何してんの兄ー後編ー
「うぅぅ・・・」
時刻は午後4時。
帰宅の時間。
雪美さん、ずっと目が真っ赤だった。
お兄ちゃんに振られて、凄く傷ついてる。
なにがあったの?
雪美さんは、1人で靴箱に到着。
そこには・・・。
「あー来た来た」
「うっわー!コイツ泣いてやんの」
「春香ぁ、写メ撮っていいと思う?」
春香とかいう女が雪美さんに近づいた。
「ちょっと来て」
笑顔。
ちょっとは可愛いかな?
でも、こんなレベルの女はその辺にゴロゴロしてる。
雪美さんは、朝の中庭に強制連行された。
「単刀直入に言うけど」
先ほどの優しい声じゃない。
低くて迫力がある。
「竜太のこと遊んでたんでしょ?」
「!そんなことな、」
「じゃあなんで朝倉とキスしたわけ?」
反論するも、一刀両断。
頑張れ~雪美さん!!
「そーいえば・・・朝倉って確か。
アンタのこと好きだったよね?」
流石雪美さん。
モテますね。
「違う!私はただ、相談に、」
「言い訳してんじゃねーよ!」
雪美さんは肩を押された。
「ちょっと可愛くてモテるからって・・・。
調子に乗ってんじゃねえよ!!」
雪美さんの肩をまた押した。
今回は倒された。
「あーあ・・・。
可哀想だな・・・竜太」
春香の哀れんだような声が響いた。
「こんな顔だけの女に骨抜きにされるなんて・・・。
彼女として許せないな~」
髪をいじってる。
ぶりっ子だな。
「ねえ・・・謝ってよ」
「え??」
4人の目が雪美さんを睨んでる。
「そうだよ、春香に謝れよ!」
「土下座しろよ!」
乱暴に雪美さんの綺麗な髪の毛を引っ張る。
「やめて!!」
私は思わず叫んだ。
当然のことながら、反応しない。
「輪・・・どうしたらいいの?」
「わかんないよ・・・でも、助けなくちゃ」
私たちが悩んでいる間に、雪美さんは土下座の体制にさせられていた。
「ほら、早く言えよ!」
「ごめんなさい、もう佐伯には関わりません。
許してください春香様って言えよ」
「10秒以内に言え!」
10-9-・・・とカウントが始まった。
雪美さんは何も言わない。
「8-7-6-」
雪美さんっ!!
嘘でもいいからここは謝って!!
「5-4-3-」
雪美さん・・・。
私、そんな無様な雪美さん見たくないよ。
「2-1-」
お願いっっ!
「-・・・0」
春香の唇の右端がクイッっとあがった。
「ゲームオーバー」
他の3人と目配せした。
「じゃあ・・・もういいわ」
「え??」
春香は雪美さんに手を伸ばした。
やめて・・・何する気?
雪美さんに触らないで。
「やめろよっ!」
もう1つの声が中庭に響いた。