気にせずに友
綾は待ち合わせしていた場所に行った。
そこには、非常に直視しづらい、尚且つ意外な人がいた。
悠・・・。
「悠~!!」
綾のテンションはМAXに達している。
そりゃあ、好きな人いたらテンション上がるよね。
経験無いけど。
「話ってなに???」
うっわ・・・。
ぶりっ子し過ぎだよ・・・。
「綾・・・」
悠は周りに誰もいないことを確認すると(私は空気と同類)、綾に言った。
「僕は、静枝のことが大好きなんだ」
直球かよ。
流石に照れるな。
綾は冷ややかに目を細めた。
「いつも笑顔で全然悪口も言わない。
誰かがホントに困ってたら手を差し伸べてくれる」
「・・・・・・・・・・・・・」
「気づいたら、好きになってた」
大人の話。
よい子は寝んねしなー。
「・・・・・・んで・・・」
「?」
「なんでなの・・・どうしてなの・・・?」
綾の頬を1粒の涙が伝った。
「悠・・・なんで・・・?」
「綾、」
「私は!ずっとアナタだけを見てきた・・・。
子供だけど、ホントに好きだった」
「綾・・・」
長い長い沈黙があった。
2人共、こんなに悩んでたなんて・・・。
私・・・子供だな。
結構皆のこと把握してるつもりだったけど・・・。
「静枝・・・」
ずっと黙ってた輪が急に言った。
「私ね、静枝に酷いこと言ったの」
「酷いこと?」
綾は震えながら口を開いて、ハッキリと言った。
「アンタなんか死んじゃえ」
え・・・?
私そんなこと・・・。
私は記憶を探した。
綾に死ねなんて言われてない。
ー痛っ!
頭に激痛が走った。
なんで?
どうして??
「静枝、それ以上は辞めて」
輪の悲しそうな声が聞こえた。
「どういうことなの、輪!」
私の頭はひっくり返したおもちゃ箱状態だった。
「君が死ぬ寸前に記憶にロックを掛けたんだ」
私が・・・?
なんでこんなこと・・・。
「今は言えないけど、そのうちわかるよ」
「そのうちって・・・」
「仲直りしたいの」
綾の声で話が戻った。
「あんなこと言っておいて、勝手なのはわかってる」
綾はポシェットからこの前一緒に買ったキーホルダーを取り出した。
「こんなものもう要らないの」
そのままキーホルダーをその辺に投げた。
「静枝に謝ってくる。
許してもらえないと思う。
けど、言わなくちゃきっと後悔するから」
「・・・早く行って」
「え?」
「静枝、待ってるはずだよ」
悠・・・。
なんでこんなに優しいの??
「うん!」
綾は悲しげな笑顔で「じゃ」と言って去っていった。
悠もそれに続いてどっかに行った。
私はキーホルダーを拾った。
ミッキーとミニーのペアのやつ。
私が触れた途端、指輪と同じようにキーホルダーが消え去った。
「天界に行けたよね・・・」
「うん」
輪ってなんでこんなに優しいんだろう?
また私は泣きじゃくった。
ごめんなさい、綾。
私は君が大好きだよ。
だから・・・。