遺された使命
我王はプラチナブロンドのウィッグを身に付け、エメラルドグリーンのコンタクトを着けた。
「フフッ皮肉なものだな。自分が自分のふりをするなんて!カイン…お前の苦労が身に滲みるよ。」
鏡の前で変装を終えた我王はサラのいる神殿に向かった。
入り口にいる巫女達が恭しくお辞儀した。
「サラ様に会いに来たんだが」
巫女の一人が王の前にひざまずく。
「ご案内いたします。こちらへ」
巫女は神殿を抜け、森の中に入っていった。
ここに来るのは久しぶりだ…
あの日、サラにプロポーズして以来か。
我王は遠い昔を懐かしむように薄暗い道を進んで行く。
「サラ様、王様がお見えです」
サラは地面に横たわり目を閉じている。
彼女がこうしている時はたいてい大いなる存在と交信しているときである。
邪魔しないように我王はそっとその小さな身体の隣に自分の身体を横たえた。
小さな俺の眠り姫…
目をつむるとあの頃に戻っていくようだ。
あの幸せな時間の中に…
「我王…私を恨んでいますか?」
サラは瞳を閉じたまま我王に問いかけた。
「どうして?君は俺なのに…」
サラはゆっくりとまぶたを開いた。
「君はいつも俺の味方だった…たとえ世界がみんな俺の敵になっても君だけは俺と一緒に悪魔になってくれる…違う?」
サラはうなずいた。
「恨むとしたら…それは自分自身だよサラ」俺は王として何も成し遂げないまま滅んでしまった。
カイン、お前は俺に何を望んでる?
サラは我王の心の嘆ききを感じとった。
「生きる希望を…民に未来を与えて下さい」我王は起き上がって横たわったままのサラを見つめた。
「テラは必ず復活します。その時のリーダーをあなたの手で育てて欲しいのです」
「それは誰だ?」
「あなたの息子ジャン・ジャックJrに未来のテラを託したいと思っています」
「J.Jを?」
「ええ…我王、あなたにお願いがあります」サラはムクリと起き上がった。
「ユノに行って欲しいのです」
「ユノに?」
サラはうなずいた。
「テラが復活すればまた必ず利権争いが起こるは必定。戦力を蓄えなければ!ユノに潜入している仲間達を統括してください。」
我王は空を見上げた。新生テラを創る!
小さなJ.Jの手には生まれながらに途方もない宿命が握られていたのだった。
「父として出来る限りのことをしよう…」
我王は心の中でカインに語りかけた。
カインこれがお前の望みだったんだな。
お前の命、決して無駄にはしない!




