した。


 ユキムは、三重・和歌山の自衛隊駐屯地に『浄化の雪』を降らせた。

和歌山駐屯地

久居駐屯地

明野駐屯地


 『浄化の雪』は、人から支配欲と物質欲を取り除いた。


 シンクは、結界を張った。


 それは、三重・和歌山のほとんどをカバーした。


 中国から、異なる欠片が二片来日した。

1片は、結界探知者。

1片は、結界破壊者。


 シンクの結界に亀裂が走った。



第3話 一時凌ぎ


 この頃西方偵察隊はカッパドキアにいた。

この先の西方の情報を得た。


 ここの集落の長によれば、ここから西方は危険極まりないらしい。

彼らも数千年前、この地に逃れてきたのだそうだ。


 マーサを日本に4つの欠片と送ると共に、ミチヤに提案をした。


 シクマは、これ以上拠点を分散するのは、好ましくないと思った。

この集落のもの達を命鎮に送る事をミチヤに提案した。

ミチヤも、これに同意した。


 シクマ達は、エジプトへ向かった。


シベルは、雨を。

ヤンクは、盾を。

イフルは、棒を。

ムカラは、粉を。


 シベルは、士気をあげた。

人には、希望を与えた。


 ヤンクは、念動力者だ。

重機数百台分の力を持つ。


 イフルも、念動力者だ。

凄まじい勢いで地中を掘り進む事が出来た。


 ムカラは、立案者だ。

生命体を眠らせる事が出来た。


 ヤンクは、幾度となく結界破壊者を弾き飛ばした。

ムカラは、結界探知者に催眠暗示をかけ続けた。

シンクの結界は、持ち直し敵の侵入を防いだ。


 だが、一時凌ぎである事は知っていた。


 ドンガは、一基の吸収型核融合炉を既に作っていた。

吸収型核融合炉は、核融合時に放射する中性子を再取り込みし、

太陽光と共に、核融合を加速させる発電所だ。

その電力量は、現在の日本の総電力量の約3倍に相当する。


 シルクとアシツは、その電力を電磁バリアに変換する手法を

開発し、建設していた。



第4話 撃退


 電磁バリアが、シンクの結界の外に張られた。

効果は直ぐ発揮された。

異なる欠片の攻撃は通用しなくなった。

結界探知者と結界破壊者は撤退した。


 シルクとドンガ、アシツは、更なる研究と吸収型核融合炉の増設を行なった。

ヤンクとイフルの力で増設は一基目の1/10の日数で済んだ。


 ユキムとシベルは、結界内に『浄化の雪』と『希望の雨』を降らせた。

それらは人々から支配欲と物質欲を取り除いた。

そして、希望を持つ心を与えた。

安らぎが与えられた。


 結界内では争いはなくなり、新しい社会の構築を行おうとしていた。

人々は、自らが望むものを探し出した。

当面の生活に困らない物資は潤沢にある。

ニシラは、人造食料の開発に成功していた。


 欠片達は、次の闘いの準備に忙しかった。

「混じった欠片」は、新しい欠片達を見守った。


 ミチヤ達は、西へ向かうか?東に向かうか?決めかねていた。

いずれにしろ、発電所の増設待ちとなる。


時は、2025年。



第5話 エジプト(1)


 彼らは、誰かに覗かれているような錯覚を覚えた。

だが、トーヤには何者の意図も感じられない。


 彼らは、突然迷宮へと引きずり込まれた。

ここが何処なのか、何時なのかさえ理解不能となった。

思考停止が求められた。


 いつの間にか、彼らは寝所にいた。

長は言う。

「知らぬものには、抵抗できない。」

「あれは、我らの祖先達が作った罠じゃ。」


ナムラは、札を。

ユッカは、軸を。

モシンは、靴を。

ヤーナは、木を。

クランは、針を。

ケリンは、瓶を。



第6話 エジプト(2)


 ナムラは、判断能力者だった。

ギザのピラミッドの扱いを委ねられていた。


 ユッカは、立案者だった。

一時的に対象者の思考を停める事が出来た。


 モシンは、テレポーターだった。

複数の人を同行出来た。


 ヤーナは、科学者だった。

数学を専攻していた。


 クランも、科学者だった。

天文学を専攻していた。


 ケリンは、結界能力者だった。

ギザのピラミッドの護りを委ねられていた。


 シクマは、ギザのピラミッド3つの内の1つの内部を見せて貰った。

何の機構なのか理解できなかった。

この地の種族に残された念紙を解読したナムラだけが、知っているという。

彼によると、このピラミッド自体が機能であり、防御なのだそうだ。


 「祀られたもの」とは、これと似たようなものだろうか?


