7.性格設定
「性格設定‥。特殊だよね。このゲーム。‥キャラクターを自分で好きなようにパーツを選んで作るってのは、よくあるけど、キャラクターを作る‥。新しい‥」
パソコンを前に、奈水流は現在二時間も同じようなことを呟きながらフリーズしていた。
‥どんな性格にすべきか。
「この顔だしなあ。‥空気読むタイプなんてわざわざゲームで作る必要もない、って思うけど「俺様」って顔でもない」
顔が決まっている以上、「自由」とも言いにくい。
‥その中で、アズマ先輩は、自由な部類に入るんだろうな。
「あえて、顔は忘れて好きなように作るべきだな。うん」
ゲームでは自由に生きたい。
だって、そこくらいしか『自分』を出したくないじゃない?
出せないんじゃない。出したくない。
この二つは、大きな違いだ。
「あ! これ、結構難しくない? ケースごとに、行動のパターンを入れていくのか! 」
あ、例‥。
『クエスチョンマークの言葉には、首を傾げる』
あ‥これか。そのまんまやん?
『こんにちわは? 』
は? って聞かれても。あ、選択できる‥。
『にっこり笑う。お辞儀する。腕を上げる。手を振る。ハグする。泣く。』
「あ、この選択肢、全部の行動設定に使うのか。組み合わせも出来るわけね」
‥腕を上げる。かな。
『腕を上げる』を選択する。
やってみよ‥。
無表情で腕上げたよ。‥面白い‥。
にっこり笑って、腕を上げる。
「ああ、紋切り型になってしまった‥。ある意味、無表情で腕を上げる。いいかも‥」
‥ああ、腕のあげ方調節できる。なんて細かいんだ。
時間かかる‥っ!
あ、だから「標準タイプ」あるわけか。一番見えるところに選択肢あった。‥かえって気付かなかった。
でも、しないぞ! 夏休みになったら毎日自分で設定してやる!!
‥今日は、取り敢えず良く使いそうな、
こんにちは
さようなら
ありがとうございます
だな!
つまり、「心理占い」の要領だ。
どういうのが好きなのか。もしくわ、どういうのを理想にしているのか。
プレーヤーの性格を判断する材料の一つとして、このマニアックな「設定画面」はある。わざわざ、チューターからは言わないけど、まあ、気付く人間は気付く。
「無表情なんだけど」
ってプレーヤーから質問が出れば「標準タイプ」をお勧めすることにしている。
あの画面開けて、自分で気になったら、自分で設定すればいいんだしね。
大概のプレーヤーは「標準タイプ」をベースに、自分のこだわりを何か所か直すようにしてるみたいだ。
殆どを変えてしまっているアズマのようなのは、特殊なパターンだ。
さて、那須君の現在。
「こんにちは! 」
で
「半笑いで、腕を半分あげる」
半笑いで、腕を半分あげる那須。
(初っ端から、にやにや笑うテンション高めな男なんぞ、気持ち悪いだろ?! (カッコ内・奈水流の理由))
「さようなら」
で、
「お辞儀」
(礼儀ですから! )
「ありがとうございました」
で、
「お辞儀」
(上に同じ)
「ありがとうございます! 」
で
「笑顔全開」
笑顔ゲージマックスの那須。爽やか全開だ!
(やっぱり、お礼は笑顔じゃないとね!)
の、何とも言えない出来です。
満足~!