あれ? もしかして……県内の方?
新連載です
宜しくお願いします
僕は浅野流、どこにでもいる普通の高校2年生。学校生活も慣れ、幾人かの友達もいる。さてそんな僕に最近新たな趣味が増えた。それはあるレイヤーさんのSNS投稿のチェックだ。
初めは好きなアニメからコスプレに興味を持った。それから好きなキャラの似ているレイヤーさんの画像を集めだし、次第にレイヤーさん自体を応援するようになった。
そして最近の推しは『夢野メグ』ちゃんだ。彼女はとても可愛らしくアニメのコスをよくしている。偶に少し際どいコスプレ写真を投稿しており、その日の僕は感激して寝むれない。
僕は毎回『いいね』とコメントをしており、彼女からはいつも配慮の行き届いた感想が来る。そして最近の投稿で分かったのだが、彼女はなんとJKだそうだ。
こんな可愛い同級生が学校にいるとかそこの高校どんだけ羨まなんだっ!! 悔し……
「流~っ」
「なんだ、海斗じゃないか。どうした?」
「聞いてくれよっ! 俺の欲しかった『福山瑠華』ちゃんの限定グッズがーっ」
「おいっ、少し声がデカいぞっ」
やはり内容が少しオタク寄りの話のため、あんまり学校で騒ぐのは少し恥ずかしい……。
「で、その限定フィギュアがどうしたって?」
「さすがは親友っ! 語らずも分かるかっ。いや、実は応募してたんだが、限定50名だったからか、当たらなかったんだよ~っ」
「まぁ、少なければ少ないほど倍率は高くなるわな」
「ほんとそれっ」
海斗との話を終えた僕は早速『メグ』ちゃんの最新の投稿を確認する。
今日は普通にコメントだけだった。
『おはよう、今日も学校行ってきま~す』
しかしこの日常的な内容がかえってより親近感をかき立てる。
どんなJKなんだろうか。気になるなー。あ、『いいね』とコメントを……。
「よし、じゃあこの問題を高野。解いてみろ」
「はい」
先生に当てられて黒板の問題を解きに行った女子は高野翠、成績優秀の美少女だ。腰まである長い黒髪に目はキリッとして鼻はすっと伸びている。性格はかなりクールで冷徹、そのため少し近寄り難く友達といるイメージはあまりない。なんかいつも席で本を読んでいる感じだな。
まぁ、どちらにしても高嶺の花過ぎて近寄れない。
そして学校を終えた僕は颯爽と家に帰り、パソコンを立ち上げる。
「よしっ、今日も書くぞっ!!」
そう僕は小説家を目指しているのだ。そのために毎日ネットの小説投稿サイトに作品を投稿している。
「うーん、なかなかネタが浮かばない……」
を繰り返しながら、ネットに小説を投稿し始めてもう1年が過ぎていた。そしてある日のこと、いつもの様に家に帰り、パソコンを立ち上げサイトを開けると、なにやら赤い文字が届いていた。初めての感想だった。
「え? まじ?」
そしてどきどきしながら感想を読む。
『いつも面白く拝見しています。この和斗と優のデートするシーン、とてもどきどきはらはらして面白かったです』
「うお……。や、やったーーっ! 初めての感想だ、いやっほおーーっ!!!」
しかも“いつも拝見しています”だって!! こんなの貰ったら感激極まりないなっ! 嬉し過ぎるっ!
「名前は誰だ~~? 『yumeyumegu』さんか~。嬉しいなーっ。…あっ、ちゃんと返信しないとっ」
それからというもの数日に1回のペースで『yumeyumegu』さんからの感想が届く。
「『いつも感想頂き感謝感激です。これからも投稿を楽しみにして下さい』っと。送信。……ふーっ、疲れた~」
そして休憩しながら『メグ』ちゃんのSNSのアカウントを開く。今日は僕の知らないアニメキャラのコスプレ画像だった。それにしても……、
「ほんと尊いなーっ、ちょー可愛いーっ!」
また繰り返し画像を眺めるため、つらつらとスクロールしていくとまだ見ていない画像があることに気づく。
はっ、僕としたことがっ。ファンとしてあるまじき行為っ! ……ん?
その写真とは外で彼女が可愛く飲み物を飲んでいるシーンなのだが、僕が気になったのはそこではない。そのバックにちょろっと写っているお店だ。
これはどう見ても僕がときどき行く少しモダンな建物の喫茶店なのだ。
それは二つとない建築造形なので間違いない。しかも名前が『ポアソン』って書いてあるしっ!
もしかして彼女……もしかして……、
そしてピロンとスマホが鳴ったと思ったら、彼女のアカウントに新しくコメントが更新された。
「ん? これは……」
『近々コスプレイベントがあるので行かないとな~』
そこに書いていたイベント会場は家からそう遠くない場所だった。
な、なんとっ! これはまたとないリアルで会えるチャンスっ! なんとしても彼女に会ってリアルな顔を拝ま……確かめねばっ!
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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