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彼女の秘密

アランは仏頂面のイーサンに頭を下げた。

「すみません…俺、後先考えないで飛び出しちゃってご迷惑おかけしました。」


「…まったく。お前はアホだよほんとに…アグネスにほの字なのは俺だって同じさ。あんないい女ほっとけないよな。いいさ…俺がお前でもおんなじ事をしてた。だがなぁ…」

イーサンはアランの顔をチラチラ伺いながら言うべきか言わざるべきか迷っている様子だ。

「気になりますよ、何ですか?」

「うん…いやぁこれは俺の勘なんだが、アグネスはどうやら好きな男でも出来たんじゃないかな?」

アランはムキになってイーサンに詰め寄った。

「なんでそんな風に思うんです!?アグネスが男物の服を着てたからですか?大体そいつは一体どこのどいつです!まさか…イーサンあなたなんですか?」

「おいおいアラン落ち着けよ!だから俺の勘だって…とち狂うなよまったく。そんなに気になるならヨンにでも聞いてみろよ。な?」アランは早速昼休みにヨンのところに話しを聞きに行った。

「ふぅん…イーサンも気付いてたかぁ。私もアグネスは変わったと思うわ。なんていうのかな?色っぽくなったというか〜…恋する乙女のオーラが出まくってるわよね。最初はてっきりアラン、あんたとアグネスがとうとうそういうことになったと思ったんだけどね。違うみたいだし?」

ヨンはアランの落ち込む顔をのぞきこんで溜め息をついた。

「本人に聞けばいいのに!さすがに怖いかな?」

アランはうなずいた。「前にさ、アグネスに聞いたことがあるのよね。好きな人のこと…」

「えっ!それで…なんて言ってた?」

「うん…アグネスから告白して、返事をもらう前に死んじゃったらしいのよ彼。可哀想よねアグネス…。だから私は今度こそ幸せになって欲しいと思ってるアグネスに。アランも気になるのは分かるけど今はそっと見守ってあげなさいよ。ね?」

アランは学院の見晴らし台に登った。

嫌な事があった日や、落ち込む事があった日はいつもここで遠くに輝く湖を見て過ごす。「ここに来るとなんだか懐かしい気持ちになる…なんでかな?」

アランはヨンに言われた言葉を思い出していた。

「そんなこと分かってるさ…ただ俺は姐さんに幸せになって欲しいんだ、だからちゃんと姐さんを守れるやつじゃなくちゃ俺は許せない!」

アランは空に光る星に自分の苦しい胸の内を聞いて貰っていた。

その時、学院の屋根裏部屋の小窓がガタリと音をたてて誰かの影が月明かりの中に浮かびあがった。

「こんな時間に誰だ?」

その影はするりと屋根伝いに音もなく走り出した。

「…姐さん!こんな時間にどこへ?」

アランはアグネスに気付かれないよう追跡を開始した。


アグネスの足取りに迷いはない。

まるで飛んでいるかとみまごうほどの跳躍力。

アランは必死について行く、アグネスの足はまるで常人のそれではなかった。

「姐さん…あんた一体何者なんだ?」

すでにアグネスの影はどこかに消えていて暗闇の中、アランは独りとり残されていた。

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