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ルイス・フロイス天道記〜Historia de Japon  作者: アサシン
領地経営から始める戦国攻略
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〝心頭滅却すれば火もまた涼し〟というけども…焼き討ちは嫌

 天正2年1月3日 宇佐山城


「左様。弾正忠様は近いうちに参議におなりあそばします。朝廷との関係を良好に保つのに現関白である一条卿との関係だけでは不安でしょう。近衛卿とも親しくなっておくべきです。この大仕事、畿内の人間関係に強い十兵衛殿ならやり遂げられるでしょう?まぁ、勝手にやるのではなく弾正忠様に断ってからするべきですけど。この件に関しては、おこられるどころか喜ばれると考えます」


 近衛前久は、前の関白で藤原氏の氏長者である。確か、二条兼定との権力争いに敗れて、今は十兵衛殿が預かる丹波に身を寄せていたのではなかっただろうか?


 そんな縁があるのだから、近衛殿を味方に引き入れるのは容易なはずなのだ。


 十兵衛殿が近衛前久殿を味方に引きいれるのは可能だとして…難しいのは関係の維持であるだろうけど。


 確か、近衛前久殿と信長様はよほど気が合うようで共に茶会を開いたり、鷹狩なども一緒にする親友のような仲になるはずなのだが…。


 その仲は長くは続かない。


 信長様が安土城に天皇の御座所を設けて、京都からそこに移そうとしたり、總見寺という寺を作って信長様自身を神仏に見立てさせて拝ませたりしたことで信長様と前久殿の仲に亀裂が入っていくことになる。


 決定的なのは、甲州討伐。この時に、快川和尚という名僧が、長年、信長様にはむかっていた人物達を匿っていた。信長様はその者たちを引き渡すように快川和尚に養成したが、快川和尚はその要請を断固として拒絶。


 信長様は激怒した。


 その快川和尚とは前久殿とふかい交流があり、快川和尚に寛大な処置をする様に信長様に嘆願していた。


 にもかかわらず、信長様は快川和尚を寺ごと焼き討ちにしたのである。


 そんな経緯にも関わらず、気まずくなった信長様との仲を正常化しようと思ったのか、甲州征伐のあと「一緒に帰ろう」と前久殿が信長様に持ちかけた。


 信長様の答えは「わごぜは木曽路をいかれませ」というそっけないもの。自分と違う道でいけと冷たく突き放したのである。


 これで、信長様と前久殿の仲違いは決定的になった。


 鍵は、天皇陛下の扱い、朝廷との関係。そして甲州征伐での武田家の処遇や快川和尚の処遇だろう。


 總見寺の件や天照様の子孫とされている天皇陛下との関係などは天照様の加護にも影響するだろうしな。


 近衛前久殿と明智殿の関係は本能寺の変とも無関係ではないと考える。絶対に近衛前久殿を敵に回さないようにしないと。



 そんなことを考えていると…




「四国攻めの件は?」

と十兵衛殿が俺に聞いた。



「その件は信長様に激怒されかねませんね。弾正忠様の御子息を総大将にする向きがある中でその計画を邪魔するなど、空気を読めてなさすぎです。この件に関わった何者かが処刑されてもおかしくありません」


 四国攻めに信長様の子息が大将として赴く。この意味を察知できるかどうかで政治センスが問われるだろう。


 まず、この四国攻めに成功したら、その功績が織田家の子息に帰するということ。当然、恩賞もその子息に多く与えられる。


 このことから信長様の意図を考えると…長宗我部や自分の家臣達に大きな力を持たせるのは嫌なんだろうということ。それよりかは、自分の一門衆の力を大きくしようといったところか?


 その動きに異を唱えるとは…。


 逆に政治センスが抜群なのは藤吉郎殿こと、羽柴秀吉殿だ。信長様が一門衆の権力を大きくしたいと考えているといち早く見抜き、信長様から養子を取ろうと願いでている。


 藤吉郎殿には、子供がいない。後を継ぐのは、信長様からの養子ということになる。藤吉郎殿をいくら出世させて、どんなに領地を与えようともそれはいずれ信長様の子供に引き継がれるという寸法だ。


 まぁ、信長さまの一門衆という点においては俺も同様だが…。


(そんなことは意図してないんだよなぁ)


 そう考えていると…



「それで、それがしが弾正忠様に咎められないようにこんな山の上まで来てくださったというわけですか?」



「ええ」


「いや…やっと合点が行きました。咎められるところを逆に褒められるような提案を持ってきてくださるとは…。感謝の念に耐えませぬ」



「だから、金ヶ崎の恩を返しに参ったと申しましたでしょう。信長様に仕えるのは難しい。何が正解か、お互いに相談しあえればいいと思いませんか?」



 まぁ、事前に相談された方が本能寺の変につながるようなことを防ぐのに面倒が少ないってことだが。



「そうですね。これからも相談に乗っていただけると助かります。私も韓信にはなりたくありませんからね」



「ええ。私もです」


 そう言って俺は右手を差し出す。


 光秀殿はその手をがっしり握り返すのだった。


 これで、明智光秀殿との仲が深まったかな?


 事前にいろいろ相談してくれるようになったらいいな。


 さて、やっと岐阜に帰れそうだ。帰ったら市殿の話を聞かなければ。それから稲葉一鉄殿を説得しに行く。

絹糸作りを産業にするために家の増築方法を広めたり、いろんな機械や器具なども開発しないと。蒸気機関や顕微鏡の設計図もしないとか。横山城への引っ越しもある。まぁ、それらの仕事の大半はオモイカネ様に頑張ってもらうのだが。


 そうこうしているうちに民からの嘆願書や代官や奉行たちの決済書が山積みになってそう。


 それもオモイカネ様とフツヌシノオオカミ様に最大限手伝ってもらおうか。陰陽術で式神を大量に作って書類に目を通させてハンコを押させる。そして、式神が読み込んだ書類の内容をオモイカネ様が統合、分析して、要点だけを俺に伝えさせるとか。


 オモイカネ様をスーパーコンピューターとかAIとして使う策だ。


 仕事の効率化。うん、いいかも。


 神様をそんなことに使っていいのか、一抹の不安はあるけども


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