何してんの兄ー中編ー
おいおいおいおい。
え?はい?
ちょっ・・・つまり・・・?
「雪美とは、昨日別れたみたい」
「昨日??!!」
て・・・。
私が生き返ろうとしてる時に。
「許せん・・・」
「静枝?目が怖いよ?」
雪美さんみたいな性格最高な美女なんて、そうそういないのに。
「静枝?妄想過激じゃない?」
てか何?
あの女、雪美さんに比べたら平凡極まりないじゃん。
「まぁ、可愛いじゃん?」
確かに・・・でも雪美さんとは天と地の差。
性格悪いぞ。
勘だけど。
「静枝も美人になるよー。
今も可愛すぎるけど」
「あのさー、輪」
「ん?なに?」
「想像の途中に茶々入れないでよね?」
「想像って・・・妄想でしょ」
「なによ、」
「はいはい。
お、学校に着いた」
尾行して、着いたのは中学校。
制服地味だけどいっか。
私もここに入学することになってる。
「じゃ、竜太!
後でね~♪」
「お~う」
やっと別れた。
お兄ちゃん用事?
「は!」
「なんか・・・お邪魔?」
「みよみよ!」
「性格悪いなぁ」
私は気持ちが高ぶっていた。
お兄ちゃんは人目につかない裏庭に来た。
その先には・・・。
私の大好きな大好きなあのお方がいた。
「ゆ・・・矢野」
雪美さんは振り返らない。
「もう・・・雪美って呼んでくれないの・・・?」
声が震えている。
お兄ちゃんは、雪美さんに近づこうとしない。
「朝倉とは上手くいってる?」
雪美さんが振り返った。
「なんでそんなこと言うの?!」
上を向いた長い睫に涙がのっている。
「誤解って言ってるじゃん!」
「誤解?ふざけんな!!」
お兄ちゃんが叫んだ。
輪が息を呑む。
「俺に嘘ついて、教室で他の男とイチャイチャしてたくせに!」
「それは、」
「挙句の果てに俺が姿を見せた途端、アイツからとはいえ、キスしたじゃねえか!!」
「お願い!話を、」
「言い訳はもう沢山だ!
俺はもう春香といる!」
雪美さんの目に、嘘、と書かれていた。
「宮野さん・・・?」
「ああ」
お兄ちゃんは冷淡に続ける。
「この前からしつこくてさ。
断ってたけど、もう断る理由がない」
断言、した。
「お前は俺が嫌いなんだろ?
じゃあそう言えよ!」
雪美さんはビクッとした。
「嫌いになんかなれるわけない!
大好きに決まって、」
「もういい」
「・・・え?」
「もう俺には関わるな」
お兄ちゃんは雪美さんに背を向けた。
「待って!竜太!!」
「ついて来るな!」
お兄ちゃんの歩調は緩まない。
「竜太!お願い!」
雪美さんの悲痛な叫びがドラマのワンシーンになった気がした。
なにがあったの?