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サブタイトル……これでいいのか悩み中
武という男はその犬のような人懐こい笑みで多くの人に囲まれていた。
男子としては低い身長の武はその性格からか、同年代ではなく、先輩後輩から人気が高い。
それも彼の魅力なのだろう、と納得する。
沙織と武。
男子にしては低い身長の武は女子にしては高い身長の沙織と目線が同じになりながら会話を続けていた。
どちらかと言えばかわいい系に分類される武は猫みたいな癖のある髪が特徴的だった。
犬と猫が合わさったらあんな感じになりそうだよね、と以前、誰かと話していたような気がする。
「おー、沙織」
「おはよ! タケ!!」
沙織はふわふわの髪を揺らした。
ハニーブラウンの髪によく笑う沙織。私とはひどく違う。
武は特に今日の沙織の不自然な態度について何を考えていそうにもなかった。
少しは沙織の態度について思うことがあってもいいものなのに、とため息を付きたくなる。
というかはやく付き合ってしまえばいいのに。
「あのね、昨日ね!!」
にこにこと笑ったまま沙織は心底楽しそうに声を弾ませた。武は、ん? なんだ? と笑って聞いた。
「タイムが縮んだの!!」
「お! 沙織頑張ってるからな」
「偉い?」
「えらいえらい」
そう言って武が沙織の頭をなでる。沙織は嬉しそうに目を細めていた。
「そう言えばさ昨日のドラマ見たー?」
弾んだ声がやけに響いた。昨日のドラマって……と思案にふけると、肩をぽんっと誰かか叩いた。
「おはよう。なぁ、読まないなら本、しまえば?」
「あぁ……賢治。おはよう。そうだね」
沙織と武を見ていると、賢治が近づいた。
賢治に言われたように本を机の中にしまった。横に並んだ賢治はネクタイを少し緩めた。
その姿さえも絵になるなぁとボーっとしながら考えていた。
教室の端のほうで何名かの女の子がちらりちらりと賢治の様子を盗み見ては頬を染めていた。
やっと賢治が出せた!!