第10章 編成
第10章 編成
第1話 儀式(1)
時は、2045年。
エジプトで目覚めた欠片達の儀式が行われた。
9片が参加した。
ルカラには、『静謐の筆』を。
ヒルカには、『定演の堰』を。
ミジリには、『屹立の文』を。
ルンバには、『豪円の硯』を。
セントには、『雪窓の表』を。
コイタには、『祝福の杯』を。
ダシトには、『永久の綱』を。
アルメには、『細動の絹』を。
フレンには、『微粒の革』を。
ルカラは、判断能力者だった。
ヒルカは、テレポーターだった。
ミジリは、立案者だった。
ルンバは、立案者だった。
セントは、立案者だった。
コイタは、裁定者だった。
ダシトは、テレポーターだった。
アルメは、生命体感知者だった。
フレンは、生命体感知者だった。
第2話 儀式(2)
9片が参加した。
アンケには、『螺旋の泡』を。
セツユには、『無明の檻』を。
カモンには、『反則の竃』を。
レクミには、『解放の門』を。
マルガには、『精鋭の印』を。
ビウレには、『堅治の城』を。
サンヒには、『誘因の垣』を。
ロートには、『臥新の襖』を。
ジシムには、『覗闇の社』を。
アンケは、科学者だった。遺伝子・細胞を専門とした。
セツユは、科学者だった。問題・命題の発見者だった。
カモンは、結界者だった。反物質を吸収した。
レクミは、結界者だった。他者の結界を解除した。
マルガは、指揮者だった。
ビウレは、指揮者だった。
サンヒは、指揮者だった。
ロートは、指揮者だった。
ジシムは、過去視を持っていた。
第3話 指揮系統
108の欠片が揃った。
彼らには、主神殿を除く108の神殿が与えられた。
彼らは、人類との接触は極力しない。
補助だけが人々との接点だ。
彼らの目的は、ユーラを命の源に還す事だ。
彼らは、指揮系統を作った。
最高決定議会は、判断者9片と立案者12片、裁定者4片と巫女のクラサで
構成された。
リーダーは、ミチヤとなった。
その直下に、
トーヤを長とする感覚能力者
シルクを長とする科学者とレンコの欠片の一部
シンクを長とする結界能力者
カクトを長とする指揮者
オウシを長とする念動力者
ユキムを長とする巫女
マーサを長とするテレポーター
特殊能力者
チーランカを長とする魔女
シーレントを長とする聖徒
が、入った。
レンコの欠片達は、リーダーとしてミチヤを認めた。
第4話 細胞リサイクル
レンコの欠片達の長寿の謎が解かれた。
バチカンからの蔵書、翻訳書に技術が記述されていた。
細胞が死滅する前に、自発的に分解する。
そして、それを補充物質と共に再構築するのだ。
細胞自発分解の遺伝子は、通常オフになっている。
それを発現させる。
同時に、再構築遺伝子も発現させる。
この発現には、精神の安定度の高さが必要だ。
そして、望み、願いの強さがリサイクルを早める。
欠片達は、これを可能にした。
人類は、いつ可能にできるのだろうか?
