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Souls gate  作者: 大野 大樹
一章 救済
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6.『Souls gate』の目的 side西遠寺

 西遠寺は、政府高官専門陰陽師集団である。

 お偉いさんというのは、敵が多い、不安も多い。

 そんなお偉いさんを影から(まさに影から)支えてきた陰陽師集団が西遠寺であった。

 従来の占い・祈祷に加え除霊・呪詛返しまで陰陽師のニーズは昔から多様だ。

 そして、今ではそんな呪いの類も西洋的から東洋的まで多様化しており、「どっからこんな呪い探して来た」と日々術者と陰陽師の戦いは熾烈をきわめていた。

 しかしながら、西遠寺には能力者が絶対的に少ない。

 能力者の絶対的不足を補う為、外から能力者をスカウトしてくる必要がある。そして、スカウトされて来た外からの(西遠寺の血縁以外の)能力者が、『裏西遠寺』であった。

 西遠寺苦肉の策である。

 ‥西遠寺はとても封建的で半面とても開けている。

 ちょっと変わった人がいる。という噂を元に、ある日西遠寺のスカウトが来た。

 楠は自分についてそう言っていた。

 西遠寺の情報網は凄い。草の根レベルだ。

 だけど、情報量に人間が追い付かない。情報の確信を取るのに、人間の目が必要なのだ。

 変わったやつ=能力者

 ではないのもさることながら、

 能力者=西遠寺の必要とする能力者

 ではないということ。

 それを見極めることの大変さ。

 見極めることが出来るであろう西遠寺の能力者には勿論のことながら陰陽師としての普段の仕事がある。だから、そうそう能力者の選別やらスカウトに当たれない。

 だから、必然的に一般のスカウト要員がスカウトに来たわけだが(勿論、西遠寺のスカウト要員だなんてバレるようなへまはしないわけなんだけど)

 結果、(一般人が見ても明らかに)「外れ」、で‥。

 これで何度目か、とため息を吐きかけたスカウト要員に楠は言った。そして、偶然にも柊も同じような提案を西遠寺にしたらしい。(ということに、何故かなっているが、なんてことはない。楠が、そうしたんだ)

「自分には、ここで役に立つ能力はない。でも、役に立つと言えば、僕は(俺は)異能者は、見たら割とわかりますよ」

 柊と楠の提案に西遠寺が乗ったのも、まあ不思議でもなかったのかもしれない。

 勿論、さっきの発言の「裏」については、西遠寺の能力者たちに散々取られたわけなんだけどね。

 はじめは、楠と柊が見に行っていた。

 能力者が見極めなければいけない工程が省ける。それだけでも、西遠寺にとっては随分な効率アップだ。

 そのうち、楠と柊が話し合って「見分ける基準」みたいなものをマニュアル化することに成功した。だいぶニュアンス的なことが多くって、完璧って迄にはいかなかったけど、楠と柊だけしか見極められないっていう非効率な状況はそれでも、少しはましになった。その状況を大きく変えたのが、異能者開発プログラム『Souls gate』だった。

 それの開発には、天才過ぎて親に持て余された天才児・梛が関わっていた。ここに来たばかりで、特に何にも興味を持たなかった冷めた天才少年が楠たちのマニュアルに興味を持ったのだ。

「これをプログラム化したら、面白そうじゃない? 」

 それからの梛は、それこそ朝も晩もプログラム作りに熱中した。そのために柊や楠とも話すことが多くなった。梛が今の様にここの皆と打ち解けて話すようになったのは、『Souls gate』のおかげなのだ。

だから、梛にとって『Souls gate』は特別なプログラムで、また特別に思い入れがあった。そして、この研究所は彼の唯一の居場所になったのだ。

 梛のプログラムを手伝った桂は、楠の大学の後輩の(直接話したことはないらしい)埋没していた天才で、楠がスカウトしてきた。

 この二人が柊や楠の「こういう感じ」を見事プログラムにしたのだ。この二人あってこその、『Souls gate』プロジェクトなのだ。そして、その異能者開発プログラム『Souls gate』こそが、のちの大人気ネットワークゲーム『Souls gate』のはじまりだった。

 これにより、無自覚で、また未覚醒の逸材も見つけられるかもしれない。

 今までは、スカウト員のマニュアルでしかなかった『Souls gate』が、ここにきて西遠寺のお偉いさんの目にとまった。そして、ゲームの大々的な開発の為に、ゲームクリエイト会社『TAKAMAGAHARA』は設立された。まさに、西遠寺期待の一大プロジェクトである。

 しかし、研究所の方は個性の強いメンバーらが基本的に好きなことをしているに過ぎず‥。そして、メンバーをまとめるべく送り込まれてきたのが、リーダーの柳だった。

 自他とも認める西遠寺フリークな彼は、表の西遠寺の人間でこそなかったが、西遠寺と彼らの橋渡し役にはうってつけだった。

 そして、ゲームは爆発的に人気が出て、西遠寺の元に今までとは比べられない量のデータが送られて、そのデータは、各支所(関東・近畿・中国・九州と地方ごとにある)の能力者によるチェックが入れられた。

 でも、西遠寺に選ばれたからといって、入る入らないは本人の意志だ。

 誰だって、面倒なことには巻き込まれたくない。

 だけど興味がある。

 異能力があることによって住みにくい。

 異能力者を取り巻く環境は、ほとんどの場合あまり優しくないし、そもそも元々異能力者というのは変わり者が多い。

 しかし、気を付けなくてはいけないのは、気付いていなかった異能力を気付かさたことによって、今までの生活が一転する人間だっているということだ。

 その能力を持てあます人間というのは、基本的にいない。いずれは自分で乗り越えて、自分の能力と向き合っていかなければならないのだ。しかし、それを急がせるわけにはいかない。

 何事もタイミングが大切だ。

 そして、彼らなりに困惑なり、葛藤なりを乗り越えて『TAKAMAGAHARA』の門をくぐるわけだ。

 しかしまあ、色々な諸事情をひっさげて、集まってくる異能力者かわりもの達の多いこと! 

 そんな奴らはどうやら今世は多いらしい。

 彼らは表向き、『TAKAMAGAHARA』で社員として働くのだが、そこで頭角をあらわした者は、幹部候補生となり、いずれ西遠寺の能力者として働くことができる。

 そして、西遠寺の能力者となって初めて、裏西遠寺と呼ばれ、西遠寺の性を名乗ることが許される。

 柊・楠・桂・梛・柳が西遠寺の性を貰ったのは、これまでの功績を評価されての特例であった。

 しかしながら、西遠寺の名前を貰う前からも、名前だけは『TAKAMAGAHARA』に入った時既に、西遠寺風の木の名前に改名されていた。

 だから、誰の本名もお互い知らない。(楠は、桂の本名を知っているが、本人の希望により「桂」の名で呼んでいる。しかし、元々そんなに親しくなかったこともあり、本名はもはや覚えてもいない)

 偽りの名前で呼び合う、しかし、そうしたことで彼らは家族となったのだった。


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