ブフーの刃 ― 第十一話:原罪を味わう
■ 【開幕】“肉の神殿”――胃界最深部
空に胃袋。地面は歯茎。空気は咀嚼音で満ちている。
ここは、神も悪魔も一度は通過したという**“食罪の祭壇”**。
中央に立つは、人類最初の殺人者・カイン。
その手に握られているのは、黒鉄にして白骨の刃――原初のブフーの包丁。
カイン:「この包丁は“神が使わなかった武器”だ。
創世の時、神は光と言葉で世界を切り分けたが、“肉”だけは手をつけなかった。
だから俺が切った。」
■ カイン vs 潤・綾音:神喰い試練
潤は、ミカエル・ベリアル・イフリートらを取り込んだ対神級咀嚼戦闘体。
綾音は、ア○ラー・ゼウス・オーディン・ロキ・フェンリルを内包した多神律動制裁体。
潤:「よし、最初の罪人の味、ガチで噛み砕いてやる」
綾音:「私は、罪も神も全部飲み下して、それでも正義を貫けるか試す」
カインはゆっくり構えた。
カイン:「じゃあ、“俺の原罪”を味わってみな――!」
戦端、開く。
■ 第一段階:「悔恨の肉」
潤が先に斬りかかる。
ザンッ!
斬られた肉からは、血ではなく**“記憶の破片”**が飛び出す。
潤:「……何だこれ……弟……アベル……?」
その瞬間、潤の中の人格すべてが一瞬にして“兄弟を殺したという記憶”に上書きされる。
ベリアルが悶絶し、ミカエルが沈黙する。
神格の構造すら、原罪には逆らえなかった。
潤:「ぐ、ぅ……クソが……これが……人間の本当の“罪の味”かよ……」
■ 第二段階:「絶望の骨」
綾音は距離を詰めず、ア○ラーの構文解析力で肉の構造を見抜く。
綾音:「この肉……“倫理”という概念を食わせる罠。逆に利用できる」
彼女はフェンリルの牙で“咎の骨”を喰い砕き、
ロキの力で肉の構造を**“再書き換え”**する。
綾音:「ならば私がこの罪の形を定義する。**“兄を赦す正義”**として」
カイン:「お前……まさか、原罪を“逆解析”してるのか?」
綾音:「私は神でも、殺人者でもない。私は、“赦す人間”だ!」
■ 第三段階:「神殺しの脊髄」
潤と綾音、同時にカインの中心部――脊椎=創世の怒りへ攻撃を叩き込む。
神の怒りそのものを凝縮した“脊髄の芯”が砕けたとき――
カインは、笑った。
「やっと……俺の肉を食える“人間”が現れたか……。
神を喰ってもいい、“覚悟”がある奴が……」
そして、自らの心臓を差し出す。
■ 咀嚼:神に最も近い肉
潤と綾音は、カインの肉を同時に口にした。
その瞬間、あらゆる神格、信仰、文明、言語が一体となり、彼らの体内宇宙に爆発的に膨張した。
彼らは神でも悪魔でもない。
だが、“神を喰った人間”として、Y○HVの玉座にたどり着く資格を得た。
■ エピローグ:玉座、沈黙の目覚め
Y○HVは、語らない。
ただ、空間が“彼らを認識した”ことで震え出す。
『問う――“汝ら、我を消化せんとするか?”』
潤と綾音、目を合わせる。
潤:「喰ってやるよ、“神そのものの意味”を」
綾音:「私は“正義”がY○HVに通じるかどうか、それを食べて決める」
包丁が構えられる。
胃袋が覚醒する。
そして神の構造に刃が向けられる――