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Souls gate  作者: 大野 大樹
三章 絶対に交わらない線
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7.リアル神様

「ん? この「乾」って、天音ちゃんに似てる」

 話に入れないので、パラパラとキャラクターデザインを見ていた楠の手が止まった。

 最高位『天照大神』ではないらしい。

 乾は、



 乾

 三本とも陽。天と陽が万物を生み出し、活動させる卦

 正象 天

 色  白色、金色

 動物 龍 虎 ライオン

 家族 父


 

 という卦だ。

『天照大神』のキャラクターデザインは、年上の美人って感じだけど、『その顔』は、酷く幼い女の子の『様な』顔をした少年だ。

 ‥おい、「父」設定どこまでも無視か。

「仕方ないのよねえ。その子が『乾』だったから‥」

 たしかに、天音ちゃんは、『乾』の卦だったな。

 楠はため息をつきながらそう告げると、

「あらあ、知ってるの? 楠さんも聞いたのね。ふふ、あの子、可愛いわよねえ」

 高橋がからからと笑った。

「あんまり可愛いからデザインのモデル頼んじゃった」

 ‥あの神がよく承諾したな。‥実体は目つきの悪いおっさんだぞ。

 「そんな恥ずかしい真似できるか! 」

 とかいいそうだけど‥。

「どうかした? 」

 微妙な顔をする楠に、高橋が首を傾げる。

「いや、よく了承したなって思って。‥モデルになる事‥」

「そうなの。凄く嫌がってたんだけど、伊吹さんが「へえ、いいじゃない」って言ってくれて。(※これに至るまでにいろいろなことがあったようだが)天音ちゃんも「じゃあ」って感じでね」

 ほう、あの保護者(イブキサン)か。

 この頃分かったことなんだけど、あの神は、お世話になった(なってる? )伊吹さんの意見には従う。今でも、衣食住伊吹さんに面倒を見てもらっているらしいし。

 だけどそれが、伊吹さんのことが特別気に入っているからそういう理由ではないようなのは、そこそこ話をしてきた今なら分かる。

 初めのころから、そういえば伊吹に呼ばれれば、「天音」として対処していた。

 結構優先順位が高いように見えた。

 その事情は知らないんだけど、なにかあって天音は伊吹に恩を感じているらしい。

 神だから、義理堅くてもおかしくはない。

 神‥。

 そう。信じられないんだけど、天音ちゃんは神だ。

 初めて会った時に、それを本人から告げられて驚いた。

 もっとも、それを告げた「天音ちゃん」は今の様な少女の姿ではなく、(180cmある)楠より背が高いかもしれないごついしかも、目つきのやたら悪い男の姿をしていた。

「同族と会うから、本来の姿で会いたかった」

 みたいなことを言われ、さらっと「同族」認定された。いや、されてた。

 曰く、それは見たら(どこかで聞いたようなセリフだ)分かるものならしい。

 ‥同族(つまり、神だな)ならしい僕にはちっとも分からないけど。

 さらに、

「自覚がなさそうだから、言いに来た」

 みたいなことも言われた。

 大きな力を持つ者が、その力に気が付かずに使ってしまうという事が、問題なのらしい。

 ‥それはそうだろうけど。それでも、信用できるような話では、ないんだが‥。

 だけど、天音から更に

 「統べる目」の「威圧」が、血液の凍結の応用版と聞かされた時には、(僕の方が)凍った。

 ‥確かに無自覚というのは恐ろしい。‥というか、よく今まで疑問に思わなかったと反省したり。

 ‥目つきが悪いから、相手に恐れられて動きが止まってるんだと思ってたんだよ‥。(まあ、そんなことはないか。目つきは確かに悪いが、目力があるとは思えないし‥)

 天音ちゃんが言うには、僕は「水の神」で、水を操る力に長けている。それは、空気中の水分のみならず、人間体内の水‥つまり血液にももれなく該当する、と。

 だから、水の神である僕なら、その血液を凍らせることも逆に沸騰させるほど熱くすることも出来る、と。

 ‥なんだそのおっかないの。

 勿論、すぐに全部納得できるような話でもなかったんだけど、その時にアレだ、伊吹さんが天音ちゃんを探しに来た。そして、目の前で(正確に言うと目をちょっと目を離した隙に)あの目つきが悪くごつい男が小さくって華奢で可愛い「天音ちゃん」に変わったのを、自分の目で見たんだ。

 ‥信じるしかあるまい?

