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愛する君

お兄ちゃんだった。

「りゅ、竜太!部活は?!」

驚きを隠せない春香が、お兄ちゃんに駆け寄った。

お兄ちゃんは、春香を見て言った。

「春香、ごめん。

 別れよう」

「「「「「っえ?!」」」」」

私と雪美さんと春香の連れが、同時に言った。

「なんか・・・典型的な流れだね」

輪はのん気だなぁ。

春香は、目を見開いた。

「・・・・・な、んで?」

「正直、アイツのことが忘れられなくて・・・。

 こんなままでお前と付き合うのも、失礼だし」

お兄ちゃんの目は、春香ではなく、雪美さんを見ていた。

「コイツは竜太のこと、裏切ったんだよ?!

 それに、竜太もコイツ嫌いになったって・・・」

「ホントにごめん」

「私、私、ずっと竜太のことが好きだったんだよ」

皆の視線が、春香に集中した。

「明るくて、カッコよくて、優しくて・・・・。

 気がついたら、竜太のことばっかり見てた」

「春香、ホントのこと言え」

春香は少し考えてから言った。

「ホントは知ってた。

 竜太がふっ切れてないこと」

春香はくすりと笑った。

「私、ホントは矢野に負けたくなくて、竜太を好きになった」

「え・・・?」

雪美さんがきょとんとした。

「美人で、頭良くて、皆に好かれてて・・・。

 羨ましかったんだ」

「・・・・」

お兄ちゃんはずっと黙ってる。

「だけど、もういいや!」

急に笑顔になった。

「なんかふっ切れたし!

 じゃ、お幸せに~♪」

春香は去っていった。

「ちょ、!!」

「待ってーーー!!」

「春香ぁ!」

連れが追っかけてった。

ばいばいきーん。

「竜太・・・」

おっと!

「私、朝倉の相談受けてたの。

 それで急に告白されて、断ろうとしたら竜太が来て・・・。

 無理矢理キスされ、」

わ!

お兄ちゃんが雪美さんにキスした。

「わわわわわわわわ!!!!」

「うるさい輪!!」

お兄ちゃんは、唇を離して雪美さんに1枚の紙を見せた。

「あ!それ・・・」

「これ、読んだよ」

どうやら雪美さんからの手紙らしい。

「雪美の気持ち知って、決心がついた」

お兄ちゃんは、雪美さんの目を真っ直ぐに見つめた。

「お前が好きだ、雪美」

雪美さんの頬が、見る見るうちに赤く染まっていく。

「あはははは!可愛いなぁ~」

「もぉ!」

雪美さんは、お兄ちゃんの手から手紙をもぎ取った。

そして・・・。

思い切り投げて、木に引っ掛けた。

「あ!コラ、雪美!」

「あんなものなくても、私がいくらでも言ってあげる!」

雪美さんは、美しく笑った。

「それより部活は?」

「あー!!そうだった!」

「おっちょこちょい!静枝ちゃんみたい」

雪美さんが笑った。

お兄ちゃんは、笑わなくなった。

「どうしたの?」

雪美さん、知らないんだ。

綾も悠も知らなかった。

まだ言わないで、お兄ちゃん。

「・・・なんでもない」

また笑顔になった。

お兄ちゃんと雪美さんは、体育館に向かって走った。

「お幸せに」

私は、元通りになったお兄ちゃん達を見送った気分。

「静枝、生き返るもんね」

「そ。

 だから言う必要ないの」

輪が言った。

「さ、回収回収」

「え?どれ?」

「あれだよあれ!」

輪の言うあれとは、雪美さんの手紙のことだった。

「よっこいしょ・・・」

「オジサンくさいよ静枝」

私が木に登って紙に触れると、紙は予想通りに消え去った。


「今回は泣かないんだね」

「あったりまえでしょ!」

輪と笑いあいながら、校門を出た。


次のも、早く見つかるといいな♪




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