遠足はいつも山登り
小学校のすぐ裏に、大きな山があった。
そのため年に一、二回はその山に登らされる。
低学年のうちは八合目まで、高学年になると頂上まで。大体、二時間くらいかけて登った。
もっと楽しい場所がいくらでもあるのに、うちの学校は、なぜか山登りにこだわっていた。
私が住んでいた北九州は、あまり雪が降らないから、積もったときは皆そわそわして授業にならない。
先生自ら「校庭に出ろー」と叫び、雪合戦が始まったりする。
ある日、なぜか雪の積もった山に登ることになった。手ぶらだったから、多分先生が思いつきで連れて行ったのだろう。
確かに面白かったが、考えてみたら危険な行為だ。
そういえば、遠足は基本、車道を歩いて登るのだが、たまに近道だと言って、道じゃないところを無理矢理突っ切って行くことがあった。
ずるずると落ちそうになるから、手も服も泥だらけだ。
道路を歩くのに飽きた頃だから、面白いことは面白いのだが、これはありだったのか?
一度、本当に危ないと思ったことがある。
先生の指示で、山を下るときに斜面を一気に駆け降りなければならなかったのだ。
岩とかはないけど、草だらけの道で石ころもあり、とにかく滑る。
みんながキャーキャー騒いでいるので、先生は私達が楽しんでいると勘違いしていたようだ。
確かに、ジェットコースターに乗ってるようで、スリルがあって楽しかった。実際、忘れられない思い出になっている。
よくもあんな危ない真似をして、苦情が来なかったものだ。ケガ人が出なかったのは奇跡だろう。
良くも悪くも大らかな時代だった。