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ルイス・フロイス天道記〜Historia de Japon  作者: アサシン
美濃での日々
19/77

五月雨の中、物思いにふける俺


 永禄12年5月初旬・岐阜フロイス邸


 5月になった。旧暦の5月は新暦の5月末から7月の初旬にあたり梅雨の季節である。五月雨(さみだれ)という言葉はここから来ている。


 じめじめとした鬱陶しい季節。


 今日もぽつぽつと雨が降り続いている中、ちょうどご婦人方相手の授業が終わったところだ。雨が降ろうが槍が降ろうがご婦人方の着物は鮮やかであり、この授業の時だけは梅雨の鬱陶しさも忘れられる。


 着物に香をたきしめるのも流行ってるらしく、なんとも風雅な香りが部屋にたちこめている。


 各々が初夏らしさを感じさせようと競ってるようで、爽やかな香りなのだが複数の人がたきしめた異なる香の匂いが混ざるのでなんの香りかまでは分からない。とりあえず爽やかで甘くていい匂いだ。


 …いや、微妙に女臭さも混じっているかも…例えるならばいろんな制汗剤と汗の匂いが混ざりあって一日たった女子更衣室の香りといった所。この匂い、俺は好きだからいいけど。



「ありがとうございましたーっ!!失礼しまーすっ!」


 足取りも軽やかに、元気よく挨拶して帰っていったのは千代だ。



 美濃不破郡の領主・不破光治の娘である千代は、帰蝶さまの元で行儀見習いの侍女をしており、帰蝶様のお供としてついてきてちゃっかり生徒としていついてしまった。


 彼女は利発で好奇心旺盛で器量もなかなかであり、西洋のことや、他国の言語や風習・領地経営やら外交などに関することなどを学べることが心から楽しく、嬉しいようだ。


 なんとも教えがいのある可愛い生徒である。他のクラスの生徒である信長様の小姓連中からも人気が高いらしい。


 後の見性院であり、史実では山内一豊の妻となるはずの子だ。容姿や声は仲間由〇恵。年齢14歳。



 そうそう。その山内一豊も俺の教え子として小姓クラスに在籍している。


 山内一豊…通称・伊右衛門。父は岩倉織田氏の重臣であった山内盛豊であるが、信長様と対立して自刃。山内一族は離散し、諸国を放浪することとなった。


 この伊右衛門は、どこからか俺の授業のことを聞きつけ、「どうしても授業を受けさせてください」と頼み込んできた見どころのあるやつ。出世…もとい、山内家再興の糸口をこの俺に見出したらしい。


 働きは地味ながらも、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康と勝ち馬に乗りつづけ、お家再興から土佐20万石の主とまでなった山内一豊に頼られたとは気分がよい。勝ち馬を見抜く嗅覚が抜群。人を見る目がある男なのである。


 歳の頃は24歳であるが諸国を放浪していたためか初陣はまだであり、今のところ誰にも仕えていない。容姿は上川◯也


 性格は不器用なところもあるが篤実で温厚で素直。俺の教えを熱心に学び、俺の教えに忠実でもある。小性クラスの最年長であり、他の生徒に対する面倒見も良く兄貴分として慕われてもいる。武芸の腕もなかなかである。


 この男と千代。どちらも俺の家臣として欲しい人材なのだ。

 そう思って着目して見ていると2人はどうもお互いを意識しているようでもある。


 2人に俺の家臣になるように勧めてみるのと同時に2人のなかを取り持ってみたい。無理にとは言わないが…。


 とりあえず裏の家臣として堯俊を召抱えて天照女神像を量産してもらっているが、表の家臣もそろそろ何人か召抱えたい。伊右衛門と千代以外にもいいなと思う生徒は何人かいるし、織田家中で出世できずにくすぶっている家臣の中にも光る人材はいるだろう。


(今度、信長様に会ったらそれらの人材を引き抜きたいとお願いしてみることにするか。)


 小性の中で引き抜きたいと考えている候補者が他に2人いるがこの2人はおそらく信長様も目をかけており、取り立てようと考えているだろう。ダメ元で頼んでみるけど。


 そんな事を考える五月雨の夕暮れ時なのだった。


 そういえば、そろそろ信長様の小谷訪問に合流しないといけない。浅井家の方では何か動きがあったかな?

 式神を飛ばしているフツヌシノオオカミ様から報告してもらおう。



千代の出自には諸説ありますが、主人公との繋がりの持ちやすさで美濃の豪族である不破氏の出としました。

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