第11話:「クロノ・マスターの正体」
*1968年:消えない影
タイムトンネル管制室では、クロノ・マスターを消し去ったはずの戦いの余波がまだ感じられていた。
「ジェリー、クロノ・マスターの影響は本当に消えたのか?」
トニーが尋ねると、ジェリーは慎重にモニターを確認した。
「彼の拠点は崩壊し、時間の流れも元通りになった。しかし……。」
「しかし?」
ダグが眉をひそめる。
「彼の存在は完全に消滅していない。時間のどこかに、その痕跡があるはずだ。」
その時、スクリーンに新たな異変が映し出された。
「これは……?」
モニターに表示されたのは、1955年、ソ連の秘密研究施設だった。
「1955年のソ連……何が起こっている?」
トニーが映像を拡大すると、そこには驚くべき光景が映し出された。
「クロノ・マスター……?」
そこに映っていたのは、死んだはずのクロノ・マスターが、何かの機械を操作している姿だった。
「まさか……生きていたのか!?」
ダグが驚きの声を上げる。
「いや、違う……奴は『1955年の時点』に元々存在していた?」
「つまり、クロノ・マスターの正体は……?」
二人は顔を見合わせた。
「確認しに行くしかない。」
*1955年:ソ連の秘密研究施設
トニーとダグは、ソ連の研究施設の雪深い森の中に降り立った。
「気をつけろ。ここは冷戦の真っ只中だ。KGBがうようよしているぞ。」
慎重に施設に潜入した二人は、内部で何かの実験が行われているのを目撃した。
「これは……時間転移装置?」
巨大な球形の機械が稼働し、中央にクロノ・マスターが立っていた。
だが、彼の顔をよく見ると……。
「待て……この顔……!」
トニーが息をのむ。
「これは……セルゲイ・コロリョフ!?」
「嘘だろ……クロノ・マスターの正体がコロリョフだったのか?」
ダグも言葉を失う。
*クロノ・マスターの過去
二人が隠れて様子を見ていると、コロリョフが冷静な声で研究員たちに指示を出していた。
「この技術を使えば、ソ連はアメリカに対して圧倒的な優位を確立できる。時間を操ることができれば、我々は未来を作り直せる。」
トニーは、彼がどのようにクロノ・マスターになったのかを理解し始めた。
「彼は時間改変技術を独自に発見し、ソ連の覇権を確立するために未来へと進んでいった。そして、いつしか彼は『クロノ・マスター』として自ら歴史を支配しようとした……。」
ダグが息をのむ。
「もし彼を止めなければ、クロノ・マスターは再び誕生する……。」
「つまり、ここが決定的な分岐点だ!」
二人は決意を固めた。
「コロリョフが時間制御技術を完成させる前に、彼を止める!」
(第12話へ続く)
テレビ版でも、タイムトンネルそっくりのソ連の施設が出てきましたね。