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Souls gate  作者: 大野 大樹
六章 楠は、兄貴なスーパーチューターを目指し、梛は普通の子供への道を模索する。
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10.『似た』人

 伊吹さんから聞いたのだが、恭二さんは何やら和彦さんを怒らせたことがあるらしい。

 って言って、喧嘩になった‥とかじゃない。

 恭二さんが和彦さんの息子さんに対して何か‥怒らせるようなことをしたらしい。

 喧嘩になる以前の問題で、‥和彦さんの怒りに恭二さんが‥怖気づいてる‥らしい。

 だから、そこら辺のことに触れないようにね、と伊吹さんから先に言われた。

 ‥怒らせるって、子供か。

 っていうか。

 今日もここに来てないのは、もしかしてそれが理由か?

 ‥怖いって‥。全く、‥気まづいの間違えだろ?

 っていうか‥。

 ‥和彦さんの息子さんって、確か‥天音ちゃんの弟さんの友達で、高校生くらいの人だっけ(楠が和彦の話を聞いて勝手に思っただけなのだが、既に楠の頭での中で勝手に決定事項となっている)

 その息子さんと恭二さんの間で何があったんだろう‥。‥なんか、やばいな‥。(楠の中に生まれる疑惑)


 ‥そもそも、和彦さんって怒るのかな?? あの優し気な顔‥怒ってもきっと怖くないぞ。僕みたいに目つきが悪かったら怖いだろうけど。‥よく言われたしね。

 ‥‥美人に睨まれたら怖い的な感じかな?

 ‥いろいろと気になること満載だ。



「明日になったら三人とも京都に帰るから」

 と、今日は、最後の交流会も兼ねてスカウト班全員と伊吹さん、柳さんと和彦さんたち京都組三人の計9人でお食事会をしている。

 といって、もちろん外食じゃない。社内食堂貸し切りだ。昼食時は皆の迷惑になるから、昼食後に行うことにした。

 ぶっちゃけ、『お食事会』要素はゼロだ。場所と言い、メニューといい、ただの昼食と‥初めから言えばよかったな。勿論アルコールもなしだ。昼間っから、社内でアルコールとか、無いだろう。

 ‥うちのメンバーは、‥いろいろと普通じゃなくって、外食なんてきっと出来ない位目立つ。

 僕は目つきが悪いし、柊さんは前髪が長い一見根暗のオタクだし、梛は‥こんな時間本来ならここに居ちゃいけない小学生だし(昨日と今日は仮病でお休み)

 目立つっていったら、普段はお屋敷の中では隠密スキルで目立たないご当主様も、都会の中に居たら美形すぎて(やっぱり)目立つし、(着物だし)朱雀さんは一見イマドキの若者だけど、目つきとか只ものじゃない感満載だし、蘇芳さんも‥どっちかというと経済やくざって感じのヤな雰囲気あるし。‥伊吹さんは若干ひょろっとした、街のお医者さんって感じで‥そう言えばこの中で唯一普通。

 そう、別に柳さんも桂ちゃんも普通なんだ。

 ただ、‥それが集団となったら

「なんだ、このバラバラな集団。‥何の集まりだ?? 」

 って絶対目についちゃうだろう。年もばらつきがあるし。

 ‥絶対、外食とかこのメンバーでしたくない。

 飲み会とか‥集まったら、店員さんに嫌がられそう。用事もないのに(警戒されて)ちょくちょく覗きに来られそう。

「ご注文はありませんか~? 」

 って頻繁に来られそう。



 で、昨日は出会わなかった、柊と『柊とタイプが似ている気がする(満場一致)な朱雀』が初対面となった。

「‥‥」

 何となく予想はついたが、今、無言な二人の間には何とも言えない不穏な空気が漂っている。

 二人とも、野生の勘的なもので、相性の良し悪しを瞬時に感じ、その感覚に従い行動する直情型だ。二人の間を流れる微妙な殺気‥にも似た緊張感漂う空気から察するに、二人の相性は(二人が二人とも)良くないと直感で(本能かもしれない)判断したらしい。

 先に口を開いたのは朱雀だった。

 辛うじて口の端をちょっと上げて精一杯の作り笑いを浮かべると

「柊さん‥って言いましたっけ。初対面の者に対してのその態度は‥社会人としてどうかと思うな。それと‥ええと、目が悪くなるから、前髪は切った方がいいと思うよ。なによりも、初対面の人の印象も良くない」

 先輩としてのアドバイスをした。

 ※ 因みに、初対面の人に対する態度はお互い様である。

 彼にとっては、最大限の歩み寄る努力なのだろう。しかし、柊はしれっと目線も合わせない。

 歳は‥多分同じくらいだと思う。

 伊吹によると朱雀は25歳らしいから、柊と同じ年だ。

 ただ、まだ10台といってもいい位若く見える彼を、柊が年下と侮っているのかもしれない。

 会った瞬間は殺気すら感じる一触即発モードだったものの、観察し終わったのか今は警戒も溶け(多分)、敬意こそ示していないが、あからさまに嫌な態度をとっているわけでも、悪態ついてるわけでもない。

