秘密基地
アランは注意深くアグネスの様子を見守っていた。
今日は休日の前夜だ、きっと姐さんはまたこっそり出掛ける気に違いない。
アランは暗闇の中、耳を澄ませていた。
深夜の2時をまわった頃、コトリと小さな物音がしてアランは身構えた。
「今日こそは絶対つきとめてやるからな!」その時、コツコツとドアをノックする音がしてアランは緊張しながらドアを開けた。
「姐さん…どうしたんだい?」
アグネスはアランを眺め回し、「それはこっちのセリフだわ。その格好はなに?どこにおでかけ?」
「そ…そういう姐さんこそ今頃どこ行くんだよ。」
二人はしばらくにらみ合っていたが、根負けしたアグネスが先に口を開いた。
「昔の仲間のところよ…テラにいた頃のね。アランも覚えてないでしょうけど一緒に戦った仲間だわ」 「カノンさん達じゃないんだな?」
「ええ…。今はそれ以上話せない。だから心配しないで、この間みたいについて来ないでね。」
「だったら昼間に会いに行けよ!どうしてそんなにコソコソしてるんだ?何かみんなに知られちゃ困ることがあるからだろ?」
「………」
黙ったままのアグネスの顔を見て、アランは何か閃くものがあった。
「姐さんの好きな男って…そうか、その昔の仲間なんだな。隠すなよ姐さん!俺をそいつに合わせてくれ。約束する、絶対姐さんの邪魔したりしないからさ。な?いいだろ」
そこまで言われてはさすがのアグネスも頷くほかなかった。
「いい?約束よ、絶対邪魔しないでね!私のすることに反対しないなら連れていってあげてもいいわ」
「邪魔なんてしないよ。俺は姐さんが惚れた男に会ってみたいだけなんだから…それに昔の仲間なら尚更会ってみなくちゃ!」
アグネスは窓を開けた。
冷たい空気がひんやりと気持ちいい。
「行くわよアラン、しっかりついて来なさい!」
アグネスは屋根の上を音もなく走っていく。「クソ…手加減なしか。いいさ見てろよ!
アランは4つ脚になりまるで本物のピューマのように走り出した。
暗闇の中、アランの荒い息の音だけがアグネスの耳に聴こえている。
「ここは…?」
やっと立ち止まったアグネスにアランはたずねた。
「ダゴダシティの外れよ。ここから入って」アグネスはマンホールの蓋を開けると、有無を言わさずアランを中に押し込んだ。
「な…なんだこりゃあ!」
「騒がないで!さあ、行くわよ」
アランはまるで不思議の国のアリスにでもなった気分で地下の基地内部に通じる道を歩いた。
まるで地下に埋まった宇宙船だ…
この科学力!ユノよりも相当進んだ文化がテラにはあったんだな。アランは度肝を抜かれた。
「着いたわ…カイン様、アグネスです」
監視カメラに向かってアグネスは敬礼した。「これは…アランも一緒か!ようこそ。まさかアグネスと接触していたとは…さあ入りなさい」
アランは不機嫌そうに監視カメラを睨み返した。




