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羊飼いの警告

それにしても速い…

アランは必死になってボロの後についていった。

スラム街の中はまるで迷路だ。もしボロに出逢えなかったら、この魔窟の中でアグネスを見付けるなど至難の業だったろう。

ボロは突然立ち止まり、アランのほうに振り返った。

「旦那、オラが案内出来るのはここまでだ。ここから先はダゴダシティ…黒い羊飼いの縄張りだよ。」

アランは崩れかけたビルの間から見える神社らしき建物を指差した。

「あれが総本山てわけか…」

ボロは首をすくめて、アランの背中に回りこんだ。

「オラの仕事はもう済んだな。後は旦那にお任せしやす!それじゃあごめんなすって」

アランは逃げようとするボロの襟首を掴んだ。

「な…なんですか旦那?オラは忙しいんです。寝たきりのかかあの世話をしませんと」

アランはボロの手をとり握りしめた。

「ボロ…おまえに会わなかったらとてもここまで来られなかったありがとう。」

ボロは一瞬キョトンとして口元を綻ばせた。「こんな物乞いに礼など…旦那は心が真っ直ぐなお方だ。しかし用心なすってくださいよ。あそこにいるやつらはみ〜んな腹黒い連中だ!口から出る言葉がそのまま本物とは限らねぇ。フフフしかしオラはそんな旦那が好きですよ。またお会い出来ることを祈ってます。それじゃあ、さいなら!」

ボロはあっという間に姿を消した。

「ボロのやつ…とてもただの物乞いとは思えない。」

アランは正面に向き直り、神社に視線を定めるとゆっくりと歩き出した。

廃ビルの隙間から神殿の様子をうかがう。

入り口に据えられている狛犬の目がキラリと光っている。

「なるほど…あれが監視カメラか。それにしても…」

神社は思っていたより小さな建物で、とても人が何人も入れるような場所ではなかった。

アランはどうするべきか迷ったが、あえて狛犬の前に進み出た。

「俺はアランというものだ。学院の用務員をしているんだが昨日、同じ学院のメイドが行方不明になった。もしかしてあんたたち黒い羊飼いの仕業か?」

その時狛犬の目が赤く光り、アランの方をギロリと睨んだ。

「なぜ我々の仕業だと思う?」

狛犬から男の声が響いてきて、アランは思わず後退りした。

「おまえ達はテラ人を憎んでいると聞いた!」

狛犬からまた声が聞こえてくる。

「よく聞け、我々黒の羊飼いは今のユノ政府のありかたを変えようとしている反乱軍なのだ!確かにテラ人への対応には不満もあるがだからといってテラ人に危害を加えたりする卑怯者はここにはおらん!多分、我々をかたったチンピラ連中の仕業だろう。」

アランはガックリとその場にうずくまった。「クソ!クソ!俺はどうすりゃいいんだ」

「黒い羊飼いをかたる奴らは我々にとっても放っておけない存在。この件は我々が調査する。お前は表側に属する者、ここには今後立ち入るな。」

狛犬からアランの額に青い光線が放たれた。アランの身体から力が抜けて、意識が遠退いていった。

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