ムカつきますよ綾
泣きたい放題泣いて、何事もなかったように振舞った。
輪も凄く気を使ってくれて、今までどおりに接っしてくれた。
ごめんね、輪。
「あ、静枝」
輪が急に反応した。
「なーに?」
「またきてる」
「え?またぁ?」
「またって・・・。
いいことなんだよ!」
「はいはい」
「あ、そこ右に曲がって」
「はいはい」
私は言われたとおりにした。
聞きなれた声が聞こえた。
「あはは!マジで~?!」
声の主は、私の親友・三上 綾。
甲高い声この声、聞き間違えるはずない。
綾は私に気づいていない。
てか気づけないよ、普通。
私は反射的に隠れた。
「静枝、何してんの?」
「いーから黙ってて」
「言いたくないけど、生きてる人に静枝の姿は見えないんだよ」
「あ、そっか」
そういえばそうだった。
私は隠れるのを辞めた。
「きゃはは~マジうけるぅ・・・うん、行けるいける~・・・え?静枝?」
ぴくっ。
私?
「あ~いいよアイツは・・・うん・・・はいはーい」
ムカムカムカムカムカムカムカムカ。
「静枝ってさぁ、可愛くて男子にモテルからってムカつくんだよねぇ」
はぁ?
確かに、綾の好きだった悠を振ったのを黙ってたのは悪かった。
悠は私にとってはただの友達。
カッコイイし、優しいけど、それ以上の関係にはなれない。
だからって・・・。
「ホント、死んでほしー!」
その言葉を放った綾の顔に、「冗談」という言葉はなかった。
恨みのこもった表情だった。
私は思った以上に傷ついていた。
親友だと思ってのに・・・。
「・・・うん、じゃーあとでね!ばーいばーい♥」
綾はそのまま私を通り過ぎた。
綾・・・ひどいよ・・・。
「静枝・・・」
輪の優しい声が聞こえた。
でも、綾の「死んでほしー!」という声が耳に響いていた。
綾、私はアンタを許す。
アンタは私を憎んでる。
憎くて憎くて仕方ないでしょう。
でも私はアンタを憎めない。
ムカつくことはあっても、憎むようなことはないもん。
だから・・・・。
覚悟しな、綾。