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封印された記憶

学校から出てくる子供達をかきわけながらアグネスは必死で叫んだ。

「アラン!アラ〜ン!」

アグネスの声が聴こえたのかアランはゆっくりとこちらに歩いてきた。

「アラン!よかった無事だったのね。心配したわ。どうしてここに?クロノスは?」

アランの目に動揺が走った。

「ちょっと…ちょっと待ってください。あなたは誰ですか?僕はこの学院の用務員であなたと会ったのはこれが初めてですよ。」

「何かされたのね?ユノの奴らになにかされたんでしょう!」

食いつくように迫ってきたアグネスにアランは辟易しながらその手を振り払った。

「やめてください!なんなんですかあなたは?僕はあなたなんて知らない。」

アランはそう言い捨てると学院の中に消えて行った。

カノンとエリザベートは息を切らしながら走ってきた。

「ハァ…ハァ…ア、アグネスどうだった?アラン何だって言ってた?」

アグネスは鼻をすすり上げてカノンに抱きついた。

「忘れちゃってた…私の事全然知らないって…」

カノンとエリザベートは顔を見合わせた。

やっぱり…カノンはアランの姿を探したが、もうどこにもいなかった。

アランは元々クロノスのために造られたアンドロイドだ。

ユノがそのままにしておくはずがない。ああして元気でいるだけでも奇跡だとアグネスに言い聞かせた。

「とにかく居どころが掴めたんだから良かったわよ。手の打ちようはあるわ」

「そうですね…じつは我王様から初期化に戻すパスワードをいただいてあるんです。」

エリザベートはそれを聞いて優しくアグネスの肩を抱いた。

「それを使っても使わなくても関係ないわね。すでにテラでの記憶は無くしてる」

「それは違うわよエリザベート。暗号を使って記憶を消せば現在の記憶も無くなる。生まれたての子供に戻ってしまう…そういうことだと思うわ。」

アグネスは決心した。アランのそばに居よう。そして今の彼を知ろう。まずはそこからだ。

「私、この学院で働きます!」

突然の宣言に二人は目を丸くした。

「本気なの?アグネス」

「はい。自分の目で確かめたいんです。アランは私の知っているアランのままなのか…それとも全く別の人格になったのか見極めてきます。」

カノンが厳しい顔でアグネスを見つめた。

「もし全然違う人だったら?」

「その時は…思いだして貰うよう努力します。だってユノでの記憶だって彼のものですもの…他人が勝手にいじるなんて許されるものでしょうか?」

アグネスは唇を噛みしめた。

カノンはうなずいた。「アランはあなたの弟同然ですものね。やれるだけやってみなさい。」

アグネスはアランの冷たい横顔を思いだした。

怯んじゃ負けよ!絶対思いださせて見せる。

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