間章
暗いくらいの闇の底。悲しげな声は――を呼ぶ。あの人はどこ? どこにいるの、と。
澄んだ翡翠色の瞳がこちらを向く。あぁ、見つけた、と白雪のような手がこちらの頬を撫でる。
どこか懐かしさのある温もりに目を閉じた。
目覚めると、空が白み始めていた。二度寝をするか否かの絶妙な時間に目が覚めたことを残念に思いつつ、今さっき見た夢を思い起こしながらぼんやりと窓の外を眺める。
夢に出てきたのは、いったい誰だったのか。どこか知っているようでいて知らないような雰囲気を持った女性であった。何か手がかりがないものか、と少女は徐に昔のアルバムを漁る。
哀しい、人を求めるような声が耳の奥で反響している。夢の中で見た顔は美しく、少女の心を奪った。まるで花を愛でるような感情に少女は戸惑う。
……夢で見ただけなのに、なんで
夢の彼女は今、生きているのだろうか。それとも自分が夢見た物語の単なる幻影なのだろうか。魔女と呼ばれ、虐げられた女性は今も城に居るのか。
夢の面影に支配された少女は、城をさ迷い歩く。あの人を求めて、会えるかもわからないのに。
不幸なことに、それを止められるものは存在しえなかった
なぜなら少女は、この国の王女なのだから。
引き続きよろしくお願いいたします。