作戦会議?
作戦会議と、まぁちゃんに言ったけれども……俺の本音は「あの家から出す」ことだった。
そして、友達と一緒になって「まぁちゃんの本音を聞き出す」ことだった。
友達たちは俺の思うように話をしてくれた。
「ねぇ、まぁちゃんはどうしたいの?」
「……私?……私は、どうしたらいいのか分かんない。」
「このまま、結婚してもいいの?」
「それしかない!…と思うの。」
「どうしても親の言いなりになるの?」
「それしかないから……。」
「まぁちゃんの気持ちを聞いてるのよ。
どうしたいの? 見合いしても結婚したいの?」
「……言ってもいいの?」
「いいのよ。聞きたいんだから、ね。」
「私……私、結婚したくない。」
「分かったわ。ありがとう。まぁちゃん、勇気要ったよね。」
「うん。……ありがとう。」
「じゃあ、断る方向で話をするしかないわね。」
「どうしたらいいの?」
「あのさ、相手はどんな人?」
「相手?」
「そう見合い相手。何歳の人?」
「37歳だって父が……。」
「37歳! 37歳と結婚するのか?
普通に知り合って好きになったならアリだけどさ。
親が決めた相手だろ。」
「その人……まぁちゃん、37歳まで独身だったの?
それとも再婚?」
「初婚って聞いたわ。」
「初婚で37歳って……良くない物件だわ。」
「物件って!」
「ねぇ、まぁちゃん。何かある人なの?」
「何か条件があるのか?」
「条件は……あちらの両親と同居…が条件だと聞いたの。」
「同居! 駄目よ! 断らなくちゃ。」
「同居が条件なら未婚だったのは分かるわ。」
「そんな奴しか連れてこれなかったんだろ? お父さん!」
「どんな奴でもいいのかよ!」
「奴って……言わないで! お願いだから……。」
「…分かった。言わない。
でも、頼むから見合いしないで欲しい。」
「へっ?」
「おい……。」
「それって……。」
「あの、それはどういう意味ですか?
まぁちゃんに代わって聞きます。」
「俺……好きみたいなんだよね。まぁちゃんのこと……。
だから、恋愛なら……諦めるしかないけど……。
見合いなら……。」
「おい! お前、それは結婚を前提としてか?」
「勿論!」
「ほぉ~~~っ。そのために連れて来たのかよ。
わざわざ迎えに行ったりしてよぉ。なぁ、そうだろ?」
「本気なの? まぁちゃんの友達として聞くわ。
本気なのね。」
「本気だよ。直ぐにご両親にお願いしに行っても、と思ってる。」
「そうなんだ。」
「まぁちゃん、こいつは…それなりにいい奴だよ。」
「それなりって何だよ!」
「事実だ!」
「まぁちゃんにハッキリ言えよ。付き合ってください!ってな。」
「まぁちゃん、俺と付き合ってください。」
「待って! 皆の前だったら断れないじゃない。返事は後で!でいいわよね。」
「はい! 勿論、後でいいです。」
「じゃあ、二人が付き合うのかどうかは後ということにして。
先ずは明日のお見合いを阻止。 阻止って出来るの?」
「どうだろ?」
「阻止は無理だわね。」
「母さん!」
「断るしかないのよ。当日にね。ご本人に直接。」
「断る……。」
「そうよ。断りましょう。嫌なら……。
無理して結婚して、相手が酷い人だと一生心の奥深くで親御さんを恨むわ。
恨む人生は辛いと思うのよね。
だから、断る!しかないのよ。
それに、何人もの人が間に入っているのがお見合いだからね。
労を忘れないでね。
まぁちゃんが望んでいなかったお見合いでもね。」
「はい。」
「断るのは勇気が要るから、誰かに支えて貰えればいいわね。」
「俺が支えるから!」
「あら、あんたが? へぇ~~っ、まぁちゃん、嫌なら嫌って言っていいのよ。」
「嫌じゃ……ありません。」
「そうなのね。……まぁ…。」
明日の見合い、無事に乗り切れるだろうか?
皆が「まぁちゃん、頑張れ!」と言っていた。
俺は料亭の近くに行くことにした。