探しましょう輪
このまま死ぬわけにはいかない。
「そのいきそのいき~」
妙に甲高い声が頭からした。
よく見ると・・・。
「よっす!
オイラは輪!よろしく!」
輪に目が付いてる。
「??!!」
「まあまあ。
そう驚かないで」
驚くだろ。
普通。
「これからはオイラが静枝をナビゲートするよ」
いきなり呼び捨て。
・・・ナビゲート?
「どういうこと?」
「うん。
静枝、これからは5つのものに近づいたらオイラがピカピカ光るよ!」
「ホント?」
「ホント」
ふ~ん。
ま、役に立つみたいだしいっか。
「早速だけど、反応してるよ」
「ええ?!嘘!」
「ほんとほんと。
すぐ近く!」
私は辺りを見渡した。
で。
お姉ちゃんを見たとき、輪がピカピカ光った。
「ホントだ」
「でしょ」
輪は誇らしげに言った。
まじ凄い。
てかお姉ちゃん?!
何かあったの?
「静枝のお姉ちゃん、美人だね」
「そ、そう?」
ま、確かに。
家のお姉ちゃんは結構モテてたし。
「ん・・・?」
「どした?輪」
輪はマジマジとお姉ちゃんのお腹を見つめた。
「ああーーーーー!!!」
「え?なに?」
輪は急に叫んだ。
「静枝のお姉ちゃん・・・。
美波は妊娠してるーーー!!」
お姉ちゃんまで呼び捨て・・・。
って。
えーーーーー!!
に、妊娠?!
「な、なんでわかんの?」
「だって、オイラは生きている人も、死んでいる人も見分けられるんだよ。
そしたら、美波のお腹にもう1つの命が宿っているのが分かったんだ」
な、なんか凄い・・・。
そういえば、お姉ちゃん最近体調悪そうだった。
「これはきっと、5つめの仲直りの為に作られたものだー」
いきなり発見?
ラッキーなんだけど・・・。
「お姉ちゃん、私にそんな事言ってくれなかったよ」
「そうなの?」
輪は意外そうな声を出した。
「知らなかった・・・」
なんか悲しい。
同じ家で暮らしてるのに・・・。
「・・・・・・・」
「静枝、大丈夫?」
「・・・うん。
ありがと・・・」
受け入れなくちゃ。
死んだ事もちゃんと受け入れられたんだから。
「それより、これからどうすんの?」
「とりあえず、美波についていこう」
「う、うん」
なんか尾行?ストーカーみたい。
「仲直りの為ってことは、お姉ちゃん誰かと喧嘩してたって事だよね?」
「そうだと思う」
「じゃあ、その原因を探って、仲直りの為に作られたものを探せばいいの?」
「そうなるね」
「作られたものって・・・。
赤ちゃん?」
「それは違うよ」
即答された。
私はムッとしながら、
「なんでそう言い切れるの?」
「赤ちゃんって命があるんだよ?
オイラ達が探しているのはもの!
命じゃなくてもの!」
輪に説教された。
ほんと生意気。
輪のくせに。
「とりあえず、美波を見張ろう」
「分かった」
私は不安だった。
これからどんな事があるんだろう。
全てを受け入れることができるかな?
でも。
受け入れなければいけないんだ。
決めたんだから。