覚悟
『ちょっと空人さん声が大きい』
「え、でも今までそんなの、」
シエルは結愛の履歴書を見せる。そこに記載された恋愛対象性別の欄が女性という文字。
「今までそんなそぶりを見せなかったのは結愛さんのタイプの女の子がいなかったから」
「同性愛者だからと言って誰でもいいというわけではありません、それこそ、空人様の容姿は、彼女のタイプかどうかで行けばかなりいい線を言っていました。これで空人様が女性なら先ほどの告白で、完全に落せていました」
「空人さんは結愛さんにとって恋愛対象にはなれない、ですがそんな中、先ほどから結愛さんの空人さんに対する好感度は上がっているつまりは、」
空人はその言葉の意味に気づき、急いで階段を降り、リビングのドアを開ける。
「ちょっと結愛さんくすぐったい。あ、兄ちゃん」
そこには宇美に後ろから抱き付き、幸せそうにほほすりをする結愛の姿が。
「空人さん、妹さん本当にかわいいですね。かわいすぎて食べちゃいたいくらい」
『つまりはこういう事です。宇美さんが関係図に現れて以降空人さんとの距離も、』
『おそらく、彼女自身、宇美様がノーマルであることは分かっていらっしゃるはず。だからこそです。宇美さんと一緒にられるなら、男性の中ではまだ好感度の高い空人様でもと、』
『あわよくば3人で、なんてことも』
「空人さん、やっぱり今日の話少し考えさせてください。彼女でもいいかなって」
「マジで!やったね!兄ちゃん!」
「あ、あぁ、」
これはどうなのだろう、結果としてよかったのかでも、彼女の心は自分ではなく、宇美に、だが、もうすでに抜け出せないほど、彼女を諦められないほど、彼女に心を奪われている。
『空人さんの理想通りの人間なんていません、これもまた彼女の一面です。人は変化します。同性愛者だから完全に可能性がないわけはありませんが、』
『空人様これは選択の時です。今の彼女を受け入れて彼女を愛するか、それとも彼女をあきらめて他の出会いを求めるか』
「俺は、今まで自分にとって不利な選択肢ばかりを選んできた。それが俺の生き方だ。
進むべきが修羅の道とてその先に目指すべきがあるのなら、俺は迷いもなく、それを選ぶ」
「兄ちゃん何を?」
「シエル、セフィラ、俺に選択の余地はない」
空人は腰を落とし、ソファに座る結愛の目線に合わせ宣言する。
「結愛さん、今はまだあなたの心に俺の居場所はないのかもしれません。でも必ず俺の魅力で惚れさせて見せます。覚悟してください」




