修羅場の後は……
あの修羅場の後、あの二人はどうしているのか?と思っていたら、彼から「会いたいなぁ…。」とLINEが来た。
会って話を聞いた。
「あれから、どうしたのかなぁ~って思ってたんだぜ。」
「うん………。」
「彼女と上手くいかなかったのか?」
「う………ん。」
「話があったんだろ?」
「う……ん。」
「無いなら帰るぜ。」
「否、待って!」
「いつまで?」
「今から話すから、さ。
………あの後、あの子……ネットゲームの子から……
参ってるんだ。」
「何が?」
「会社まで来るんだぜ。」
「そうか。……まぁ、そうだろうな。」
「そうだろうな…って、なんだよ!」
「最初からお前狙いだからな。
そのために『会わせてくれ!』って言ったんだって、あの時に言ってた。」
「お前……聞いてたのかよ。」
「でも、それから後はお前次第だろ?」
「まぁ、な。」
「でっ、彼女と別れて、あの子と付き合うのかよ。」
「嫌だよ。タイプじゃない!」
「じゃあ、どうするんだ?」
「何度も言ってるのに分かってくれないんだ。」
「分かってない振りしてるのかもな。」
「それだよ! 俺もそう思ってるんだ。
まるでストーカーみたく付きまとわれてるように感じてるんだ。」
「それは、ご愁傷さまで……。」
「他人事だからって、それはないだろ!」
「モテるって大変だな。」
「ゲームも辞めたのになぁ……。」
「でっ、俺にどうしてくれと?」
「助けて欲しいんだけど、何をして貰ったらいいんだろ?
もう、分かんないんだ……。」
「はっきり断ったのかよ。」
「はっきり断った!」
「どんな風に?」
「彼女を好きだから、君とは付き合えない!」
「それじゃ……駄目だな。」
「じゃあ……。」
「前も言っただろ。
『君のことは嫌いです。付きまとわないでくれ!』って言えって!
『このまま続くようなら警察に相談する!』って言えって!
そう言っただろ?」
「そうだった……な。」
「前にも嫌いだと言わないままで居て、付きまとわれ続けたこと忘れたのかよ。」
「そうでした。」
「じゃあ、頑張って『嫌い!』と言って下さい。
では、バイバイ!」
「おい! もう帰るのかよ。」
「帰る。」
「じゃあ、俺も帰るよ。一緒に帰ろ?」
「ええ―――っ!」
ネットゲームの子に好かれて、それが今は恐怖になってる彼を可哀想だと思った。
そして、店を出ると……なんとっ!
居たのである。ネットゲームの子が……。
恐怖に包まれた彼と……そして隣に居た俺……も怖くなった。