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変化3

セフィラはこの変化を大きく受け止めていた。確かに未来は変わってはいない、だが、

空人は家に帰ると持ち得る知識を総動員し、最善の履歴書作成に協力した。

その一生懸命さが結愛にも伝わったのか、明日の面接は空人のためにも絶対に受かろう。そう強く思わせることとなった。

「あとは、明日の朝、証明写真を撮って、あぁ、そうだ糊、机にあったと思うから、」

「あの、空人さん。本当になにからなにまでありがとうございます。

私、絶対に面接合格しますから、」

「そんなに気負わなくてもいいですよ。初めての面接でしょ、落ちて当たり前、くらいの気持ちで、別にまだ焦る必要はありません」

「いえ、そういうわけにはいきません。私、お世話になりっぱなしで、少しでも、」

「そんなことないですよ。俺、結愛さんが来てくれて助かってますよ。

まぁ、そうですね。面接に合格するためのアドバイス、いつもの様に笑顔で明るく、きっとそれだけで結愛さんなら大丈夫です」

そう、俺とは違う、彼女はそれだけの魅力を持っている。

そうだ、俺と彼女とは違うんだ。やっぱり自分の独占欲なんかで。彼女を縛り付けるべきじゃない。彼女が俺のところからいなくなったとしても、きっと彼女にとってはそっちの方が幸せに決まっている。だって俺は、いつだって

そう考えると、空人の中にずっと頭の中に引っかかっていたことが強く呼び起される。

それは初めて彼女に出会った時の事、自分は彼女を見捨てようとした、彼女にひどいことを言ってしまった。それなのに彼女は自分なんかに何事もなかったかのように接してくれる。あの時からずっと引っかかっていること、

「ごめんなさい」

あの時の事を彼女には謝っていない。その事に触れるのが怖くて忘れようとしていた。

「?どうしたんです。突然」

「……今日まで、ずっと触れずに避けてきました。最初にここに来た時、怒ったような態度ですみませんでした。ちゃんと謝ってなくて、俺はいつもすぐに人を傷つける、あの時、俺は結愛さんを傷つけたのに、謝罪もせずに、まるでなかったことの様に、」

「急にいつも以上に深刻そうな顔をして、何かと思えばそんなことですか、大丈夫ですよ。全然。少しも気にしていませんよ、そんな事。別に謝るようなことでもないです」

結愛は空人とここまで生活してきて、空人の他人に対するものの言い方に難があることは、理解はしていた、直そうとしても彼自身ではどうにもならないことも。

それを気にしない人ならそれでもいいとは思っていたが、変わろうとしているなら、力になりたい。

「私、海外暮らしが長いせいで、結構何を言われても平気ですよ。それに空人さんが本当は優しい人だって知っています。ただそれをうまく伝えられないだけ、

確かに、空人さんは周りに誤解を与えやすいところがあります。

もし、そんな今の自分を変えたいと思うなら、いくらでも私を練習台にしてください。

それにもし、よければ、今後はいろいろアドバイスしていきます。そういう言い方はよくないってそれに、相手がどう思っているのか、気になるところはたくさんあります」

「すみません、やっぱり、俺、結愛さんといる時は気を付けていたつもりなんですけど、」

「無意識に出ちゃってる時もありますし、機嫌が悪い時、空人さんすぐにわかりますから、」

「すみません」

「それじゃ、まずは第一歩、空人さん、私が何かした時、いつもすみませんか、やらなくてよかったのに、自分でしますから、です。そこをまずはありがとうに変えるところから始めましょう。これも言い方の問題です。それだけでずいぶんと印象変わりますよ。さ」

「え、今ですか」

「そうです、今です」

「……あ、ありがとうございます」

「いいえ、どういたしまして、そう!それでいいんですよ。普段の空人さんも私好きですけど、そうやって、素直にお礼の言える空人さんはもっと好きですよ」

それは他意のない言葉、だが、その笑顔とその言葉は空人の救いとなった。

そして翌日、結愛は面接を何の問題もなく合格。

さらに翌日から、彼女の仕事は始まった。

「結愛さん、準備は」

「ばっちりです、空人さん、私の作ったお弁当、忘れてますよ」

「俺のも、別に俺の分は、」

作る手間は変わらないから、そんなことは分かっている、そしてここでいうべき言葉はそういう事じゃない。

「ありがとうございます」

「いいえ、どういたしまして、それじゃ」

「「いってきます」」

誰もいない家に向かって二人そろって言葉にする。

無意味なことだ、空人は、頭でそう思っていても否定する気にはならなかった。

「そうだ、空人さん、昨日言った日曜日に事ですけど、」

「えぇ、大丈夫です。その、えっと楽しみにしていますよ」

「はい、任せてください」

軽く化粧をして、ショッピングモールで買った最安値のスーツをびしっと決め、大人っぽく見える結愛は親指を立て、自信をアピールする。

その何とも言えないかわいさが空人の口元を緩ませる。

「それじゃ、期待していますんで、頑張ってください」


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