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尾行しますよ姉ー後編ー

頑張れ、お姉ちゃん!

心の中で、私は応援していた。

「よお、ブツは持ってきたか?」

お姉ちゃんはいつも持っているハンドバッグを逆さに落とした。

ゴロゴロ・・・。

たくさんの小石が出てきた。

4人のうちの、さっき話しかけてきたヤツをリーダーと呼ぶことにした。

リーダーは、しかめっ面をした。

「・・・おい。

 どういうことだ?」

リーダーはお姉ちゃんをギロッと睨んだ。

怖い。

その目は、何を仕出かすか分からない狂犬のような目だった。

他の3人・・・。

トサカっぽいのがトサカ。

ピアスいっぱい付けてるのがピアス。

チンピラっぽいのがチンピラ。

私は一人ずつあだ名を付けてやった。

チンピラ以外の3人は、只者じゃないということが私にも分かった。

コイツら3人揃って目付きが半端ない。

ビームでも出しそうな勢いだ。

お姉ちゃんは言った。

「あんた達に渡す金なんかない」

ブツって、お金の事だったんだ。

お姉ちゃんは淡々と続けた。

「いい加減返しなさいよ。

 友里がもの凄く傷ついてんのよ?

 あんた達って本当に最低」

友里さんというのは、お姉ちゃんの大親友。

地味だけど、可愛らしい人。

壁の花タイプの。

「へえ。

 あの馬鹿女よりは威勢がいいんだな」

ピアスが言った。

トサカも続いた。

「ホント婆婆臭くて、つまんないヤツだったよな」

チンピラは最低なトサカの冗談を笑った。

「ま、アイツの弱みは俺達が握ってるからなあ・・・」

リーダーはお姉ちゃんに一歩近づいて、

「お前にも・・・」

リーダーが背後に控えていた3人に、顎で合図を出した。

すると・・・。

リーダーが正面。

トサカが右。

ピアスが左。

チンピラが後ろ。

という形でお姉ちゃんが逃げられない状況を作った。

「っ!?」

「わからせてやる」

その言葉をリーダーが放った言葉に反応して、チンピラがお姉ちゃんを後ろから捕えた。

「ちょっと!

 何すんの?!」

「力入れなくていいぜ」

そう言うと、リーダーはお姉ちゃんの顔を殴った。

お姉ちゃんは18才。

傷1つない、きれいな体。

それなのに・・・。

リーダーはそのまま殴り続けた。

何か目付きがムカつく。

「っ・・・」

お姉ちゃんの押し殺した声が工場内に小さく響いた。

自然に足がその方向に向かっていた。

「静枝?!」

輪の怯えた声が聞こえる。

ごめん、輪。

「思った通り。

 お前案外いい根性してんじゃねえかよ」

リーダーはサイドの2人を見て、頷いた。

トサカはお姉ちゃんの髪を引っ張りやがった。

ピアスはずっと笑ってやがる。

「・・・・・」

お姉ちゃんは堪えている。

そりゃそうだ。

だってこれは、挑発だもん。

お姉ちゃんがついに悲鳴を上げて、私は恐怖という感情を忘れてリーダーに体当たりした。

スカッ。

私は冷たい地面に飛び込んだ。

「イテテテ・・・」

「静枝、言い忘れてたけど人間には触れられないんだよ」

「先に言ってよ!」

こんな事してる場合じゃない。

気づけばお姉ちゃんは顔が腫れていた。

「うぐっ・・・」

相変わらず連中はニヤニヤしている。

私は近くにあった棒を掴んでみた。

ー触れる!!

「人間には触れられないけど、強い意志があれば物には触れるんだ」

「ありがと、輪」

私は棒を思いっきり地面に叩きつけた。

グワァぁん。

鈍い音が響いた。

皆びっくりしてる。

そりゃそうだよね。



見えない私が棒を持って立ってるんだもん。



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