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他人の恋ほど見てられないモノはない

作者: 兎人

ばばばっと何の構想もなくノリで書き上げたもの。なので矛盾も誤字もご都合主義も完全装備。

とりあえず滅茶苦茶な文章が書きたかったという。

ついカッとなってやった。今は反省してる。

放課後のことだ。

いつものように友達が帰りの支度を終えるのを待って、その間別の友達と教室から出て行くクラスメイトに「バイバーイ」なんて言いながらどうでもいいことを話す。

「部活行くね」と幽霊部員であるその友達が教室を出て行き、その頃には人も疎ら。

支度を終えた友達と、またもやどうでもいいことを話す。ついにはクラスメイトはいなくなり、担任の先生も一階の職員室へと降りていった。





どうでもいいことをどのくらい話したのだろう、最早どういう経緯でこの会話をしたのかさえ分からなくなり、白いカーテンに隠れるようにして外の景色を覗くと、夜の帳は下りかけ。

グラウンドでは運動部が走ったり大声出したりと忙しそうだ。

ふと、同じくすぐ隣から顔を出していた友達の視線が固定される。どうやらお目当ての人物を発見したらしいああそうだった、そうでしたね今日はどうでもいいコイバナとやらを聞かされていたのでした。


――――――こっち見ないかなぁ。あ、ダメダメ、やっぱこっち見んな


どっちだよ、と突っ込んでやりたいのはやまやまなのだが、いやどちらかというとたにたになのだが、口を動かすのすら面倒なので黙っておく。

ああ、だのはあ、だのいろいろと含みがありそうな吐息をもらす友達は、客観的に見るとキモい。はあ、だなんて、まるでお父さんがトイレでするいかにもスッキリしましたよ、の意思表示みたい。ていうかアレは無意識なんだろうか、不思議だ。

と、どうでもいい左隣の物体を無視して、どうでもいいことについて考えているといつの間にか友達の恋愛相談につき合わされている、ようだ。


――――――でね、彼に見てほしくていろいろと考えたんだけど、やっぱダメだね。どうやったら注目を浴びるかすら出てこんもん


ふへー。そうですか、残念ですね。

これ以外、何を言えとおっしゃるのですか。アレか、私にそのどーでもいい悩みの解決法を考えつけと。

自分で考えろ馬鹿。

とは言えないので、とりあえず考えるフリをする。

うーん、なんか真面目にどーでもいーな、オイ。

大体友達どころかクラスメイトでもなんでもないんだから、話す機会もないだろうし、この友達がそんな機械を自ら作り出せるとも思えないし、うんムリ。

いやいやムリですって、諦めて幼馴染でも好きになりな。って、この人幼馴染とかいたっけ。って、中学で知り合ったんだから、そんなこと知るわきゃねーな私。


――――――どう思う?どうすればいいかな、私。


うん、諦めなさい。ああダメダメ、彼ダメよ。たとえアナタと付き合ったとしてもそう長く続かない。どうせ別れる羽目になるって。そのくらい分かるでしょてか分かっとけ。

それどころか周りからは騒ぎ立てられてイライラするだけだって、主にアナタと行動を共にする私が。

キレちゃうよ私、そんなことあったらキレちゃうよ私。キレた私は怖いって有名なんだからね、私の中では。

と内心思っていたのだが。

人間関係を円滑に進めるためにあるとしか思えない私の口が勝手に何か言っちゃったらしい。

「彼テニス部なんだからとりあえず女子テニスにでも入ったら?」みたいなことを。ちなみにここ中学なんでマネージャーなんてもの存在しねェんだよん☆

アレ、あたしそろそろテンションやばくないですか?


――――――うーん、でも接点とかあるのかな。男子と女子だと結構違くない?


