表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひとひらの花弁  作者: yukko
ひとひらの花弁
16/45

心療内科受診

まぁちゃんの親がなんと言ったのか分からないが、今回は母のお陰だと言わざるを得ない。悔しいけど……。

母が泊まることを電話で話した時は「普通だった。」と母は言った。

だけど、俺は不安だった。

まぁちゃんが帰った時に叱られるのではないかと不安だった。

ただ、母は言った。


「多分だけどね。

 23歳までに結婚!というのは世間体だと思うのよね。」

「えっ? 世間体?」

「そうよ。世間体。何よりもそれが大事な人も居るのよ。

 世間体を気にする人なら、会社の友達の母親からの電話を無下にはしないわ。

 まぁ、会社の友達の母親ってのは嘘だけどね。

 『よろしくお願いします。』って返事だったから、大丈夫よ。」

「ふぅ~~ん。ってか、さ。

 会社の友達の母親って嘘、バレたらどうするのさ?」

「バレないわよ。もう二度と電話しないからね。」

「バレたら……酷い目に遭わされるかもしれないのに……。」

「やっぱりね。心配なんでしょ!」

「そりゃそうさ。母さんのせいで叱られたら、まぁちゃん可哀想だ。」

「心配で仕方ないのね。そりゃそうよね。好きなんだもん。」

「だから、違うって!」

「楽しみね。受診日! まぁちゃんに会えるわね。」

「……はぁ……もう、やだ!」



そして、心療内科受診の日が来た。

まぁちゃんとは店で待ち合わせた。

その日は母と俺だけが店を休んだ。

店は叔母と従姉の二人で営業する。

店で待っていると待ち合わせ時間の10分前にまぁちゃんは来た。

俺が運転する車で予約した心療内科に向かった。


「今日は本当にありがとうございます。」

「いいえ、無理強いしたような気がして御免なさいね。」

「いいえ、眠れない日が続いていたので良かったです。」

「そう言って貰えると良かったわ。」

「まぁちゃん! うちの母は強引だからね。嫌な時は嫌って言ってよ。

 嫌って言われても大丈夫だからね。

 気にしないと思うから……。」

「はい。……あの今日はありがとうございます。」

「あ……お礼を言われるようなことしてないから、気にしないで!」

「ありがとうございます。」


病院に着いて、診察室に入ったまぁちゃんを待っている間、俺は不安だった。

⦅大丈夫だろうか……。⦆ということばかりが頭の中を駆け巡った。

診察を終えたまぁちゃんを見た。

泣いた跡があった。


「お待たせしてしまって……。」

「いいよ。そんなこと……。」⦅大丈夫なのか? 泣いた跡がある。⦆

「なんて仰ったの?」

「私の幼い頃からの話を聞いて、先生は……

 私が虐待を受けていたって仰いました。」

「そうなんだ……。」

「そう……今は大丈夫?

 幼い頃からの話をして……大丈夫なの?」

「はい。大丈夫です。泣いちゃいましたけど……。」

「泣いてもいいのよ。」

「はい。先生もそう仰って……

 病名も付きました。」

「病名!」

「なんて?」

「……抑うつ状態と……。」

「抑うつ……。」

「そうなのね。」

「良かったです。ありがとうございました。

 眠れないことをお話したら、お薬を出して下さると……。」

「そうなのね。」

「連れて来て下さって本当にありがとうございました。」

「そう思って貰えたら嬉しいわ。

 余計なことをしたのに……まぁちゃんは優しいわね。」

「会計があるので、そちらに行きます。」

「そうね。ここで話し込んでもいけないわ。」

「行こう。」


会計を済ませて薬を貰い、帰路に就くことにした。


「まぁちゃん、今日はお父さん、お母さんに話してきた?

 俺たちと病院へ行くって……。」

「いいえ、普段通りに何も言わないで家を出ました。

 会社に行ってると思ってるはずです。

 嘘付いちゃいました。」

「大丈夫か? 叱られない?」

「叩かれるだけですから……。」

「叩かれるだけって……ごめんな。」

「そんな、ごめんって言わないで下さい。

 本当に感謝してるんですから……。」

「でもな、辛い目に遭わせるようになってしまうから……。」

「分かりましたから、いいんです。」

「そう?」


会社に行っていることになっているから、今日はこのまま家に帰らず、俺たちと一緒にうちの家に帰ることになった。

店は叔母たちに頼んだ。

うちの家に帰る前に昼食を摂った。

昼食後、急に母が違う話を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