合コンとオフ会
それから、あの合コンの時のメンバーの中で付き合いだしたのだ。一組だけど……。
その女の子と会う機会があった。
カップルになりたての二人が店に来たのだ。
「どう?」
「うん。ありがと……。
……ねぇ、どうかな?」
「すっごく、いい! めっちゃ、いい!」
「ほんと?」
「ほんと!」
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
「なぁ、この後、ちょっと行かないか?」
「やだよ! 邪魔したくないし、当てられたくないからな。」
「もう一人来るから、さ。」
「えっ? 誰?」
「ネットゲームで知り合った子なんだ。どうよ?」
「なんでだよ!」
「悪い。俺の顔を立てると思って、なぁ……頼むよ。」
「仕方ねぇな……。ちょっと店長のお許しを貰ってくる。」
「うん。じゃあ、この先の居酒屋だから……。」
「二人のきっかけの店?」
「そうだよ。」
「なんだかなぁ……。」
「兎に角、待ってるからな。」
「おうよ。
………ありがとうございました。
またのお越しをお待ちしております。」
二人は料金を支払って店を出て行った。
俺は店長に許可を貰って友達が待つ店に向かった。
賑やかで楽しく過ごせた……けれども、ふとした瞬間に思い出した。
⦅あの時の彼女……メイクに慣れたかなぁ……。⦆と………。
長い時間居たけれども、どちらかというとネットゲームの話ばかりだった。
友達の彼女の顔が⦅楽しくないんだけれど!⦆と言っているのを、あいつは分かっていない様子だった。
友達がトイレに行くと言った時に彼女が追いかけた。
俺の隣に座っているネットゲームで知り合った女の子は明らかに「友達」を狙っている。
「ねぇ、合コンしたいとは思わなかったよね。」
「えっ?」
「あいつのことが好きなんだろう?」
「……分かりました?」
「直ぐに分かるよ。あいつには彼女が居るから俺は応援出来ないよ。」
「応援なんかして貰わなくても結構です。
私は私の好きな人に振り向いて欲しいだけですから……。」
「あ、そう……。」
「あっ! 貴方には申し訳ないと思っています。
利用しましたから……。」
「じゃあ、君から?」
「はい。オフ会で会ってから会いたくて仕方なかったから、私から頼みました。」
「ふぅ~~ん。そなんだ。」
席に戻った二人は「ごめん。帰る!」と言って出て行った。
⦅ありゃ……大変だな……。⦆と思う俺の隣で、ネットゲームの女の子はほくそ笑んでいるように見えた。
⦅恐ろしいなぁ……。⦆と思いつつ、ネットゲームの女の子とは店で別れて家に帰るつもりだった。
そう帰るつもりだったのだ。
ホームであの彼女姿を見掛けるまでは……。