うちの奥様方は、戦国大名より手ごわい!?
♠️天正3年5月 長浜城寝室
設楽ヶ原から帰った、次の日の晩である。
戦場から帰った当日は順番に関わらず、正室である市殿と過ごすことにしている。
それが一番、落ち着くからだ。
昨日は、寝物語もそこそこに熟睡してしまった。
疲れていたのだ。
その次の日からは、順番を遵守するのだが…。
今日は、側室である澤の日。
一つの布団に枕が二つ並んでいる横で、2人で話をしている。
♠️
「無事のお帰り、祝着至極でございます」
「ありがとう」
「今回は、お命が危ない場面はございませんでしたか?」
澤は、さらっと聞いた。
「ずっと本陣に控えていたからね。ありがたいことに」
「へぇー。…」
なに?その反応??
「綾殿の日は…明後日にございましたね。綾殿にも同じ返答をなさるのですか??」
「ふむ??」
「いえ、あえて本陣の位置を事前に武田方に知らせておいて、本陣につっこませたと伺ったもので…」
え…誰に?!
「そ…その話は誰に聞いたの??」
「女、子供を集めた学問所の塾長などをしていますと…そのような情報は自然と集まってくるのでございますよ。特に、重臣の奥方達から❤️」
澤はにんまりと俺に寄りかかってくる。
情報源は、そこかー!
俺は、寄りかかってくる澤の肩を抱きながら、どう反論するか考える。
「た、たしかに本陣に敵を誘いこむ、誘引撃滅戦法を用いたが…。新式銃を本陣に集中的に配備してあったので…危なくは…なかった…よ?」
「なんで、そんなに、しどろもどろなのでございますか?わたくしは、綾殿みたいに殿を責めませんよ?場合によっては、お味方しても差し上げましてよ??」
そう言って、澤は、俺の太腿のあたりからそけい部にかけてツツツっとなぞりあげる。
(なんの取引だ?)
というか…俺の情報を握って、取引を持ちかけてくるとは…
さすがは、普段から、情報の重要性を教えこんでいる、俺の教え子!
以前に増して、より強く、より賢くなっているようで…
嬉しくもあり、悲しくもあるよ。
「俺にどうしろ…と?」
「簡単でございます。わたくしにも子供が出来るように…頑張ってくださいませ❤️綾殿や恭殿と違って、わたくしにはまだ、あなた様との子がおりませんもの」
澤は、俺の顔を覗き込むようにいう。
なんか、妖艶な感じ。
俺は、その雰囲気にドキリとする。
「お、おう。頑張る!ちょっと疲れてるけど…」
「その意気でございます!」
この後、無茶苦茶ハッスルした。
♠️
…。
明日の里と明明後日の恭は、多分、大丈夫。
戦の疲れを労ってくれるだろう。
明後日の綾に対しては…。昼のうちに澤を味方につけて、口撃の勢いをそいでおき…。
あとは、夜、2人きりになってから、俺の唇で何かを言おうとする綾の唇を塞ごうかな?
そして、そのまま…
そんな戦術をたててみた。
(とほほ)
俺の奥様がたの方が、戦国大名よりよほど手ごわいんですけどー。