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負のエネルギーの元へ

「狐白! 僕に場所を教えて!」


 僕が覚悟を決めてはなった言葉を聞いた狐白はためらいの表情を見せる。そしてゆっくりと口を開いた。


「危険です」


 狐白の言葉は僕の身を案じると同時に否定の意味が含まれているように感じた。


「魔法少女と契約してない今の状況で行かせるわけにはいきません」


「今の僕でもわかるほど大きな負のエネルギーを感じたんだ、このままだと危険な目に合う人が出るにきまっている。」


「ですが……」


「今行かないと後悔するよ。僕は僕なりに役目と向き合っているつもりなんだ」


 狐白の目を見て説得を試みる。たしかに魔法少女や役目を知ってから日が浅いかもしれないが、それでも()()()()()()()からしっかりと向き合うことに決めたんだ。僕の身に危険が及ぼうともそれ以上に誰かが傷つくのは嫌だ。


 わずかな沈黙の後、狐白が目を伏せて言う。


「……わかりました。ですが、優斗様の命に危険があると判断したら、迷わず優斗様のことを連れて逃げます」


「それは……」


「もし優斗様に何かあればそれこそ多くの人が命を落とすのです」


 狐白の言葉を胸に刻みしっかりと頷く。


「それでは参りましょう」


 必要なものだけを持ち家を出る。


「負のエネルギーを強く感じるのは向こうです」


 狐白の視線の先をむく。意識を集中させるとたしかに嫌な気配を感じる。


「かなり距離があります」


「どうしよう……」


「私にお任せください」


 そういうと狐白の体が光始める。みるみるうちに狐白の体が大きくなっていく。


「私の背中に乗ってください」


 僕は人がのれるほどの大きさに変化した狐白を見上げる。僕の伸長を優に超えるその姿は圧巻だ。


「う、うん」


 狐白の姿に圧倒されていたが、言われた通り狐白背に乗る。



「行きます。しっかり捕まっていてください」


 そういうと、狐白は大きく跳躍する。全身に強い風の抵抗を受け擦り音されそうになるが必死にしがみつく。


 ものすごいスピードで空を駆け、負のエネルギーの気配を強く感じるほうへと向かった。



 ◆◆◆


 私は必死で足を動かす。全身を強く打っているせいで体中痛いが、今はそれどころではない。

 走りながら後ろを振り返れば、突如現れた得体のしれない化け物がこちらにむかってきている。

 足を止めればあいつにつかまってしまうだろうし、私の次は部のみんなの身が危険だ。


 幸い、化け物の動きはそんなに早くはない。



「%△#?%◎&@□!!!!!!!」


 化け物は言葉にならない深いな音を出す。


 その不快な音は脳に響き、全身が寒気に襲われる。


「はぁ、はぁ……はぁ」


 うまく息が出来ず苦しい。後ろを見ると化け物の動きが一瞬止まる。そしてー-


「%△#?%◎&@□!!!!!!!」


 叫び声と同時にどす黒い塊のような体から腕のようなものが数本飛び出す。それらは一斉に私の方へと伸びてくる。


 とっさのことでうまく反応をすることが出来ず、そのうちの一本に吹き飛ばされてしまった。


「――っぐ」


 地面に体を打ち付け口から苦悶の声が漏れる。もともと体にダメージがあったせいもあり、体が全く動かなくなってしまう。


 目の前には化け物がこちらに向かってきているのが見える。


 必死に体を動かそうとするがまったく動けない。


「%△#?%◎&@□!!!!!!!」


 再び腕がこちらに向かってくる。


 だめっ、よけられない!


 死を覚悟した次の瞬間――


「夏美!!」


 そんなはずないのに何処からか優斗の声が聞こえた気がする。


「幻聴でも最後に優斗の声が聞けて良かった……」


 そして私の体目掛けて化け物の腕が振り下ろされた。


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