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第2章 模索

第2章 模索


第1話 チベット


 時は、2020年。


 チベットは、中華人民共和国の支配下にあった。

人の社会は、それぞれに格差が付き各地で暴動が起きていた。

ここチベットでも中国からの独立を望み、暴動が起きていた。

人の命が失われ、傷ついていた。


 ミチヤ達は、チベットに着いた。


 迎えがいた。

彼らは、人とは異なる独自の集落を持つ。

日本と同じように、人とは隔絶していた。

迎えの車窓から見える景色は、自然だけを残し廃墟が目立った。

争いが過激になっているようだ。

日本と違い、現実に血が流されている。

ミチヤ達は、集落についた。


シクマは、箱を。

ジセンは、耳を。

タンザは、笛を。

クモリは、網を。

サタリは、糸を。

ニシラは、水を。



第2話 参戦


 シクマは、判断能力が優れていた。

ある一定の結界にいる生命体を、何処へでも転送できた。


 ジセンは、いかなる障害も受けず音を聞く事が出来た。

必要な音だけを聞き分ける事が出来た。


 タンザは、戦闘指揮が抜群に優れていた。

彼の率いる部隊が、負ける事はなかった。


 クモリは、結界能力者だった。

彼の結界に入ると永遠に迷路を歩く事になる。


 サタリも、結界能力者だった。

自分の作った結界同士を自由に行き来できた。


 ニシラは、治癒能力を持っていた。

医学の知識も豊富だった。


 彼らは、その能力を使い独立運動に参戦しているらしい。


 ミチヤは、思案した。

「このままでは、収拾がつかない」


 決断をした。

マーサを日本に向かわせ、シンクを呼び寄せた。

シンクに巨大な結界を張らせた。

クモリは、その外側に迷路結界を張った。

望むものは、この結界の中に招き入れる事にした。


 しかし、この結界がいつまで保つのかは、分からなかった。


 一時的かもしれないが、争いは鎮まった。



第3話 再編成


 ミチヤは、再編成を考えていた。

拠点は日本に3箇所。チベットに1箇所。

そして、大和近辺に新たな新設拠点が1箇所。


 新設拠点を、『命鎮』と名付けた。

日本の3拠点は、現状維持とした。


 チベットには、

サムシ

クモリ

ニシラは、現在治療中のものが回復するまで残る事とした。


 旅立つものも、限定した。

ミチヤ

マーサ

オウシ

トーヤ


 他の者は、『命鎮』へと集結した。


 彼らに、変化があった。

経験、見聞による成長であろうか?


 顕著なのは、マーサであった。

同行できるのが一人だけだったのが、複数の同行ができるようになっていた。


 彼らが持つ宝器が、また共鳴し、言葉を発した。

「モヘンジョ・ダロヘ」



第4話 モヘンジョ・ダロ


 モヘンジョ・ダロは、インダス文明最大級の都市遺跡である。

モヘンジョ・ダロは、現地の言葉で「死の丘」を意味する。


 死の丘からさほど離れていないところに、それはあった。

9つの命の欠片が揺らいでいる。


 ミチヤ達は、突然襲われた。

気配が読めなかったのだ。

しかし、彼らの武器は原始的なものだった。

オウシは、数人を蹴散らし、数人を捕らえた。

残りのもの達は、退散した。

「どうしてここが分かった」

トーヤは、彼らの心を読んだ。

敵意に満ちている。

命の種も探った。

興味深いものだった。

人でもあり、欠片でもあるのだ。

「お前達は、何者だ」


 ミチヤは、諭した。

敵ではない事を説明し、ユーラの欠片である事を説明した。

彼らの一人を長の元へ帰した。

程なく、迎えが来た。


 長が言う。

「我らは、護り人、隠れ人」

「この死の丘の欠片を護っている」

「何千年も昔から」


 揺らぎが収まり、産声が聞こえた。

共鳴が起きた。

「託しなさい」

長に向けられた言葉だった。


 トーヤは、日本の3拠点に赤子を預けた。

この集落のもの達を「混じった欠片」と呼ぶ事にした。

彼らが言い出したのだ。

彼らは日本に行きたいという。

「我らの役目は、終わった」

「この子達の傍に居たい」


 彼らが持つ宝器が、また共鳴し、言葉を発した。

「バベルヘ」



第5話 バベル(1)


 バベルは、何処にあるのだろう。

いつもの事だが、特定の場所は指定されない。

行けば、何とかなる。

ミチヤ達は、イラクに向かった。


 首都は、バグダードだ。

ミチヤ達は、あてどなく郊外へと向かった。

どこからともなく、鳥が飛んできた。

迎えだろうか。

彼らは、後を追った。


 3日ほど追った時、砂嵐が襲った。

結界に迷い込んだ。

トーヤが、言った。

「この結界内に生命体はいません」


 マーサは、脱出を試みた。

いとも簡単に脱出できた。


 しかし、着地点は意図した場所と違った。

今度は、周囲をレンガ様のもので固めた部屋だった。

 マーサは、脱出を試みた。

今度は、失敗した。

オウシは、片端からレンガを崩した。

その時、声が響いた。

「すまなかった」

「歓迎する」


 目の前には、高層ビルを何十倍にもしたような塔が林立している。

その中でも最も高く、優雅な建物に案内された。


 長がいうには、古来より侵入者が絶えず、先祖が幾重にも罠をしかけたそうだ。

「仲間である事は知っていた」

「その時は、来たらしい」



第6話 バベル(2)


