以外な提案
アグネスはじっとカインの顔を見つめた。
「これは…我王様、お久しぶりでございます」
我王はクスリと笑った。
「さすがはアグネス、よく一瞬で見抜いたな」
アグネスは微笑して「カイン様ならきっとお叱りになりますわ。勝手にアランを連れてきてしまいました。すみません」と謝った。
「なぜ謝る?アランは我々の仲間だ。当然ここに来る資格はある」アランは憮然としたまま我王を睨んでいる。アグネスはアランに挨拶するよう脇をつついた。
「チッ…初めまして。姐さんの用心棒アランです。あんたが姐さんの恋人ですか?」
あまりにストレートな物言いに我王は思わず笑ってしまった。
「アハハハ…いや失礼。アラン、それはアグネスに聞いた方がいい。俺にはなんとも答えようがないのでね」
アランは我王に詰め寄った。
「あんた俺をバカにしてるのか!?」
アグネスはアランを止めに入った。
「アラン!いい加減にしてよ。我王様はエストニアの王なのよ!」それを聞いたアランは慌てて我王に謝罪した。
「そ…それは失礼しました。てっきり俺…エストニアの王様ならカノン様という立派なお妃様がいらっしゃる。ほんとにすみません」すっかり耳を伏せて萎れた様子のアランに我王は複雑な顔を見せた。
「謝るのは俺の方だ。アグネス…すまない。カインにも申し訳なく思っているよ。」
アグネスはなんとか笑顔をつくり、我王に答えた。
「そんな…我王様があってこそのカイン様ですもの。ご無事でなによりです」
「相変わらずそなたは優しい…実はこうして意識を保つのは酷く労力がいるのだよ。必要がある時以外はカインに身体を返しているのだ。今日はアグネスにどうしても妃達の様子が聞きたくて表に出てきた。」
その時、基地の奥から実とロバートが姿を現した。
「おお!これは…幻じゃないだろうな?アランよく無事で…」
ロバートに抱きしめられてアランは目を白黒させている。
実はその様子を見て微笑んでいた。
「じつは、アランはテラでの記憶をすっかり無くしてしまっているんです。」
アグネスはアランがどうしてそうなったか話して聞かせた。
実はその話を聞いて何か考えているようだった。
「もしかしたら僕が治せるかもしれないよ。といってもまだ確証はないけどね」
アランの目は途端に輝いた。
「ほ…本当ですか?」我王はうなずいた。
「実もロバート博士も天才的科学者だ。きっと治してくれるぞ」
実は苦笑いして我王をたしなめた。
「オイオイあんまり期待しないでくれよ。まずは開いてみないとなんともいえないからな」
アグネスが心配そうにロバートを見た。
「ウムまずは切開しないとなんとも言えんよ。ただ…そうなると多少の危険も伴うぞ。どうするアラン?もし、今の記憶が無くなるとしても過去の自分に戻りたいかね?」
アランの肩がビクッと震えた。
「…現在の記憶が無くなる?」
実は真剣な顔でアランに言い聞かせた。
「やってみなくちゃ分からないが…そういうこともあるかもしれないよ。だから良く考えて決めてくれ」
アランはアグネスの方に振り返った。
アグネスも唇を噛み締めている。
アランはため息をついて答えた。
「しばらく時間を下さい。よく考えてみます」
実はアランの肩を叩いて元気付けた。
「うん。慌てなくていいからね。よく考えて」
それから話題はカノン達の現在の暮らしぶりに移ったが、アランの頭の中はずっとさっきの話にとらわれたままだった。




