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Souls gate  作者: 大野 大樹
七章 内科的治療法と外科的治療法
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1.朱雀と、社会人のすすめ。

梛たちTAKAMAGAARAチームも新生souls gateの開発って分野で新しい道を模索してるわけなんだけど、裏西遠寺現場チームも色々話合ってるよって話を先に書くことにしました。だから、梛たちsideの前に割り込みます。

「いや‥間違っちゃいない。間違っちゃいないんだけど‥何かこう‥スッキリしない‥そう‥スッキリしないんだ」

朱雀が眉を寄せて、軽く腕を組んだ。

斜め前のディスクに座る蘇芳が「またか」って顔でため息をつく。

「お前、昨日は大絶賛してたじゃないか」

 蘇芳が「また」同じ様に苦情を言ったんだけど、朱雀は「また」聞いてないようで、しきりに「スッキリしない」を連呼している。

 楠たちの前では、丁寧に喋っていたが、あれは、所謂ビジネスモードで、普段の蘇芳はなんてことはない、普通の若者の様に話す。

 といっても、多少フランクかなって位なんだけど。

 それでいうと、朱雀は「だいぶ」フランクに話す。

 ‥そして、「だいぶ」リラックスした勤務態度で、さっきから、「スッキリしない~」って言ってるんだ。


「スッキリしない~。スッキリしない! 」

 朱雀は、だん、って大きな音をたてて、コーヒーカップを手に取って、ぐいっと冷め切ったコーヒーを飲む。

 蘇芳は、それを横目で見てため息をつきながら

 ‥スッキリしないスッキリしないって、‥便秘か。

 なんてくだらないこと、頭の中で突っ込んでみたが、‥勿論口にはしない。

 だって、そんなくだらないこと言うの嫌だし。

 そんなこと思ってたら、

「蘇芳‥。髪型が乱れてるぞ、鏡見て来いよ‥」

 朱雀がちらっと、蘇芳を見た。

 やっと、だ。

 やっと、目が合った。

 そして、その第一声がそれだ。

 朱雀はため息をまたつくだけだ。勿論、鏡も見ることはない。


今日の朱雀の髪型も、いつも通り「はね」に至るまで、ばっちり決まっている。

そして、その髪型が、彼の整った容姿にピタリって位よくあっている。

 朝は苦手だ。ギリギリまで寝てたい‥って言うタイプかと思ったら、ちゃんと食パンを焼くだけとはいえ朝食も食べるし、‥それ以上の時間をかけて髪もセットしてくる。

 通勤後、朱雀は毎朝、事務所に併設されているカフェで小松菜スムージーを飲むんだけど、カフェで朝ご飯を食べる時間までは取れないから(スタイリングに時間をかけたいからね)、食パンで軽くお腹を落ち着かせておいて、スムージーはテイクアウトで‥って言うのが、彼のスタイルなんだ。

 因みに、小松菜スムージー。

 身体にはいいんだろうが、‥味はそう企業努力がされていない「名前通り青臭い」味で、あまり人気が無く、朱雀の為に残してもらってる‥というメニューだ(そういえば、リクエストしたのも朱雀だった)

 身だしなみは、髪型だけじゃなくって、お肌も。お肌がカサカサじゃ、気分も下がるでしょ? らしい。

 朱雀は、(その朝の一連の作業について)

「身だしなみだ、当然だろ? 」

 って言う。

 さも、当たり前みたいに。

 会社にスーツの一つまともに着てこない人間が「身だしなみ」なんて、‥どの口が言ったことだ。

 全く、こいつときたら‥

 って蘇芳は思う。

 だけど、

 ‥全くコイツときたら。

 って思ってるのは、何も蘇芳だけじゃない。

 朱雀だって、思ってる。そりゃ、きっと蘇芳以上に思ってるだろうって思ってる。

 蘇芳だけじゃない。ここの連中全員に、思ってる。

 全くこいつらときたら。

 って。

 顔はそう悪くない連中なんだから、もっと似合う髪型もあるだろうに! って。

勿論、朱雀だって美容院に毎日行くわけではない。それは勿論なんだけど、カットに行ってから次のカット迄ほっときっぱなし‥とか有り得ない。切りたて二三日は手櫛で決まる「腕のいい」美容院に掛かり、その後の変化を楽しめる‥位のスタイリング技術は独学で身に着けた。

自分のことなんだから、当然だろ? って朱雀は思ってる。

自分の髪質についてなんて、行きつけの美容師のレベル位知ってるんじゃないかって程、朱雀は自分の髪型に拘りがある。服装は‥おかしくないならそれで‥ってくらいの拘りしかないのに(あくまで本人談。例えば蘇芳からしたら、「おかしくないならそれで‥じゃすまないだろ‥」って話なんだけど。「お前は、TPOを身に着けろ! 」は、蘇芳の口癖だ)、だ。

だけど、じゃあそれだけ美容に興味があるなら、美容師を目指したいか? と聞かれると、答えは否だ。そんなこと思ったことない。

そういえば、以前誰だったかの髪の毛をスタイリングした時に(確か女の子だったと思うけど、誰だったかは忘れた)そういう様な事を聞かれて、なんとなく答えた答えが、なんか「口に出してみたら、案外そうかも」って思ったのを覚えてる。

それが

「別に、「この人ならこの髪型のが似合うんじゃね? 」って思うことはあるよ。だけど、自分の感性と人の感性って違う。

僕は僕の感性で「こう!! 」って思って、その思った通りにする。それは、出来る。問題なく、ね。だって、自分のことだから、誰にどうこう言われることはない。

だけど、人はそうじゃない。自分の思い通りにはいかない。僕が「こう!! 」って思っても、その人にとっては‥「そうかなあ」ってなることだってあるでしょ? それで、結局、僕の思い通りにはならないわけでしょ? 

美容師になって「お任せで」って言われて、僕が「お任せ」でしても、きっと「え~、俺の思ってたのと違う」ってなる訳じゃない? そういうのが、嫌」

 こういうの。

 そうそう。それが理由だったんだろうな。

 って、自分で言って自分で納得。

「向く向かない、だけじゃないよ。職業選択の決め手って」

 それ以来、アドバイスを求められたらそう答えようって思ってる。


実際、「ここ」で「こんな職種」についてる朱雀に職業選択のアドバイスを求める者はいないんだけどね。


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