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パートナー?

彼女の正体とは!?


3話です

「どうして…………僕の名を?」


 僕は戸惑い、彼女は眉毛をピクリと動かし表情を変える。


「いえ、何でもありませんっ」


 彼女はそっぽを向きこっちを見なくなる。


「……」

「……」


 よし、こっちがその気なら……、


「あの、写真を撮らせてもらって良いですか?」

「…え?」

「『夢野メグ』()()()撮りたくてっ」

「……」

「その為にここまで来たんですっ!」

「……はい、分かりました。構わないです」


 よしっと僕は心の中で喜んで、撮影に挑んだ。もしかしたら彼女の正体が分かるかもしれない。

 ……しかしそれにしても彼女は本当に可愛いなーっ。顔、胸、太ももどれを取っても魅力的だ。どこを見ても整っている。なかなかここまで綺麗な体形は周りに早々いない。まるで、……そうまるで高野さんみたいな綺麗ですらっとした体形だ。タカノ……さん?


「……高野さん?」


 僕がそういうと、彼女は明らかにびくっとした顔で、かぁ~~っとどんどん紅い顔になる。


「えっと~、一体何のことでしょうか……」

「いやいや、かなり動揺しているじゃんっ! 君はやっぱり高野さん……ぐふっ!!」


 彼女は僕の口を手で勢いよく塞ぐ。


「ここで高野高野言わないっ」


 ひそひそ話でもかなり威圧的に言う。


「もごもごもご(やっぱり君は)……」


 僕がもう明らかに気づいてしまったからか、彼女は無言で僕から手を離す。


「ぷはっ……」

「えぇ、そうよ。私は高野翠よっ」

「やっぱり……」

「けど今はその話は無しっ。今はレイヤーの『夢野メグ』だから」

「そ、そうだな。分かった……」


 そして僕は彼女を数枚パシャパシャと撮影するが、やはりかなり変に意識してしまう。彼女は(いち)同級生で、かつ一好きなレイヤーさんだ。そんな彼女にどう対応すれば良いか僕には皆目検討がつかなかった。


「撮影終わりました。ありがとうございます…」

「……」


 彼女は無言のままお辞儀をする。

 ……なんか気まずい。


「浅野君……」

「は、はい……」

「また近くお話しましょう」


 彼女はそう言いながらここから颯爽と歩き去り、僕はただ呆然と眺めるだけだった。

 まさか『夢野メグ』=高野翠だったとは……。

 僕はその事実にしばらく立ち尽くすばかりだった。そしてその後何人かの撮影をし、今日の出来事の記憶を辿る僕は黄昏れながら家に帰った。


「おかえり兄ちゃん」

「おう……」


 彼女は僕の妹・一希、今年受験生だ。


「どうかしたの?」

「いや、今日高嶺の花……」


 僕ははっと気づく。これは彼女との秘密の内容だった。


「いや、何でもない……」

「?」

「まぁ、あそこまで外出したのは初めてだから、お前に土産話をしようじゃないか」


 僕がそう言うと彼女は嬉しそうに返事をする。


「おーっ、それなら勉強の休憩がてら聞こうじゃないか」


 そしてパソコンで画像編集し、それを一希と一緒に見ながら楽しんだ。

 翌日、なんか学校に行くのが久しぶりに緊張する。そして下駄箱から上履きを取ろうとすると、手紙が入っていた。


「……」


 その手紙の主を見ると、やっぱり高野翠その人だった。


『放課後、2丁目の喫茶店にて待つ』


 ……なんかデートみたいな文面だ。

 クラスに行くと、彼女はいつものように本を読んでおり、僕はそれを見てかなりドキッとするが、彼女と目は一度も合わなかった。


「……」

「流~~」

「…海斗っ」


 少々太めの友人がツラそうな表情でこっちに来る。


「あのさーっ、また期間限定グッズの抽選が外れてよ~っ」


 大の男が体を小さくしておいおいと言う。僕は高野さんの方を気にしてちらっと見るが、見向きもされなかった。


「ん? どうかしたか流?」

「……あ、いや別に。それでそのフィギュアは……」


 そして授業中、休み時間にちらちらと眺めてみたが、彼女にはまったく反応がない。

 あの時のコスプレした綺麗な彼女(コスプレせずとも彼女は綺麗だが)が人違いだったと思ってしまうほどだ。そして放課後になり、僕は手紙に書かれていた場所に向かう。


「ここか……。お、なかなか雰囲気のあるお店じゃないかっ」


 入ってみると、オーナーらしき白髭の年配の人がいらっしゃいませと言ってくれ、僕は高野さんを捜しながら席をきょろきょろと見ていると、彼女は学校にいるように本を読みながら座っていた。

 彼女と彼女が本を読む動作とがここの雰囲気にとてもマッチしており、とても感銘を受けた。その光景がとても画になる。


「あ、来たわね」

「どうもこんにちは」

「コーヒーは飲める?」

「まぁ、甘くすれば……」

「マスター、コーヒーのミルク入りで」

「いいよ別にっ」

「良いから飲んで」

「……」


 少ししてからマスターがコーヒーを机に置き、彼女はぱたりと本を閉じる。


「貴方、あの時私の為にここまで来たっと言ったわね」

「え? あぁ、僕は『夢野メグ』の大ファンだから」

「ここでその名は言わないで」

「ゴメン……」

「……」


 彼女はしばらく考えている素振りをしてから返事をする。


「じゃあ単刀直入に言うわね。私のパートナーになって欲しいわ」

「へ???」

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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