第9話:「消えた未来」
*1968年:未来への警告
タイムトンネル管制室のスクリーンに、新たな改変の兆候が映し出された。
「次の改変地点は……2045年?」
ジェリーが驚きの声を上げた。
「これはただの改変ではありません。未来そのものが不安定になっています!」
トニーが分析データを確認する。
「……ありえない。2045年の人類文明がほぼ崩壊している! これは一体……?」
ダグも顔を曇らせた。
「クロノ・マスターが本格的に未来を改変し始めた可能性が高い。彼の目的は、単なる歴史の操作ではなく、未来の完全な支配なのかもしれない。」
「2045年に向かおう。何が起こっているのか、直接確かめるしかない!」
二人はタイムトンネルを起動し、2045年へと飛んだ。
*2045年:崩壊した未来
トニーとダグが目を開けると、そこは荒廃した都市の廃墟だった。
「これは……未来の地球なのか?」
空は暗く、廃墟と化したビルの間を冷たい風が吹き抜ける。かつては栄えていたであろう都市は、瓦礫と化していた。
「どうしてこんなことに……?」
彼らは慎重に探索を続け、ついに生存者のグループを発見した。彼らは防護服を身にまとい、怯えた表情でトニーとダグを見つめていた。
「あなたたちは……?」
リーダーと思われる女性が口を開いた。
「私たちはレジスタンスだ。この世界の崩壊を止めるために戦っている。」
「何が起こったんだ?」
ダグが問いかけると、女性は沈痛な表情で語り始めた。
「すべては数十年前から始まった。歴史が歪み、技術の進歩が加速しすぎたことで、社会が耐えられなくなったの。」
「技術の進歩が……?」
「そう。エネルギー供給、AI、遺伝子改変技術……すべてが一気に進みすぎて、人類は制御不能になった。政府は崩壊し、企業が支配し、最終的に……世界は戦争と暴動の中で滅びた。」
トニーとダグは顔を見合わせた。
「クロノ・マスターの仕業だな。」
女性はさらに衝撃的な事実を明かした。
「私たちの情報では、クロノ・マスターはこの世界の創造主を自称し、新たな歴史を構築しようとしている。彼の拠点は、**新時代研究所(Neo Age Institute)**と呼ばれる施設にある。」
「そこに行けば、クロノ・マスターを止められるかもしれない……。」
*クロノ・マスターの要塞
レジスタンスの協力を得て、トニーとダグは新時代研究所への潜入を試みた。
研究所は、崩壊した都市の中心部にそびえ立つ巨大な塔だった。最新鋭の防衛システムが稼働しており、厳重な警備が敷かれていた。
「慎重に動くぞ。」
二人は隠密行動で研究所内へと侵入し、最上階の制御室へと向かった。
そこで待ち受けていたのは、巨大なホログラムスクリーンに映るクロノ・マスターの姿だった。
「ようこそ、タイムトンネルの守護者たちよ。」
クロノ・マスターは不敵な笑みを浮かべた。
「お前の計画は失敗だ。世界は滅びかけているぞ!」
トニーが怒りを込めて叫ぶ。
「いや、まだ始まったばかりだ。」
クロノ・マスターはゆっくりと歩み寄る。
「私はただ、より良い未来を作ろうとしている。だが人類は愚かだ。彼らには導きが必要だ。」
「導き? それはお前の独裁に過ぎない!」
ダグが言い返す。
「私の計画が完成すれば、人類は混乱から解放される。歴史を自由に書き換え、完璧な世界を創造するのだ。」
「そんなことはさせない!」
トニーは制御装置に飛びつき、研究所のメインシステムをハッキングしようとする。
「甘いな。」
クロノ・マスターは警備ロボットを起動し、二人を取り囲ませた。
*未来を救え
絶体絶命の状況の中、レジスタンスが研究所に突入し、銃撃戦が始まった。
「今だ、トニー!」
ダグがクロノ・マスターの防御システムを妨害し、トニーはついにメインシステムへのアクセスに成功した。
「これで終わりだ!」
トニーは緊急シャットダウンを実行し、クロノ・マスターの時間制御プログラムを停止させた。
「なに……!?」
クロノ・マスターの姿が消え、研究所全体が振動し始める。
「逃げるぞ!」
レジスタンスの協力で、トニーとダグは脱出に成功。研究所は自壊し、時間改変の影響が消えていった。
1968年:歴史の修正
管制室に戻った二人は、すぐにデータを確認した。
「2045年の文明崩壊は……修正されている。」
ジェリーが報告する。
「未来は正常な軌道に戻りました。ただし……クロノ・マスターの痕跡は完全には消えていません。」
「つまり、まだ終わっていない……。」
トニーは険しい表情を浮かべる。
「奴は必ずまた現れる。だが、今は未来を守ることができた。」
ダグが肩を叩く。
「次の戦いに備えよう。」
スクリーンに、新たな異変が映し出された。
「次の改変地点は……時間戦争の決戦か?」
二人は顔を見合わせ、最終決戦へと向かう準備を始めた。
(第10話へ続く)






