未知との遭遇7
目に見えないものは信じない、俺は神様を信じないという事を信条としている。
助けてくれる神様なら何でもいい奴らと一緒にするな、俺は無宗教という宗教だ。
俺は宗教には組しないと英語の授業の一環のクリスマスの空気を凍り付かせ、初詣で、信念から欲望をぶつけて、覚悟なら己が内にすればいいなどと否定する演説をし、祖父の死の際にも堂々と和尚の前で、『死者への祈りは生者の救い、それ俺は救われません、救ってもらう気もない、だから無意味な説法は不要です』というような男から信じられない発言。
文化には敬意を表するが、神には頭は垂れない。
アニメやゲームの創作物と、古くからの伝承や神様も何ら変われない。
人々を魅了するそういう嗜好品という意味では興味がある。事あるごとにそう語る、寛容性も心の余裕もない、とてつもなく痛い男がまじめな顔をしての発言。
ひょっとして高校生になって本格的に中学生の病気に、
憐れむような眼で二人は空人を見つめる。
これは重病だ、ただでさえ普段からの痛い発言が、加速していくそんな不安感。
一方、シエルとセフィラは完全に空人の視界を離れ山の上にある寺の本堂の屋根の上で
状況を整理していた。
「ねぇ、結局あれどういう事なの?」
「迂闊でした、私達は未来の彼に観測され、固有の意志を持った存在として確立しました。
私達がこの時代にいる時点で、彼はこちらを観測できる存在になってしまったんです。
先ほど彼は見えるようになった、聞こえるようになったと言っていたころからも、私たちが引き金となり、彼の力の覚醒が早まったのでしょう」。
「逆効果だったのかしら、このままじゃ、」
「いえ、そんなことはありません。彼が力に覚醒するのは時間の問題。それが早まっただけの事。大丈夫猶予はあります。とりあえず、次の満月まで連絡を取るすべはありません。あと半月。しばらくは様子を見ましょう」
「まったく、本当に、勘弁してよね」