アタシが知るかよっ。

だが最早何かが乗り移ってるのか、はたまたその部分だけ別の生物なのか分からないが、私は言っちゃってた。

「部活が同じだけでも話題になるし何もしないよりマシ」的な。

ああ今だけは自分の一部を恨んでもいいですか、と胸中で呟く。むしろ真剣に外科的手術を考えるべきだろうか。


――――――確かに。あー、でもなー


うぜー。いい加減うぜー。誰もお前のコイバナとやらには興味ないです。むしろ君に興味ないです。

なのに口は。

「大会とかあったら合同なんじゃない?」とか。

「そしたらバスの中で隣に座ったりして」など。

「試合の途中応援してくれるかもしれん」ほか。



あるわけねーだろバーカ。夢見るのもいい加減にしてください。



「ねえ」

そこで初めて、私は自分の意思で口を動かし声帯を震わせた。少しだけ、発音がおかしかった気がするのは、たぶん私の思い過ごしだろうけど。

「そんなに彼に注目されたい?」


――――――え、うん。そりゃあねえ


「そっか。んじゃさ」

少ししゃがんで、友達の両足をしっかりと抱きしめる。

友達は何が何だか分からないような顔をして、私が一瞬前までいた空間から、目線を下ろそうとして。

私はそのまま勢いよく立ち上がった。うん、重たい鞄を日頃持ち歩いているだけのことはある。こういう場面を想定して学校はロッカーを作らないのかしら、とどうでもいい疑問を浮かべ。


その瞬間、何故だか帰りのホームルームが終わった時の、一斉に「さようなら」を言う場面が頭の中に浮かんだ。

うん、そうですね。きりーつ、れーい

それではみなさん、ご一緒に。



「さようなら」



どんっ。             ばしっ。



沈黙。

沈黙。

沈黙。



騒ぐ声は聞こえない。どうやら部活の声に紛れてしまったらしい、全く、どこまでも影の薄い彼女らしい。

あ、やば。そういえば今日は部活があるんでしたわ、と帰宅部の私は優雅に呟き、教室をさっさと後にする。

一応出る前に廊下を見やるが、時間も時間で部活も終わりかけだったこともあり、いたはずの吹奏楽部の個人練習はいない。私と彼女が話している間に音楽室に戻ったらしい、耳を澄ませば遠くから音楽が聴こえる。廊下は無人だった。

目撃証言なんてものは出るだろうか、と思ったが、廊下側のガラスはくもっているし、放課後は人も滅多に通らないから大丈夫だろう。

保険として、私のトレードマークである髪をバッサリ切っておくか。それだけでも大分イメージが異なるだろう。その日に髪を切るなんてちょっと怪しいけど、風紀検査も近いことだし。

一仕事終えた後の達成感を感じつつ、階段を降りる。幸いなことに、誰ともすれ違うことはなかった。運がいいとも言えるが、やっぱり時間が遅いせいだろう。

この時間まできちんとどーでもいー話を我慢して聞いただけの甲斐があったらしい、喜べ私。

下駄箱で靴を履き替え、グラウンドとは正反対の門へと歩いていると、突然絹を裂くような甲高い叫び声が響いた。

第一発見者は女子なのか。いや、あるいは第一発見者が呆然としているところに、女子が来て叫びを。

     まあ、どうでもいいか。

とりあえず男子の叫び声が真っ先に聞こえたら何だかぽくないので、第一声が女子でよかった。

濃く染まり始めた空を見上げながら、家への道をゆっくりと歩く。途中フェンス越しに見えるグラウンドには、人だかりが出来ていた。

ソフトテニス部はグラウンドの校舎側端にあるコートと呼んではいけないような場所で練習をしているので、もしかしたら第一発見者はテニス部だったのかもしれない。

第一発見者が誰であろうと、テニス部は真っ先にその場に駆けつけられるだろう。つまり、あの人だかりの前の方に彼はいる、はずだ。たぶん。


うん。

よかったね、彼に注目されてるみたいだよ。

主題はズブリ「誰も見てねーよ」ってことで。

ものっそい唐突な殺人を書きたかったのです、うん。


たまにこういう大胆なことをしたくなる。

この後捕まるんだろうな、彼女。こんな杜撰な殺人見抜けないほど警察あまくねーだろ、うん。

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