 それは‥ちょっと成長したのかも‥しれない。

 前なら確実に、初対面の印象だけで、あからさまに悪意のこもった視線を相手に向け、

「楠、こいつ嫌いだ」

 って楠に、ぼそっと『報告』が入ってた。

 その後、一切目も合わせない。

 以前の柊に、観察機関やら歩み寄りという言葉はなかった。


 ‥それはそうと‥。それにしても‥だ。

 ‥巽と離の相性は‥そう悪くないと思うから‥これは、多分『似た者嫌悪』(なんだそりゃ、完全に造語なんだけど‥そういうの‥わかるよね? )なんだろう。性質じゃなくて性格の問題だな。

 楠は、ふう、とため息をついた。


 ハラハラしているのは、楠と心配性の桂ばかりで、その他の‥周りはというと、似た二人の反応に興味津々って感じだ。

 それどころか、‥完全に面白がっている。

 否、伊吹や和彦、そして本人である朱雀は昨日ここに居なかったから、二人が似ていると蘇芳が言ったことは知らない。

 さて、今柊がスルーしている先ほどの朱雀の発言についてなのだが。

 全くもって朱雀が言っていることに間違いはない。

 しかし

「そもそも、‥容姿で誰かの印象に残るというのは‥あまり褒められたことではない」

 には、楠的にちょっと思うところがあった。


 確かに前髪で目を隠した陰気な男は‥印象に残るかもしれない。

 だけど、

 柊さんについては‥。

「でも‥まあ‥。その顔を出すことの方が隠していることよりも、印象に残る可能性がありますよね。柊さんについては‥僕は一概にそうですねとはいいかねます」

 楠がちょっと言い淀んだ。


 聡い蘇芳さんは、柊さんの顔に、隠したい傷か何かがあるように思ったんだろう。

「おい、ちょっと、朱雀、まて! 」

 朱雀さんが柊さんの前髪に伸ばした手を引き留めようとした。

 が、

 蘇芳さんが朱雀さんの手を払うより、朱雀さんが伸ばした手が柊さんの前髪を払う方が早かった。

「! 」

「! 」

「‥‥‥」

 朱雀さんと目が合ったのは、

 やたら不機嫌な超男前‥僕らもそう見ることがない柊さんの顔だった。

 


「‥(こいつ、まんま西遠寺の顔してる‥)」

 一目でそう思った。

 気のせいやら、「ちょっと西遠寺の(そういうかお)してるよね」ってレベルじゃない感じ。

 確実に、表の西遠寺の顔。

 朱雀と蘇芳が息を呑むのが分かった。

 伊吹が心配そうに飛んで来て、

 柳と楠が柊を自分たちの背中に隠した。

「‥朱雀さん。これは‥ちょっと」

 楠が、眉間にしわを寄せ、朱雀に批判的な視線を向ける。

「え、ちょっと待って。裏に入ったらしい‥西遠寺の縁者って‥柊さん? 」

 朱雀の目が見開かれる。

 驚いたのは、柳も一緒だった。

 楠は最近恭二に聞いたからもう驚かないが、‥驚く気持ちは分かる。自分も聞いた時は驚いた。今いるところは裏寄りだのに、実は表の西遠寺。複雑だなってのは、思った。が‥実は所詮そんなくらいだ。

 ‥そもそも、西遠寺の家って言われてもそう「どんな家」かは分からないんだけど。いや、‥仕事とか役割とか‥当主の仕事内容とか‥裏と表の関係だとか‥聞いたけど、なんか実感ないっていうか‥。

 ‥ただの、金持ちの名家なだけじゃないってのは、辛うじて分かった。

 って程度。

 逆に、柳は西遠寺フリークだから、‥もう、驚いたのと同時に羨ましいやら、憎らしいやら‥感情が複雑だ。

 ‥楠さんじゃなくって、柊さんだったのか‥。

 運営に熱心だから、楠さんだと思ってた。‥『力』も強いし。じゃあ、楠さんって何者なんだろう。

「え! そんなに驚くレベル‥? 確かに柊の兄ちゃんの顔は半端なく男前だし、久し振りに見るけど。‥あ、でもご当主様の顔って柊の兄ちゃんにちょっと似てますね! 」

「「「‥‥」」」

 ‥暗黙の了解で皆が黙ってること、言っちゃう。

「そうですか? 私は彼の様に男前じゃないですよ? 」

 にっこり微笑む和彦に梛が

「いえ、感じが‥似てる気がします」

 って微笑み返した。

 ‥うん。親戚だしね。西遠寺ってわりと同じような顔してるしね。

 ‥因みに、柊さんの顔、はっきり見たの、初めてかも。‥当主と似てるというより、‥彰彦君にそっくりだな。彰彦君をちょっと若くして、ちょっと‥暗くした感じ? 目の色とかそっくりだったな。

 黙って苦笑いしながら、伊吹はそんなことを考えていた。

 柊が不機嫌そうに前髪を下ろす。


「ええと‥あの。その‥スミマセンデシタ‥」

 

 神妙に頭を下げる朱雀と、

 いい笑顔で、朱雀の肩をぽんと叩き

「朱雀。三ヶ月減俸」

 ‥魔の宣告をさらっとする和彦。


ちょっと親近感がわいた楠と柳(中間管理職組)だった。

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