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ひとひらの花弁  作者: yukko
ひとひらの花弁
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親との関係

家に帰り母にあの子のことを話した。


「まぁちゃん、っていうのね。」

「うん。」

「毒親って何よ。」

「毒の親……字の通りだよ。」

「そんな言葉知らないわ。」

「母さんが知らないだけだよ。」

「その子……まぁちゃん、だっけ?

 叩かれ慣れてるんでしょ。」

「うん。そうらしいんだ。」

「それって虐待じゃないの?」

「虐待………。」

「そうよ。虐待。身体的な虐待。」

「身体的な虐待?」

「そう。身体的な虐待は精神的な虐待も併せ持っている場合が多いと思うわ。」

「母さん、美容師なのに詳しいね。」

「そりゃ、PTAで学んだからね。」

「ふぅ~~ん。」

「幼い頃から叩かれていて、大人になっても叩かれたのよね。」

「うん。」

「それも、お見合いを断らせるきっかけになったからよね。」

「うん。そうらしい。」

「アトピーです。って言っただけよね。

 お相手が断ったんでしょ。」

「うん。らしい。」

「それで、叱って叩く? 虐待だと思うけど?

 もしかしたら、アトピーの原因のひとつが親御さんとの折り合いかもね。」

「折り合い……。」

「実の親子でも上手くいかない場合もあるでしょ。

 親がストレスを与えてしまっているのかもしれないわ。

 まぁ、ただの美容師だからね。

 本当のことは分からないわね。」

「……………………。」

「好きでもない相手との結婚をしようと思ったのも親の存在だろうね。

 ……そして、アトピーのことを話したのは………

 もしかしたら、身体の湿疹が酷くて誰にも見せたくないのかもしれないわね。」

「誰にも?」

「そう。誰にも。好きでなくても見られたくないのよ。

 好きだったら尚更……無理かもしれないわね。」

「見られたくないくらい酷い状態ってこと?」

「そうよ。もしかしたら同性でも嫌なのかもね。

 親友にも見られたくないのかもしれないわ、ね。」

「……家を出たら良くなるのかな?」

「それは分からないわ。

 ただ、ひとつの方法かもしれないわね。

 でも、出られない可能性が高いかもしれないわ。

 親の虐待は……親から逃げる気持ちすら奪うのかもしれないわね。」

「……奪うのか……。」

「そう思っただけよ。私がね。」

「母さん、ありがとう。」

「何よ。急に……。」

「俺って母さんに叩かれたことないわ。」

「そうだったかしら……。」

「父さんには一回お尻を叩かれそうになったことあるけど……。

 ちゃんと話を聞いてくれて、『お尻を叩くから出しなさい。』って……。

 それで、パンツ迄脱いだんだ。」

「覚えてるわ。」

「そしたら、父さん笑って叩かなかったんだ。」

「笑い転げてたわね。」

「もしかしたら、俺と父さんみたいな関係じゃないのかな?」

「そうね。」


亡き父を思い出して、あの子と両親の関係は俺とは違うのだろうと思った。

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