リムズは、紙を。

シルクは、筒を。

ドンガは、輪を。

アシツは、錐を。

マワクは、杖を。

ミスズは、縄を。

ヤットは、板を。

ミサラは、鐘を。

ヒサラは、糊を。


 リムズは、判断能力者だった。

強力な暗示能力も使えた。


 シルクは、物理学者だった。

人が未知とする宇宙の法則を解く術を知っていた。


 ドンガは、エネルギーの研究者だった。

人が未知とするエネルギーを開発する術を知っていた。


 アシツは、機械屋だった。

物質に溶け込み、工作も修理もできた。


 マワクは、裁定者だった。

罪を裁き、行動の裁定を行なった。


 ミスズは、結界能力者だった。

他者の結界の上から封印結界を張る事ができた。


 ヤットも、結界能力者だった。

結界の威力は他を圧倒した。


 ミサラも、結界能力者だった。

他者の結界を探索出来た。


 ヒサラは、安定者と呼ばれた。

『命』・『精神』・『肉体』の綻びを治す事ができた。


 更に、4つの欠片から、産声が聞こえた。

マーサは、日本に運んだ。

そして「混じった欠片」に預けた。



第7話 念紙


 ミチヤに念紙が渡された。

バベルの者達には、解読できないらしい。


「異なる欠片がいる」

「ここから先は、境界に踏み込む」

「護るのならば、戻れ」

「攻めるのならば、進め」


「戻るのならば・・・」

「ムーの切れ端は、護られている」

「祀られたものを探せ」


「攻めるのならば・・・」

「○○○を探すがよい」

「強大な敵が、待ち受けているだろう」


 ミチヤは、戻る事にした。


 この先には、偵察隊を送る事にした。

シクマをリーダーとした。

トーヤ

オウシ

マーサ


 そして、バベルには、

リムズをリーダーとして、ヤットもバベルの護りに残った。


 他のものは、日本に戻った。



第8話 命鎮


 時は、2023年。


 命鎮は、広大な面積を占めていた。

二上山、葛城山、金剛山、高野山を含む大阪、和歌山、三重のそれぞれの一部に

築かれていた。


 主結界は、シンクによるものだ。

内部は、テンエにより運び込まれた物資で物理ドームも作られていた。

居住区も整備されていた。

研究所も多く設けられていた。

地下には、緊急シェルターもあった。

貯蔵庫もある。


 日本の3拠点から多くの欠片が集っていた。

彼らのほとんどが、建設に携わった。

一部のものが異なる欠片の偵察隊となった。


 ミーサの透視能力は、飛躍的に成長した。

日本国内ならば、居ながら全てを見渡せる。

ただ、隠されたものは見えなかった。


 ジセンも聴力分析能力が、格段に成長した。

日本国内ならば、追跡不可能なものはない。

見えないものでも、音さえあれば分析できる。


 偵察隊は、2隊編成された。

1つは、隊長をカクトとし、副隊長をミサラとした。

1つは、隊長をタンザとし、副隊長をサタリとした。

カクトは、大阪へ向かった。

タンザは、東京へ向かった。


 ランサは、毎日チベットとバベルと連絡をとった。



第9話 方針


 日本では、国土地理院で騒ぎが持ち上がっていた。

全体の面積は、変わっていないのに特定の三角点に到達できないのだ。

調査隊が組まれ、自衛隊のヘリコプターも出動していた。

『地図から消えた領域』として、マスコミにも嗅ぎ付けられつつあった。


 シクマは、トルコのカッパドキアに向かっている。


今後の方針を決めるために、

ミチヤ

マワク

クラサ

ミーサ

ジセン

が集まった。


 最も議論されたのが、念紙に書かれていた

「ムーの切れ端は、護られている」

「祀られたものを探せ」

だった。


 日本が、かつてのムー大陸の一部だというのか?

『祀られたもの』とは、何か?


 結論はでなかった。

情報が少な過ぎるのだ。


 次に議題に上がったのは、異なる欠片の勢力だ。

日本が、彼らに支配されているのは確実だった。

彼らの能力は未知数だ。

情報が欲しい。


 『炙り出し』作戦を、取る事になった。

カクトらが、集めた情報を元に、

「結界の拡大」

「異なる欠片の結界の封印」

「ユキムによる人の浄化」

「ヒサラによる安定治療」


 大阪を中心とし、結界の拡大を最初の行動にした。



第10話 決断


 チベットは、サムシとクモリに任せた。

バベルは、リムズとヤットに任せた。

連絡役は、ランサだ。


 西方偵察隊は、今、カッパドキアにいる。

深入りしないように警告している。


 カクトらには、殺傷を禁じた。

人に攻撃を受けた時は、暗示能力を用い対応する。

3拠点から集まったものも、暗示能力を多少持っている。

身体能力、勘も人とは較べられない。


 目的は、『炙り出し』だ。

敵を表に引き摺り出すのが目的なのだ。


 最初の制圧目標は、大阪だ。

制圧すれば、日本の機能が大幅に削減される事が予測される。

そして少しずつ北上する。


 クラサの予知は格段に向上している。

クラサは方針に吉兆を示した。


 マワクの裁定も降りた。


 作戦は決行された。



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