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彼女の友達が人じゃなかった

作者: 神田留魔

 高校からの帰り道。僕は鼻歌を歌っていた。その時、

「おーい!安斗~!」

後ろから僕の名前を呼ぶ声がする。振り返って目を凝らす。走ってくる女子の黒髪がふわりふわりと風になびく。

 「あ、舞花か!」

僕はその正体に気づく。彼女の舞花だった。

 「彼女に気付けないなんてあんたも彼氏失格ね!」

彼女は普段は大きい目を細めてこう言った。そして制服を整えている。走ってきた彼女は息が切れている。

 そして、僕たち、二人は歩き始める。その時、ふと彼女はこう言った。

「あ、明日私の家に友達が一人くるんだけど安斗もこない?」

明日は土曜日だし、特に用事も無かったので二つ返事でOKを出した。彼女は僕の返事にホッとしたかのようにニコッと笑う。その笑顔が愛おしい。そして、他愛もない話をして、その日は帰った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


~次の日(土曜日)~

「……」

 僕はなにもいえなかった。

彼女と友達のやり取りを聞いていた。

昌子(まさこ)ちゃんの趣味って水泳なんだよね??」

「ピチャピチャ」

「えー!そんなに早く泳げるんだ!凄いね!」

「バシャバシャ!」


部屋の中に三人。いや僕からすると二人と一匹。僕には彼女の友達が魚にしか見えない。魚の鰯である。そんなことをよそに二人(一人と一匹)は会話を続ける。

「最近、空気が乾燥してて肌荒れ大変だよねー」

「スイーピチャ」

「えぇ!肌荒れしてないの!?」

僕からすればツッコミどころしか無いのだが。まず、鰯は喋ってるというか、なんか泳いでるだけであるだけだし。それに魚に肌荒れの概念なんかあるのだろうか?しかも水中だし空気の乾燥とかわからないんじゃないの?

 そんなことを考えていると、彼女は僕に鰯(彼女からすれば友達なのかもしれない)を紹介し始めた。

「友達のアンドリュー・昌子・イワシンドちゃんです!」ピチャ

「まさかのハーフ!?」

僕はこういったが魚にハーフなんかあるのだろうか?

「昌子ちゃんの得意なことは水泳です!」バシャバシャ

「本業だよね!?それ!魚の本業だよね!?」

彼女は笑顔のままである。

「イワ……昌子ちゃんのチャームポイントはえくぼです!」ピチピチ

「魚にえくぼあるのか!?あと今鰯って言おうとしただろ!あとなんで昌子ちゃんは舞花がしゃべったあとに跳ねるんだよ!魚の友達なんか変だろ!」

彼女は不機嫌そうな顔をする。

プカー

昌子ちゃんは死んだように水面に浮いている。

「確かに私の友達は魚だけど友達には違いないじゃん!安斗がそんな友達を差別する人だとは思わなかった!もう出て行ってよ!!」

 僕はもう訳が分からなくなって彼女の家を出て行った。そして公園に向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


~公園~

 僕が一人、ブランコに乗って昌子ちゃんのことについて考えていると、ふと砂場にいた幼稚園児ほどの子供三人に気がついた。会話に耳を傾けると、

「俺はこいつきらーい!」

「そんなこといわないで!私の友達なんだもん!」

一人の少女は泣いていてなにもいわない。恐らく、この子が嫌い、と言われている子だろう。

 「嫌いなものは嫌いだ!」

「嫌われて嬉しい人なんかいないでしょ!いや、人じゃなくてもおもちゃとかでも愛されたいと願っているはずなの!」

 この少女の一言に僕は気づかされた。僕は急いで、彼女の家へ戻る。彼女の家に着いてスマホを見るともう七時だ。飛び出してから二時間も公園にいたのかと思うと少し笑ってしまう。その笑いを抑え、彼女の家のインターホンを押す。

 そして、彼女が出てくる。

「こんな時間にごめん。さっき魚が友達なんておかしいといってごめん。昌子ちゃんを傷つけちゃった。昌子ちゃんだって愛されたかったんだよな。ごめんな」

 僕は思いを伝えた。

「大丈夫だよ!私はぜんぜん平気!あ、そうだ!今から鍋を食べるんだけど安斗も一緒に食べない?」

 彼女は愛おしすぎる笑顔でこう言った。僕に断る理由なんか無いのですんなりOKした。彼女手作りの鍋らしい。今、彼女の両親は旅行に行っているらしい。

「あ、あと私も昌子ちゃんのこと傷つける(物理)ことがあるし大丈夫!」


そうか!なら大丈夫だろう!

ん?物理?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


~彼女の部屋~

「うわー!美味しそうな鍋!」

僕はその鍋に目を輝かせる!

「美味しそう、じゃなくて美味しいよ!」

彼女は自慢気にこう言った。

「それではいただきます!!」

僕は鍋から具材をすくう。

鍋の中には白菜、豚肉、豆腐、キノコ類、つみれなどが入っている。

ん?つみれ?

「このつみれおいしいね!」

僕は少し違和感を感じながらそう言った。

「そうでしょ!手作りなんだよね!昌子ちゃんも喜ぶよ!」

あれ、もしかして。

彼女はつみれに話しかける。

「ねー!昌子ちゃん!」グツグツ

「南無三!!!」

僕はそういって、鍋を美味しくいただいた。


ここまでお読みいただきありがとうございました!正直最後のオチがやりたかっただけですw

自分として初めてのネタ小説でしたがいかがでしたか?感想・批判などはどしどしお送りください!

それではまた、お目にかかるときまで。

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[一言] 合掌 晶子ちゃん…
2017/12/12 20:38 退会済み
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