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ルイス・フロイス天道記〜Historia de Japon  作者: アサシン
領地経営から始める戦国攻略
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長篠・設楽ヶ原の戦い2

♠️天正3年5月初旬 早朝 断上山本陣


 ズガガーン!!!


 ヒヒーン!!!



 初夏の早朝。設楽ヶ原の天候は濃霧、時々、銃弾や弓矢の雨と馬の嘶き。


 俺は断上山の頂上から信長様や家康殿と並んで、眼下を眺めている。


 こちらの陣容は、河岸段丘という地形を利用して作った三段構えの陣地に三重の馬防柵と三重の空堀。


 陣地の中央にある断上山には俺の軍と信長様の親衛隊、家康殿の親衛隊が控えている。


 山がちな地形の左翼には、羽柴秀吉殿や柴田勝家殿とその与力達。


 比較的平坦な地形が広がり武田方の兵が突進しやすいと考えられる右翼には、精強な三河の徳川勢。明智光秀殿の丹波勢や紀州の軍勢を率いる丹羽長秀殿や滝川一益殿などが布陣している。


 本陣である断上山の背後には佐久間殿の兵。その後ろには織田信忠殿や織田信雄殿の兵が予備軍として控えている。



 対する武田軍は、才の神という地に武田勝頼の本陣をおいた。


 中央に、内藤隊・甘利隊・土屋隊。


 右翼(俺たちから見ると左側)には真田隊、馬場隊。


 左翼に山県隊・小山田隊などが布陣している。



(武田方も鶴翼の陣できたかぁ)


 武田方の兵数は、織田・徳川連合軍の半数以下であるのに兵力を左右に分散させすぎである。


 これで勝つ気でいるんだろうか?いるんだろうなぁ。


 まぁ、武田兵は織田兵の5倍強いとのもっぱらの噂。



 この世界では起こらなかった戦いではあるが…天正2年の武田方の東美濃攻略戦において、山県昌景の6千人の兵に信長様が率いる3万〜6万人といわれる兵が敗退している。


 武田兵は鬼のように強い。それは疑いようがない。


 それに、武田が兵力を分散させなければならなくなった理由は、俺が作ったものでもある。


 この戦いで武田方は、信長様と家康殿を絶対に討たなくてはならない理由があるのだ。


 この戦いがなぜ起きたのか?それは、武田勝頼が武田の家中を掌握するため。それもある。


 それもあるが…


 もっと、深刻な事情がある。


 それは、武田勝頼の父である武田信玄の悲願と関係する。―――海を得ること。である。


 海ならば、武田信玄の晩年に駿河湾を得ているではないか、という指摘がありそうだが…。


 駿河湾を得ただけでは、海を得た利益が薄いのである。塩はとれるようになっただろうが…。


 問題は、信長様と家康殿の領国の位置。



 信長様は、海上貿易の要所である堺や摂津を抑えている。

 そして、西国からの船は三河湾を経由する。その海上交通を家康殿の水軍が邪魔している。


 武田の方も強力な水軍を組織して、たびたび徳川の水軍をうちやぶっていたようだが…。


 西国との海上交通を妨げられて、経済活動や軍事的な補給に困難が生じていたことにかわりはなかった筈だ。


 特に困ったのは、南蛮からもたらされる鉛や火薬の補給であろう。


 この世界線においては、武田方の状況はもっと深刻である。


 俺が朝輝教を広めたことにより、紀伊の国を完全に織田の傘下におさめたからだ。


 堺や摂津をおさえられた武田に残された鉛や火薬の供給元は、本願寺側についた雑賀衆の一派であった。


 その雑賀衆の一派も織田方についた今では、武田方の銃弾と火薬の供給元はほぼない。


 この戦で鉄砲をバンバン撃ったら、それで武田に残された銃弾と火薬は尽きてしまい、ほとんど補給できないだろう。


 この戦いで信長様と家康殿を討って、この状況を打開するしかないのだ。


 そういうわけで、武田方は地形の面。すなわち戦術面においては、織田・徳川軍の右翼を攻めねばならず、戦略上の面からは織田・徳川の本陣を攻めなければならないというニ方面作戦を取らざるを得ない状況におちいった。


 戦況はすでに、織田・徳川連合軍の絶対有利。


 しかしながら、歴史にない佐久間殿の武田方への内通と、断上山の背後に布陣したという行為。それが、この戦いの変数になっているだろう。


 甲斐源氏の名門・武田氏の命運やいかに?

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