 その時、揺らいでいた3つの欠片が、産声をあげた。

トーヤは、日本に欠片を送った。


 ナムラとケリンを残し、目覚めた4片は日本へと向かった。

産声をあげた3つの欠片も日本へ送られた。


彼らの次の目的地は、アンコール・ワットだ。



第7話 アンコール・ワット


 彼らは、そこで不思議なものを眼にする。

ここの長は言う。

「何者も近づけないのだ」


 それは、光り輝く剣だった。

オーシが近づき剣に触れた。

剣は、主を待っていた。

剣は、オーシの身体に溶け込んだ。


 オーシは、第2の目覚めを得た。

オーシは、喜びに叫んだ。

その剣は、戦友であり、オーシの一部でもあるのだ。

かつてその剣は、『精連の剣』と呼ばれていた。


 この地には、3つの欠片達がいた。


リンカは、晶を。

ジャムは、樋を。

ブルトは、土を。


 リンカは、探知能力を持っていた。

そのものの望むものを探し当てた。


 ジャムは、立案者だった。

一時的に対象者の狙いを逸らす事が出来た。


 ブルトは、念動力者だ。

器用に物質を積み上げた。


 彼らの全てが、命鎮へ向かった。


 彼らの次の目的地は、インドネシアだ。



第8話 インドネシア


 そこでも、発見があった。

シクマは、『運命の箱』を手に入れた。


 この地にも、3つの欠片達がいた。


ナシギは、台を。

ルサカは、塀を。

モーラは、鞘を。


 ナシギは、転送者だった。

全てのものを何処へでも転送出来た。


 ルサカは、念動力者だった。

全ての物質を接ぐ事が出来た。


 モーラは、指揮者だった。

この地の紛争には、必ず彼の係わりがあった。


 この地には、不思議な地形、古代の建造物が多かった。

後にこれが重要な意味を持つ事に気付く。


彼らは、ニューギニアへむかった。


第9話 ニューギニア


 この地にも、3つの欠片達がいた。


ネントは、紬を。

ケイトは、窓を。

ユンサは、露を。


 ネントは、科学者だった。

生物学と脳を科学していた。


 ケイトは、計測者だった。

居ながらにして、地図を作製出来た。


 ユンサは、浄化者だった。

人々に愛を芽生えさせた。


 この地は、比較的穏やかだった。

この地にも、不思議な地形が多かった。


 ミーサを呼び寄せた。

海底を探らせた。

「人工構造物らしきものが多く存在します」


 この地の探索は、後回しとなった。

命鎮の準備が整いつつあり、次の作戦が決行されようとしていた。


 彼らは、沖縄を経由して命鎮に戻る事にした。



第10話 沖縄


 沖縄には、ニューギニアの海底と似たものがあるという。


 ユーラからメッセージが届いた。

ユーラはメッセージを発するために、相当のエネルギーを消耗する。

大切なメッセージだ。


「祀られたもの」


 彼らは、吸い込まれるようにその場所に着いた。

「祀られたもの」があった。

彼らには、一目で解った。


 ここが、真の命鎮なのだ。

主神殿を初めとして、いくつもの神殿、祭殿があった。

古からの贈り物だ。


 ここは、主神殿らしい。

主神殿では、儀式が行われた。

儀式は意図せずとも行われた。


 トーヤには、『鎮魂の鏡』が与えられた。

 マーサには、『遠久の椀』が与えられた。


 彼らは、今の命鎮に戻りこの事を報せた。



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