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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

文学

哀れな老婆

作者: 千路文也

 少子高齢化が進んだ未来の日本では、どうしようもない我が儘な老人が増えていた。勿論中には社会で有益な功績を残す老人もいるのだが、圧倒的に老害の数が増えてしまっていた。それを危機とした日本は老害に対する罰則を設けて、更生不可能と判断された者には厳しい罰が下される程の法律だ。この法律を実現させるためには多くのデモ隊を薙ぎ払って沈黙する作業が続いていた。無論、デモ隊の半数は老害だ。それも堂々とハングル文字を使ったり不自然な日本語を使う者ばかりだ。そんなイカれた集団に話しに聞く耳を向ける者などおらず、その者達は政府軍による火炎放射や催涙ガスをお見舞いされて一網打尽となった。これで老害の数を少しでも減らせただろうと安心した政府関係者だったが、未だにこの世には常識人のペルソナを被った老害が存在していた。


「あんたはあたしの言う事を聞いてればそれでええんじゃ!」


 とあるコンビニで唾を撒き散らしながら怒鳴り散らす老婆がいた。ああ、また変な客が騒いでると思うなかれ。外にまで響き渡る声を出して怒り狂っているのは、なんとこの店の店長だ。店長という座に位置しながら若手の見本になる行動などまったくしようとせず、むしろ若者に対して劣悪な環境を与えるという最低最悪の行為を続けていた。自分は事務所に籠ってお菓子を食べながら本を読み、若者には陳列棚の掃除や必要以上の前出しを強要する悪徳おばさんだ。若者達の怒りは日に日に増大していき、ついに我慢の限界が訪れた。若者の一人が警察に通報したのだ。これにより、コンビニの店長は逮捕されて有罪判決を下された。聖なる裁判所の中でも自分は無罪だと主張して若者に対する憎悪と憎しみの言葉を吐き続けたのだ。裁判長が更生不可能だと判断するのも無理はない。裁判長は老婆に対して石投げの刑を与えた。所謂、この世界での公開処刑だ。石投げは誰でも自由に参加出来るため、あのコンビニに勤めていた若者達はこぞって参加。その隣には無邪気な子供達が生きた的に向かって石ころを投げつける。


「死ね!」


「地獄に行っちまえ!」


「俺達を散々イジメた罰だ!」


 ゴツゴツと固い石を投げられた老害は、皮膚を剥がして血の涙を流しながら許しを乞うていた。裁判所ではあれだけ憎しみの言葉を吐いていた老婆が、ここにきて命乞いしているのだから周りの殺意が更に芽生えるのも無理はない。裁判所側も至近距離からの投石を許可し、異例のゼロ距離投石が行われた。何十人という体力の有り余った若者に至近距離から石を投げられた老婆は、身体中を赤く腫らせた後に息絶えた。彼女が何も喋らなくなったを確認すると。周りからは歓声が上がった。処刑に立ち会っていた某有名政治家は握手を交わして涙を流しながら、老害の駆逐に成功したのを心底喜んでいた。


「やりましたね。またひとり、この世から老害が消えました!」


「はい。こんなに嬉しい事はありません!」


 翌日、売国奴(ろうがい)を駆逐した愛国者(わかもの)達が新聞の一面を飾り、全国から称賛の声が上がったのは言うまでもない。



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