第10話:「時間戦争の激化」
*1968年:決戦の前兆
タイムトンネルの管制室に緊急警報が鳴り響いた。
「異常発生! 時空間の歪みが急速に拡大しています!」
ジェリーが叫ぶ。
「どの時代に影響が出ている?」
トニーがモニターを覗き込むと、画面には複数の時代が乱れる様子が映し出されていた。
「これは……未来だけじゃない。過去のすべての時代に改変が広がっている!」
ダグが驚愕する。
「クロノ・マスターが本格的に時間戦争を仕掛けてきた……。」
ジェリーが追加情報を送る。
「改変の発生源を特定しました。中心地点は、時空の狭間に存在するクロノ・マスターの拠点です。」
トニーは息を飲んだ。
「ついに奴の本拠地を突き止めたか。」
ダグが決意を固める。
「やつを止めなければ、すべての歴史が塗り替えられる。いくぞ!」
二人は最後の戦いに向かうため、タイムトンネルを起動した。
*時空の狭間:クロノ・マスターの拠点
光の中から現れた二人が立っていたのは、奇妙な空間だった。
「ここは……どこだ?」
目の前には巨大な浮遊都市のような建造物が広がっていた。周囲には、異なる時代の建築物が混ざり合い、重力すら不安定な様子を見せている。
「ここがクロノ・マスターの拠点……。」
トニーとダグは慎重に進み、都市の中心部へと向かった。
そこでは、クロノ・マスターの軍勢が待ち受けていた。彼らは未来の兵士と過去の戦士が入り交じり、奇妙な軍隊を形成していた。
「これは……時間を超えた軍隊か?」
ダグが拳を握る。
「俺たちだけでは無理だ、援軍が必要だ!」
その時、時空の裂け目から無数の光が現れた。
「増援到着!」
未来から来たレジスタンス、第二次世界大戦時の連合軍兵士、さらには古代ローマの戦士たちが現れた。
「我々は未来の希望を守る!」とレジスタンスのリーダーが叫ぶ。
「ナチスを倒した時のように、今度は時間の独裁者を倒す!」と連合軍の兵士が銃を構える。
「ローマは戦いを恐れぬ! 我らの剣で運命を切り開く!」と古代ローマの百人隊長が剣を掲げる。
「これが……時間戦争か!」
トニーとダグは混乱の戦場を駆け抜け、クロノ・マスターの中枢へと向かった。
*クロノ・マスターとの対決
ついにクロノ・マスターの宮殿へと辿り着いた二人は、巨大な玉座の前に立つ彼を見た。
「ようこそ、時間の守護者たちよ。」
クロノ・マスターは微笑んでいた。
「貴様の計画は終わりだ!」
トニーが叫ぶ。
「いや、まだだ。」
クロノ・マスターは手をかざすと、巨大な時間の歪みが発生した。
「この戦争の勝者が、新たな歴史を支配する。」
彼は巨大な時間の波動を解放し、時間そのものを操り始めた。
「トニー、ダグ、時間装置を破壊するぞ!」
二人は宮殿の奥へと走り、クロノ・マスターの時間制御システムへとたどり着いた。
「これが時間改変の中枢……これを止めれば!」
ダグが破壊装置をセットする。
しかし、クロノ・マスターが二人に向かって攻撃を放った。
「甘いな。」
時間の波動が二人を襲う。しかし、その瞬間、援軍のレジスタンスがクロノ・マスターを攻撃し、彼の動きを封じた。
「今だ、トニー!」
トニーは緊急停止装置を作動させ、システムをシャットダウンした。
「なにっ……!」
クロノ・マスターは叫び、時空の歪みが急速に収束し始めた。
「時間の流れが……戻る……!」
クロノ・マスターの体が光に包まれ、彼は時空の彼方へと消えていった。
*1968年:戦いの終結
トニーとダグはタイムトンネルへと帰還した。
「時間の流れは正常に戻った……。」
ジェリーが確認する。
「クロノ・マスターの影響は完全に消滅。歴史は元通りになっています。」
ダグは安堵の息をついた。
「やっと終わったか……。」
しかし、トニーは険しい表情を浮かべていた。
「本当に終わったのか……?」
ジェリーがデータを確認し、首をかしげる。
「クロノ・マスターの存在が完全に消えたわけではありません。彼の影は……まだどこかに。」
スクリーンに、新たな異変が映し出される。
「次の改変地点は……?」
二人は顔を見合わせ、新たな戦いの予感に身を引き締めた。
(第11話へ続く)