 そんな、「脅威で」「特殊な」神が、人間のしかも、ただの若い男性を一目置いてるって、結構不思議で‥正確に言うなら今でも不思議なんだ。

 伊吹さんの本職は医者らしいから、その点での知り合いなのかも。

 いずれにせよ、なにやら事情があるんだろう。‥それは、僕には関係のない話だから、立ち入るべきでは勿論ないんだ。

 ‥楠は誰に対しても基本このスタンスだ。それは柊に対してもそうだし、梛にとってもそうで、楠を友やもしくは親代わりと慕っている二人には、それがもどかしい。

「そうよお。やっぱりキャラクターなら可愛い方がいいわよねえ。天音ちゃんなら、キャラクターとしても全然大丈夫だし♡ 。だけど、一応陽だから、男の子ってことにしたの。一見美少女で、実は男の子ってのが遊び心って感じしない? で、バランスを取る為に坤は厳つくするって感じかしら~」

 天音ちゃんの髪の毛が「男の子」設定だからか、短くなっている。‥それじゃ、まんまこの前の幽霊‥たしか尊ちゃん‥じゃないか! ‥流石に、柳さんたちにもバレるだろ!!

 いや、絶対に隠さなきゃって‥感じじゃないんだけど‥。

 なんか、あの子(天音ちゃん)は‥隠したいんじゃないかなあって‥。何となく。

 ‥事情在りそうじゃん?

 それにしても‥厳つい「坤」って‥。

「坤は母じゃないの!? 」

 ちょっと呆れて、微妙な顔をしてしまった。でも、

「陰って、どうも影って感じがするじゃない? 影が母親って、なんか感じ悪くない? 」

 高橋は全然気にしてないみたい。

「‥ナントモオモッタコトハアリマセンガ‥」

 ‥なんだそりゃ。

 楠は益々眉を顰めるが

「そうお? 」

 やっぱり高橋は、依然としてケロッとしている。

「でも、太陽が男、地面が女って扱い‥なんか嫌なのよねえ‥。ギリシャ神話でも、太陽神はアポロンで男ね。あと、ガイアは女神よね。世界的にみたら、太陽神が男ってのは、結構多いのは真実だわ。‥不満。ホントに不満」

 眉を寄せる高橋に、楠は苦笑した。

「母なる大地って言う響き、僕は嫌いじゃないけどな。‥すべての物が母から生まれてきたって感じがする。‥で、それを養い育てるのが父」

「各ご家庭で事情はそれぞれよ~? だから、私は「陽」は「陽気」陰は「陰気」と見ることにしたの。‥時々、性別があってることもあるけど、それは、たまたまだわ」

 ‥高橋さん、何かあったんですか?

 まあ、そんな彼女の柔軟な(?)発想により、天音ちゃんは、新しいキャラクターデザインのモデルになったって話。



 因みに、伊吹さんが「へえ、いいじゃない」って言ったまでの流れ。

 高橋が、天音ちゃんを見て

「貴女、可愛いわねえ! 名前は何っていうの? 歳は~? 」

 ぐいぐい強引に押して、勿論天音ちゃんにドン引きされて

「ヤメテあげて。困ってるだろ」

 伊吹さんに呆れた目で見られた高橋が、

「あら、独占? そういう重いのは嫌われるわよぉ? 」

 意地の悪い笑いを浮かべ、

「違う」

 カチンときた伊吹さんが

「いや、そういうのじゃない」

 即座に否定。

 どうやら、二人は同期入社で、しかも、(似たところがあるからか)仲が良くない。

 その後

「そりゃそうと。どうして、私に紹介してくれないの? 伊吹さん」

「‥彼女は、天音ちゃん。18歳に‥なったんですか? 」 

 伊吹が首を傾げながら天音を伺うと、天音はくすくす笑いながら頷き、‥なんかそのあと、売り言葉、買い言葉で

 じゃあ、天音ちゃんをスカウトさせなさいよ、とかなんとかで‥気が付けばああなってた。

 天音は巻き込まれただけだし、伊吹も少なくとも「いいじゃない」なんて、一言も言っていない。

 ‥地味に怖い高橋は多分、伊吹より強い。

伊吹と天音の出会いについては、sideB「彼がこの世に‥」の「楠の正体とダメだし」の部分参照です。よかったらお読みくださいっ!

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