第5話 南アメリカ
最後の異なる欠片が米国にいる。
侵攻は、南米から行われた。
南米は、敵に侵されていないようだ。
偵察隊が米国本土に潜り込んだ。
敵の主戦力は、物質兵器らしい。
悪魔と違い、物質での闘いになりそうだ。
敵は、ダイバリオンの開発には成功していないようだ。
だが、注意を向けた情報があった。
それは、反物質兵器だ。
反中性子爆弾の開発に成功しているようだ。
という事は、反中性子を対消滅まで保持しておく物質が必要になる。
最低でもD1Cの開発には、成功している事になる。
反中性子が直撃すると、対消滅と同時に大爆発となる。
情報の正確さが勝負を分ける。
更なる偵察を行う事になった。
侵攻は、取り止めとなった。
第6話 反物質
質量とスピンが同一で電荷が反対の素粒子を反物質という。
反物質の研究は、聖徒の科学者が進めていた。
反物質は、自然界では寿命が短い。
そのため、自然界にはほとんど存在しないとされている。
反物質を自然界に放つと対消滅により巨大なエネルギーを放出して、
消え去ってしまう。
そのために反物質を爆弾として使用する場合、保持する機構が必要となる。
ダイバリオンを保持機構として利用すれば、比較的簡単に製作できるという。
問題なのは、爆弾化するための反物質の生成だ。
巨大なエネルギーを必要とする。
そのために、巨大あるいは効率的な粒子加速器が必要となる。
おそらく効率的な粒子加速器の開発に成功したのだろう。
物資の豊かな米国だ。
多くの爆弾を持っているだろう。
侵攻の対策が必要だ。
防衛対策も必要となる。
第7話 Dスーツ
D4Cによる防御スーツの開発が行われた。
今度の敵は、物質を主戦力としている。
精神体だけでは、効果的な攻撃ができない。
肉体も必要とする。
Dスーツは、D4Cで構成されナノ単位の薄さだった。
これで、反物質の攻撃は防ぐ事ができる。
D4Cは中性子を含んでいない。
反中性子爆弾は対消滅を起こせない。
硬度は地球上で最も硬い。
鉄の厚さ数十mに相当する。
耐熱性は何万度まで耐えられるか未知数だ。
更にD5による裏コーティングもされた。
D5A装置も備えられている。
これで自由に浮き沈みできる。
飛行も可能だ。
第8話 強化フィールド
勢力範囲のフィールドの改造が行われた。
ダイバリオンで全体を覆う事はできない。
ダイバリオンの絶対量が足りない。
ダイバリオンの生産、加工には相当のエネルギーを必要とする。
施設の建設は進められているが、間に合いそうにない。
カモンが投入された。
彼は、反物質を吸収できる。
更に、粒子加速器を中性子砲と連動した。
空中で、対消滅させる。
出来れば、大気圏外が望ましい。
対消滅で飛び出る放射線は核融合炉が吸収する。
ウエーブ・フィールドの効果は未知数だ。
第9話 米国(1)
開発された対策で万全だろうか?
南米からの侵攻が始まった。
パナマで敵の軍と遭遇した。
彼らは、こっちの正体に気付いているようだ。
いきなり反物質ミサイルが発射された。
Dスーツはかすり傷ひとつ、負わなかった。
Dスーツは反物質に有効性を示した。
敵は慌てた。
反物質ミサイルが効果を示さないのは驚きだった。
彼らは、撤退した。
最後の異なる欠片は、開発段階のダイバリオン共鳴波動砲を投入する事にした。
前線はメキシコとの境だ。
共鳴波動砲も通用しなかった。
Dスーツは共鳴波動を弾いた。
D4Cは共鳴波動を弾いた。
D4Cは安定したダイバリオンだ。
Dスーツには、無力だった。
彼らは、和解を望んだ。
第10話 米国(2)
最後の異なる欠片は、和解を望んだ。
彼らは基の欠片への帰還を条件に情報をくれた。
それは、「命の泉」についてだった。
地球は銀河系の辺境近くにある。
地球と銀河の中心の間の何処かにそれはあると言う。
そこは、命の欠片とは性質が違うらしい。
独立した欠片ではないようだ。
そこは、幾多の命を放散しているらしい。
人類、自然の命もそこから来ているのだろうか?
彼らは、続けて話した。
「そこに到達する事は、困難だろう。
いくつかの異なる欠片達と遭遇するだろう。
それらは、敵でもあり味方にもなるだろう。
地球と同じように文明を持つところもある。
技術ははるかに人類を凌駕するだろう。
固定した欠片は強大な文明を築いている。
我ら放浪の欠片とは次元が違う。
そこに向かうなら心せよ。
「命の泉」には、護り主もいる」
約束通り彼らを還した。
時は、2048年。




